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芝ウオ

作者: まえとら

こんな夜は。

ちょっと夜風に吹かれてこよう。


夜の散歩。



月夜に照らされた芝生たち。

夜露の雫が星のように煌めいていた。


風に揺らいだように見えた。

いや。草自らが揺れている。

ぶるぶるっと揺らしたかと思うと。次々と夜空に向かって飛びあがってゆく。

いや。夜空を泳いでいるんだ。


水族館で見たことがある。小魚の群れが泳ぐ、イワシの群れのショータイム。


だが、シラウオでもない。シロウオでもない。

黄緑色の芝ウオ。芝ウオのトルネード。芝ウオの泳ぐ群れ。


芝ウオたちが大きな生き物の形のように姿を変える。

球。芝犬。ハート。芝ウオの大群は次々と姿を変えた。無数の黄緑色の光。芝ウオたちの夜空の散歩。



朝が近づくと芝ウオたちは次々と地面に突き刺さるように、芝生の姿に戻った。


朝露の雫が、朝陽に照らされ光ると、スペクトルの色彩を輝かせた。



しばしば。

夜の散歩に出かけてみよう。

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