遊園地デート
朝、優羽の家は明るい朝日に照らされ、キッチンからは料理を作る音が聞こえている。おいしそうなにおいも漂っている。
「ん、んー!」
目を覚ました優羽は背伸びをし、ベットから出た。
キッチンでは優羽の心から愛している妻、希美が料理を作っている。
「希美、おはよう」優羽が言った。
「おはよう」希美が笑顔で答える。
「おいしそう」優羽が料理をしている希美を後ろから抱きしめた。
希美の薬指には以前優羽があげた指輪と結婚指輪が輝いている。
「そうでしょ」希美は微笑んだ。
希美は高校を卒業し、専門学校へ通いだした。
長かった髪を肩まで切った。色も少し明るくし、大人の女性へ近づいていた。
こんな希美に優羽はますます惚れ込んだ。
今日は二人でとある遊園地リゾートへ行く予定だ。
朝食をとり、車へ乗り込み、二人は出発した。
「希美!次はあれ乗ろうよ!」優羽は子供の様にはしゃいでいる。
「うん、いいよ」希美も楽しそうだ。
二人は久しぶりのデートを楽しんだ。
「希美はこうゆうの平気なんだね?」優羽は絶叫系マシーンに乗り終えた後、ベンチに座りながら言った。
「大丈夫だよ。あっ、でも、縦に落ちてくやつは無理かな。」希美が言った。
「縦に落ちるやつ…ああ、これとか?」場内案内のパンフレットを見ながら優羽が言った。
「そう、これダメだな。こんなの乗ったら気絶する自信あるよ。」希美が笑いながら言った。
「じゃぁ、これは辞めとこう。気絶したら大変だからね」優羽も笑いながら言った。
「お化け屋敷は?」優羽が聞いた。
「怖いけど…入りたい!」希美が答えた。
「よし、じゃ行こう!」
二人はお化け屋敷へ向かった。
結構広いお化け屋敷だった。
「じゃあ、入ろう」優羽は希美の手を握った。
[プシュー!!!!]
「きゃー!!」希美はビックリしてしゃがみこんだ。
「希美大丈夫?ただの風だよ」優羽は笑いながら言った。
普通はこのただの風にみんな驚くのだが…
二人は奥へと進む。
[ガチャガチャガチャ]
牢屋の鉄格子の中に血だらけの男がいて、鉄格子を揺らしている。
「わっ!!」希美がまたビックリして声を出した。
「あはは、転んだのかな」優羽は血だらけの男を見て笑った。
さらに奥へと進んだ。
希美は優羽の手をしっかり握っている。痛いぐらいに強く。
[ねぇ…私の…ママ…どこ?お前か!!!]小さな子供の人形が恐ろしい形相で脅かした。
「きゃー!きゃー!きゃー!!」希美は恐怖でパニック状態。
「いや、希美はお前のママじゃねえよ」優羽はまた笑いながら言った。
他にもたくさん怖い仕掛けがあり、その度に希美は悲鳴を上げ、優羽は笑った。
「こ、怖かった…」外に出た希美が言った。
「ああ、怖かったな。」優羽が言った。
「嘘!全然怖がってなかったよ!てか、突っ込みまくってたよ!」希美が言った。
「突っ込み所満載だったからな!ってか希美。俺の手、血止まりそうなんだけど。」優羽の手はめいいっぱい握られ、感覚がなくなっていた。
「あ、ごめん」希美は握っていた事を思いだし、手を離した。
「希美は恐がりっと」
優羽はノートにペンで書くふりをした。
「これが普通だよ。優羽が怖がらなすぎなの!」希美が言った。
「じゃあ次は癒し系のに乗ろうか!」優羽が言った。
「うん、そうだね。それがいい…」希美は優羽に恐怖と言う感覚がないように思った。
二人はいっぱい楽しんだ。
「ふぅ…」希美がベンチに座った。
「希美、疲れちゃった?平気?」優羽が聞いた。
「うん、少し気持ち悪くなっちゃった。酔ったのかも。」希美が言った。
「ちょっと乗りすぎちゃったかな。大丈夫?」
優羽は心配した。
「うん、いつも酔ったりしないのにな。」希美が言った。
「そうか。俺、飲み物買ってくるよ。待ってて」そう言うと優羽は飲み物を買いに行った。
「はい」優羽は冷たい水を買って希美に飲ませた。
「ありがとう」希美は水を飲んだ。
しばらく休んでいると、気持ち悪さも無くなった。
「もう乗り物は辞めて店みてみようか。」優羽が言った。
「うん!お揃いで何か買おうよ。」希美が言った。
「そうだね」優羽も賛成した。
二人は店を見てまわった。
「希美。これがいいんじゃない?」
優羽が言った。
希美が見ると、色々な形にかたどられた、プレートに名前を彫ってくれるようだ。
「いいと思う!」希美が言った。
「希美、どれがいい?」優羽が言った。
ネックレスやブレスレットやキーホルダー、ストラップ。いろんな種類があった。
「ん〜ストラップがいい」
希美が言うと、優羽はストラップを二つ注文し、二人の名前を彫ってもらった。
「お〜ちゃんと名前が入ってる。」携帯に付けたストラップを見て優羽が驚いた。
プレートにはローマ字で二人の名前が書かれていた。
「すごいね、あっ、私の方にはハートが彫ってあるよ」希美が言った。
「本当だ!女の子だから入れたんだね!あの親父なかなかやるな。」優羽は名前を彫ってくれた親父をほめた。
日もだいぶ暮れて、二人はそろそろ帰る事にした。
車へ戻ろうとすると、優羽の車を見ながら、男女が何かを言っている。