指輪
[クリスマスイブ一緒に過ごしたい。]
優羽は希美にメールを送っていた。
最近は何かと忙しく、なかなか希美に会う事が出来なかった。
希美からの返事は、もちろん私もとの事だった。
今日、優羽は希美のクリスマスプレゼントを買いに来ている。
「優羽様の恋人はどの様な方なのでしょうか?」専属リムジンの中、ハルの横に座っている百合が優羽に聞いた。
優羽は希美のプレゼントをハルに相談した所、女が欲しがるのは指輪じゃねぇかともっともな事を言った。百合の行きつけの店があるので、連れていってくれると言う。
まゆが以前言っていた事もあり、希美の男よけになると思い優羽も賛成した。
「かわいいらしい感じだよな!」ハルが優羽に言った。
「はい、すげぇかわいいです」優羽が照れながら言った。
「そうですか。一般の方でしょうか?」百合がまた聞く。
「はい、今高3です」優羽が答えた。
「まぁ!高校生とは。お若い」百合が羨ましそうに言った。
「そおいえば、百合さんっていくつなんですか?」優羽が聞いた。
「私、26にございます。」百合が言った。
「そうなんですか、やっぱり」優羽がハルを見て言った。
「ん?何だ?」ハルが不思議そうに言った。
「やっぱりハルさんは年上好きだと思いました。」優羽がニヤニヤしながらハルに言った。
「当たりめぇだ、俺はガキには興味ない」ハルもニヤニヤしながら答えた。
車が止まった。
「着きました。」百合が言った。
三人は車を降り、店の中へと入って行った。
中は高級感たっぷりで、綺麗なガラスケースの中に輝く宝石類がたくさん並べられていた。
店内にいる客達は、いかにも金持ちやセレブと言った人達ばかりだった。
「おぉ!俺これ欲しいな」ハルがピアスを見ながら言った。
「ハル様。優羽様のお目当ての物が先でございます。」百合がハルを見て怒った。
「おお。そうだったな。」百合に言われ、ハルは素直に従った。
それを見た優羽は少し笑ってしまった。
「優羽様、こちらにある物は高校生の彼女様にはかわいくてお似合いかと思います。」百合はそう言うと、違うガラスケースに歩いて行った。
二人は百合の後に付いて言った。
百合が言ったガラスケースを見ると、女の子らしい、かわいい指輪がたくさん並べられていた。
「いいですね!希美に似合いそうなのありそうです」優羽が百合を見て言った。
百合は微笑んだ。
優羽はどれがいいか選んだ。いっぱい悩んだ。
百合もハルも色々アドバイスした。
やっと決まった。
白い宝石がハートの形に埋め込まれたシンプルな形の物に決めた。動かすたびにキラキラと輝いていた。
「あっ…!」優羽は重要な事に気が付いた。
「何だ?」ハルが聞いた。百合も不思議そうに見ている。
「俺、希美の指輪のサイズ聞くの忘れてた…」
優羽が言った。
「7号だ」ハルが言った。
「えっ?」優羽が驚いて聞きかえした。
「俺は見ただけで指輪のサイズが分かる」ハルが自信満々で言った。
「すげぇ〜」優羽はハルを神様でも見るかの様な目で見た。
優羽は7号の指輪を綺麗に包んでもらった。
優羽の買い物が終わり、ハルは先ほどのピアスを見ていた。
「これかっこいいな」ハルが黒い宝石のピアスを見ながら言った。
「ハル様、百合はこちらのお色の方が好きでございます」百合が違う色を見ながら言った。
「おう、そうか」
二人はとても仲むつまじかった。
優羽はそんな二人を見て嬉しく思った。
優羽がふと目をやると、どこかで見た事あるネックレスが飾られていた。パールとダイヤで作られたネックレス。以前、百合が首にしていた物だ。
「百合さん、これ」優羽がネックレスを見ながら言った。
「優羽様は良く見ていらっしゃいますね。同じ物を以前、ハル様が百合にプレゼントしてくれました」 百合が言った。
「ハルさん、これ高そうですね」優羽が言った。
「俺は百合に一億つぎ込んだぞ」ハルが言った。
「一億?!」優羽はビックリしてしまった。次元が違うと思った。
「ハル様、何かあった時にはこれを売って、生活いたしましょう」百合は冗談まじりに言った。
「売るな」ハルも笑いながら突っ込んだ。
希美のクリスマスプレゼントを買った優羽は、クリスマスイブが待ち遠しかった。
今まで、クリスマスがこんなに待ち遠しかった事はなかった。