クリスマスイブ
そしてとうとうクリスマスイブ当日。
希美はバイトがあり、二人は夕方から待ち合わせをした。
「今日は忙しかったよ。」迎えに来た優羽の車の助手席に乗りながら希美が一息ついた。
「おつかれ様。やっぱりクリスマスはケーキ屋が一番忙しいね。」優羽が優しく希美に言った。
優羽は予約しているレストランへと車を走らせた。
「着いたよ」車をとめ二人は車から降りた。
「すご〜い!」希美は建物を見てビックリした。お城の様な建物が、イルミネーションで輝いていた。
指輪を買いに行った日に百合に教えてもらった。
さぁ、行こう。
優羽は希美の手を引き中へと誘導した。
中へ入ると、係りの人が個室へ案内してくれた。
部屋の雰囲気もクリスマス感たっぷりだった。
「優羽、素敵なお店ね」希美はとても気に入ってくれてる様だった。
すぐに飲み物が運ばれて来て、二人はグラスを付け乾杯した。
「希美は料理とかするの?」優羽が聞いた。
「うん、ご飯は毎日作ってるよ」希美が答えた。
「お母さんは作らないの?そおいえば、希美のお母さんとお父さんってどんな人?」優羽が聞いた。
「うちの親、離婚してて、お父さんの事は良くわからないの。お母さんは……」希美は言葉を詰まらせた。
「お母さんはあんまり料理しないかな〜」なんだか希美は空元気の様だった。
「そうだったの…知らなかったよ。ごめんね」優羽は変な事を聞いてしまい悪いと思った。
「ううん…そうだ。私ね高校卒業したら、調理師の専門学校に行こうと思ってるの」希美が話しを変えた。
「調理師!いいね!希美の作ったの俺いっぱい食べたい」優羽が笑いながら言った。
「優羽は何が好きなの?」希美が聞いた。
「肉が好きだな」優羽が答えた。
「じゃぁ、お肉料理たくさん勉強しておくね!」希美が楽しそうに答えた。
料理が運ばれて来た。
「いっぱい食べよう」優羽が行った。
「うん!いただきます」希美はご飯を食べようと髪を耳に軽くかけた。
「希美、耳」優羽が希美の仕草を見ていたら、耳にピアスを付けていた。
「あっ、開けちゃったぁ」希美が恥ずかしそうに行った。
「きれいだよ」優羽は希美を見つめながら言った。
希美は嬉しそうに笑った。
「この前、急にお店に行ってビックリした?」希美が聞いた。
「ビックリしたよ。でも来てくれて嬉しかったよ」優羽が言った。
「あれからまゆがね、プリンス様素敵って毎日のように言うの」希美が笑いながら言った。
「あはは、そうなんだ。ハルさんも、たまにはああゆうのもいいって喜んでたよ」優羽が言った。
「そおいえば、まゆちゃんとミチは付き合ってるの?」優羽が聞いた。
「付き合ってはないんだけど、ミチ君がまゆちゃんに片思いしてるの。まゆもその事分かってていじわるしてるだけなの。」希美が言った。
「まゆちゃんはミチが好きなの?」優羽が聞いた。
「どうなんだろ?まゆは嫌って言ってるけど、二人ともいつも一緒にいるし。本当は好きだと思うよ」希美が答えた。
「そっか」優羽はニッコリ笑った。
久しぶりに会った二人はたくさん話しをし、たくさん料理をたべ楽しい時間を思いっきり楽しんだ。
「おなかいっぱい」希美が言った。
「うん、おいしかった?」優羽が聞いた。
「おいしかったよ」希美が笑顔で答えた。
優羽も希美の笑顔を見て笑顔になった。
「希美、プレゼントがあるんだ」優羽が綺麗に包装された物を希美に渡した。
「ありがとう。開けてもいい?」希美が言った。
「もちろん」優羽が言った。
ゆっくりとリボンをはずす希美、小さな箱を開ける。
「わぁ…優羽…これ…」希美は箱の中に入ったキラキラ輝く指輪を見てびっくりしてしまった。
「かしてごらん」優羽は指輪を箱から取り出すと、希美の左手の薬指にはめた。ピッタリだった。ハルが言った7号で大正解だった。
「優羽…こんなの」希美は自分の薬指にはめられた指輪を見ながら言った。
「希美の事、本気で好きだから…それに、あんまり会えないから男よけ」優羽が希美を見ながら言った。
「優羽…ありがとう…」希美が言った。
優羽は優しく微笑んだ。
「優羽、私もこれ」希美も綺麗に包装された袋を優羽に渡した。
「あ、ありがとう」優羽はビックリした。プレゼントをあげる事でいっぱいだったので、まさか自分も貰うとは思ってもいなかった。
「開けるよ?」優羽が希美に聞く。
「うん」笑顔で希美が返事をした。
包みを開けると、中には羽の形をしたピアスがキラキラと光っていた。
「ピアスだ」優羽が喜んだ。
「優羽の羽をイメージして買ってみました」希美が笑顔で言った。
「希美、ありがとう。嬉しいよ。」優羽はとても嬉しかった。
二人はプレゼント交換をし、しばらくしてから店を後にし、車へと戻った。
車を走らせながら、優羽が希美に言った。
「希美?これからうちに行ってもいいよね?」
「う、うん…」希美は下を向き緊張をかくした。
優羽は自宅へと車を走らせた。
優羽のマンションへ到着。最上階へ行き、ドアを開けた。
「さぁ、入って」優羽は希美を中へ入れた。
「ゆ、優羽?ここに一人で住んでるの?」希美が驚きながら聞く。
「ん?そうだけど。まぁ、一人暮らしにはちょっと広いかな」優羽が言った。
ちょっと所の広さではない。
希美が靴を脱ぎ、家へ上がった。
リビングにある大きな窓のカーテンを少し開け、外を眺めた。
「すごい…」希美は見るものすべてにすごいとしかいいようがなかった。
最上階の為、外の景色が見渡せた、夜なので、明るい光がたくさんあった。
優羽はハルの部屋を知っている為、自分の部屋がそれほどすごいとは思っていなかった。
だが、普通の子から見ればすごい場所だった。
「希美。好きなとこ座ってて、今紅茶入れるよ」優羽がキッチンでお湯をわかした。キッチンはカウンター状になっており、リビングを見渡せた。
優羽が紅茶を入れ持ってきた。希美は借りてきた猫の様にチョコンとソファーに座っていた。
優羽は、座ってる希美の横に座り、紅茶をテーブルに置いた。
希美が優羽の部屋をぐるぐる見渡す。
「希美?どうかした?」優羽が聞いた。
「なんだか、優羽って、やっぱり別の世界の人なんだなぁって思う。だって、うちは小さなアパートだよ。」希美が笑いながら言った。
「あはは、確かに。俺もホスト始めた頃は先輩の金銭感覚とか付いていけなかったなぁ。まぁ、今もか。でも、希美の家にはお母さんがいて幸せでしょ?」優羽が聞いた。
自分で金を稼ぐようになってからは、少しは慣れた優羽だが、キャバクラをポンと作ってしまう所や、百合に一億のネックレスをあげてしまうハルには今だに付いていけない所があった。
「うん…そうだね。」希美は短く答えた。
あまり家族の話しをしない希美、優羽を気遣ってるのか、それとも何か事情があるのか優羽には分からなかった。
「紅茶あったかいうちに飲もう。希美は砂糖一つだったね」優羽が希美のカップに砂糖を一粒入れ、希美に渡した。
「ありがとう」カップを受け取ると、希美は一口紅茶を飲んだ。
「優羽はホストの他に何か働いてた事あるの?」希美が聞いた。
「うん、高校辞めてから、寮付きのパチンコで働いたよ。」優羽が思い出しながら言った。
「そうだったんだ。そこはどうだったの?楽しかった?」希美が聞いた。
「ん〜、いや、楽しくなかったかな。あんまり、しゃべる人も出来なかったな。あとは、喧嘩も多かったよ」優羽が苦い思いでを語った。
「そう、パチンコ屋さんの後にホストになったの?」希美が聞いた。
希美は自分の知らない優羽を知っておきたかった。
「そうだよ。ハルさんのお父さんに拾ってもらったんだ。」優羽が言った。
「ハルさんのお父さん?」希美が聞き返した。
「うん、ハルさんのお父さんはうちの店の社長だよ」優羽が言った。
「へ〜そうなの。だから、優羽とハルさんは仲がいいんだ」希美が納得しながら言った。
「そうかもね」優羽が微笑んだ。
優羽は持っていたカップをテーブルに置いた。
そして、もう少し希美の近くへと寄り、希美の肩に腕をまわした。
希美は下を向き緊張しているようだった。
「希美?こっち向いて…」優羽が希美を見つめながら言った。
「……」希美は恥ずかしそうに優羽の方を向いた。
優羽は希美の綺麗な目、赤く染まった頬、透き通るような綺麗な肌、唇の下のセクシーなほくろを見つめた。
そして、希美の唇に指をふれた後、自分の唇と希美の唇を重ねた。
優羽は希美の頭を腕で包み、長いキスをした。希美も優羽の服を握っている。
二人が唇を離すと優羽が言った。
「希美、ベット行こうか」そう言うと優羽は希美を抱き抱えお姫様だっこをしてベットにおろした。
「希美、いい?」優羽は希美に確認した。もう我慢出来なかった。
「…」希美が頷いた。
優羽は希美の返事を確認すると、希美の頭をなで、またキスをした。さっきよりも激しく。
「優羽…私…初めてなの…」希美が言った。
「優しくするから、安心して」優羽は希美の耳元でささやいた。
優羽も初めてだったが、それは言わなかった。
「愛してるよ…希美…」
そして二人は愛し合った。