遊園地デート②
「これベンツじゃない!?やばい!すごい!」女が騒いだ。
「うわっ!ベンツだ…どうせこんなもん乗ってるやつはろくでもねぇやつだ。」男が言った。
「自分で買えないから、そんな事言ってるんでしょ〜」女が言った。
「はっ?ちげ〜よ!俺なんかこんなもん2、3台買えんだよ!」そう言うと男は優羽の車のタイヤを蹴った。
「乗ってるやつの顔見てやろうぜ!きっと、キノコカットで蝶ネクタイしたおぼっちゃまだぜ!そんで、超神経質でキモいやつだよ!」
男は笑いながら言った。
「おい!」それを見ていた優羽は男に言った。
「あぁ?………………」男は振り返り、優羽を見て固まった。
「あ〜!!優羽様!」女が優羽を見て言った。
優羽の車に文句を付けていたのは、ナルとみずきだった。
「ゆ、ゆ、ゆ優羽さん…ど、どうしてここに…も、もしかして…この車は…」さっきまで、あんなに強気だったナルが優羽を見て急にビクビクしだした。
「俺のだ」優羽がナルを見下ろしながら言った。
「ゆ、優羽さんのベンツ様でしたかぁ…わぁ!やっぱりかっこいいなベンツ!なかなか一般の人じゃ乗れないですよねぇ〜」ナルがベラベラしゃべり、何かをごまかそうとする。
「誰がキノコカットのおぼっちゃまだ?神経質でキモいやつって誰の事だ?ああ?」優羽はナルに詰めより威圧した。
「やっ、あっ、その、あ、あれ?誰だったかな〜?」ナルは必死だった。
「てめぇ〜蹴りやがったな?」優羽はますます威圧する。
「ゆ、優羽さん…優羽さん…す、すいません…ほんの出来心とゆうか、その、何と言うか。すいません〜!許して下さい!」ナルは優羽に怯えまくっている。
「てめぇ、明日覚えてろよ」優羽が思わせぶりに言った。
ナルは顔面蒼白だった。
「ナル真っ青〜!ウケる〜!」みずきが笑いながら言った。
「お前もこんなバカと良く付き合ったな。」優羽がみずきに言った。
「だって!ナルしつこいから〜!しょうがなくよ!しょうがなく!私は優羽様が一番〜!」みずきが優羽の腕に抱きついた。
「そんな〜!みずき姫〜!」優羽の腕に抱きついたみずきを見ながらナルが叫んだ。
「うるせぇ〜よっ!バカップル!さわんな!はなせよ!」抱きつくみずきを必死に引き離そうとしている優羽。
「わ〜あ〜あ。ん?」優羽とじゃれていたみずきが希美に気が付いた。
「ん〜?ん〜?もしかして、優羽様の女?」みずきが希美を見て言った。
「そうだよ!いいかげん離れろよ!」やっと片方の手でみずきを引き離した。
「お?お〜?」みずきが希美に近づき、じっくりみた。
みずきにがん見されている希美は少し怯えた感じだった。
「やば〜い!」みずきが言った。
「や、やばい!?」希美は自分の何がやばいか不安になった。
「やばい!超やば〜い!優羽様の彼女、超かわいい!ナル!見てみなよ!」みずきがまた騒いだ。
「うわっ!マジかわいいっすね!俺、優羽さんの後輩やらせてもらってるナルっていいます。」ナルも希美を見ながら言った。
「おい!そんなに見んなよ!怯えてんだろ?かわいそうに。」優羽が希美の手を引いた。
「ねぇ!私、みずき!あなたは?」みずきが言った。
「希美です。」希美が緊張しながら答えた。
「希美って一般人?」みずきがまた聞いた。
「一般人?」希美は良く分からなかった。
「ああ、そうだよ。希美は学生だ。」優羽が代わりに答えた。
「学生〜?私学生久しぶりに見た〜!へぇ〜これが学生かぁ。」みずきはまた希美をじっくり見た。みずきの仕事上、あまり学生などとは関わりがない。
「優羽さんはこうゆうのがタイプっすかぁ〜」ナルも希美をじっくり見た。
希美も二人をおそるおそる見ている。
「ああ!そうだよっ!お前は希美の事見んなよ!汚れる!」ナルには厳しい優羽。
「もういいだろ?散れよ。」優羽は希美から二人を離した。
「じゃあな。ナル!バカな事すんじゃねえぞ!」優羽がナルに言った。
「はい!ゆ、優羽さん、先ほどは…」ナルが言おうとした。
「その事は明日だ!それに、これはハルさんに貰ったもんだ!おめぇ〜明日、ハルさんにぶっ殺されるな」優羽が意地悪な顔をしながら言った。
「は、ハルさんに!?はわわわ」ナルは今にも泡を吹いて倒れそうだった。
「じゃあな」優羽はそうゆうと車に乗り発車させた。
「ばいば〜い!」元気なみずきの声が聞こえた。
「なんか、騒がしくなってごめんね」優羽が希美を気遣い言った。
「ううん。なんだかおもしろい二人だったね。」希美が思いだし笑いをした。
「え〜そうか〜?」優羽はただのバカだよと言いたかった。
ブーブー。ブーブー。
優羽の携帯が鳴り、見るとナルからだった。
「ちょっとごめんね。」
「なんだよ?」
優羽が電話に出る。
「優羽さん、先程は本当にすいません。勘弁してください。」
ナルは今日中に優羽に許してもらおうと必死だった。
「許すか!俺はお前の教育係りだぞ!お前がいつまでたってもバカなのが悪るいんだ。
もうかけてくんなよ!」そう言うと優羽は電話を切った。
「まったく…」優羽はため息をついた。
「なんだか教育係って大変そうだね。」希美が言った。
「うん、あいつは特にね」優羽が苦笑いで言った。
「ナルさんって、優羽より年上に見えたけど、後輩なの?」希美が聞いた。
「ん?ナルは…6個上だったかな?まぁ、でも年とか関係ないんだ。」優羽が言った。
「ふぅ〜ん。そう。みずきさんは元気な人だね。」希美が言う。
「みずき?あぁ、頭のネジがはずれてるんじゃないかな?」優羽が笑いながら言った。
「みずきさんは優羽が好きみたいだね」希美がまた聞いた。
「あれは…乗りだよ。乗り。」優羽がごまかす。
「そっか。」希美は少し落ち込んだ事をごまかした。
「俺は希美が好きだからね」優羽が感づき、希美を安心させようとした。
「うん」希美はニッコリうなずいた。
「あのさ、この車ってベンツなの?」希美が聞いた。
「うん、そうだよ?」優羽が聞き返す。
「え〜!知らなかった…」希美はまさか自分がベンツに乗ってるなんて思いもしなかった。
「知らなかったのか。まぁ、女の子はあんまり車の事とか分かんないよね。」優羽は希美をかわいいと思った。
「ねぇ、優羽って普段はおっとりしてるのに、仕事の時は…あぁ、やっぱりいいや。」希美は笑いながら言った。
「え?な、なあに?」優羽はその次に言いたい事は何となく分かっていた。
「何でもない」希美は笑顔で言った。
希美の笑顔を見て優羽も笑顔になった。