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希美失踪

「優羽…あのね…」


優羽は以前希美が何を言おうとしていたのか気になっていた。


「…さん…」「…さん…」


「え?」優羽が顔を上げた。


「優羽さん聞いてますか?」ナルが何か話をしていたようだ。


「あ、わりぃ。何?」優羽が聞いた。


「だから、俺、みずき姫と毎日連絡取っちゃってるんです」ナルが嬉しそうに答えた。


「あぁ、そうなの?いつの間に交換したんだ?」優羽が聞いた。


「あれから俺、毎日みずき姫の所通いつめて、やっとメルアド教えてもらったんす」ナルが答えた。

「毎日行ってたのか?!すげぇなお前。」優羽が言った。


「はい!俺はガンガン行くタイプなので!肉食男子ってやつっす!」ナルが笑顔で言った。


「それより、他の女とは縁切ったか?」優羽が怖い顔をしながら聞いた。

「はい、もうきっぱり!もう俺はみずき姫しか見えないっす」ナルが真剣に答えた。


「そうか。がんばれよ」優羽が優しく言った。


「はい!」ナルも嬉しそうに答えた。


それから優羽は希美の事が気になりながらも、仕事をいつも通りこなした。

「明日、電話してみよう…」仕事が終わり、自宅へと帰ってきた優羽は明日、希美に聞いてみる事にした。


翌朝。


優羽は希美に電話をかけた。


プルルル…プルルル…プルルル…


「出ないか…」優羽は携帯を切った。バイトでもしているのかと思い、希美から連絡が来るのを待った。


しかし、その日希美からの連絡はなかった。


翌朝、優羽はもう一度希美に電話をかけた。


プルルル…プルルル…プルルル


「……」やはり希美は電話に出なかった。


優羽は何かあったのかと思い、メールを打った。「希美?何かあったの?連絡ほしい。」


それから、一週間希美から連絡が来る事はなかった。


「希美…どうしたんだよ…」優羽は希美から貰った羽のピアスを見ながら言った。


希美はもう、自分に興味がなくなってしまったのか…それとも、事故にでも合ってしまったのか…優羽は色々な事を考えた。あの時、希美が何かを言おうとしていた…

とにかく希美と話がしたい。


優羽は車を飛ばし、希美の自宅へ行った。


コンコン。コンコン。


優羽はアパートのドアをノックした。


「……」返事がない。誰もいないのか?


その時ドアが開いた。


「はい?」かったるそうに男が出てきた。上半身は服を着ていなかった。

「あの…希美は…?」優羽はどこかで見た事あるなと思った。


「あぁ?希美?お〜い!美佐子、希美どこ行った?」男が家の中に向かって言った。


「希美?知らないよ。」美佐子と言う女が言った。


「誰?」女が出てきた。女も上半身キャミソール一枚の姿だった。


優羽は女を見て思い出した。

前に希美を送った時にアパートからいちゃいちゃしながら出てきた40代の男女だった。


「俺、安積と言います。希美の事探してるんですけど。」優羽が二人に言った。


「あっ!ちょっと!これあんたの車!?」女が言った。


「えっ?あぁ、そうですけど…」優羽が答えた。

「ベンツじゃねえか。」男が車を見ながら言った。


「あの、希美は?」優羽が問いつめる。


「あはは!入りな!」女が言った。


優羽は部屋へ上がった。

狭い部屋だった。台所は食べた物で散らかっていた。


「あんた希美の男か?」女が優羽をまじまじと見ながら言う。


「そうです。」優羽が答えた。


「へぇ〜、あいつ良い男たぶらかしたねぇ!金持ってそうだ。」女が笑いながら言った。


「あなた達は希美とどうゆう関係ですか?」優羽が少しムッとしながら聞いた。


「俺はあんなバカ女とは無関係だ」男が笑いながら言う。


「私は希美の母親だよ!一応な。」女はあまり言葉使いが良くないようだ。


「一応?」優羽は二人を見てるとどんどん腹が立ってきた。


「あぁ!希美は私の再婚相手の子供だよ!まぁ、そいつとも、もう終わったさ」女が言った。


優羽はこの女を殴ってやりたかった。


「希美は今どこ?」優羽が素っ気なく聞いた。


「あのバカ女、うちの金全部盗んで、どっか行ったよ!」女が怒りながら言った。


優羽はどんどん腹が立っていくのを、しずめながら聞いた。


「いつ?」


「もう一週間ぐらいじゃないかねぇ?お前、希美の男なら金置いていけよ」女が言った。


「こころ辺りは?」優羽は無視して聞いた。


「ある訳ないだろ!いなくなってせいせいしてるんだ」女が笑いながら言った。


「希美のお父さんは今どこにいる?」優羽は目をつむりながら聞いた。

これ以上、女を見たら本当に殴ってしまいそうだった。


「ほれ。聞きたかったら金!」女は手を差し出している。


優羽は女を睨み、財布を出した。


「うわ!やっぱこいつ金持ってる!5万もある!」女が優羽の財布からお札を抜きながら言った。

「そりゃそうだ!ベンツ乗ってるぐらいだもんな!」男も金を見ながら嬉しそうにしている。


「早く言え。」優羽が言った。


「静岡だよ。それしか知らない。」女が金を見ながら言った。


優羽は舌打ちし、アパートから出て行った。


優羽は車に戻り、一度自宅へ戻った。


「くそっ…」優羽は怒りでどうにかなりそうだった。

希美はあんなやつらと暮らしていたのか。希美はとても良い子だった。そんな希美をバカ女呼ばわりだ。どれほど希美は辛い思いをしていたのだろう。

あの時の言葉がよみがえる。希美は自分に助けを求めてたのかもしれない。そんな希美の気持ちを知らなかった自分にも怒りを感じた。


優羽は希美がお父さんに会いに行ったのではないかと思い、居場所を聞いたが静岡に住んでる事しか分からない。


「……」優羽は気持ちを落ち着かせ、考えた。


静岡に行くしかない。

希美が静岡に行っているのかどうかも分からないが、行くしかなかった。

優羽は大きめの鞄に服や金を詰め込み車に乗り込み、静岡へと向かった。



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