第六百三十八話『占(うらな)いにゃん』
第六百三十八話『占いにゃん』
《『売らない』じゃにゃいのにゃん》
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「んならアタシも」
『対抗心メラメラ』
「でもって」
『買わない』
「のわん」
「……にゃから」
『売らない』
「じゃにゃいのにゃん」
「んなら」
『買うのわん』
《毎度ありがとうございましたのにゃん》
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「ねぇ。
あなたが」
『仙ネコに、
なろうとしたものの、
いろいろ、
とメンドウになったもんで、
初っぱなも初っぱな、
一日目の、
しかも途中で、
ざせつして、
ほっぽり出した』
「って評判の、
みんながみんな、
大笑いしてやまない、
シッポの短い、
真っ黒黒の地中ネコ」
『幸せの占いおじん』
「なのわん?」
『やかましいわっ!』
「こら。
そこな花の妖精。
わしに、
ケンカでも、
売っておるのか?」
「へっ?」
《ううん。正直もんすぎるにゃけにゃんよ》
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「まぁまぁ。
んれよりも、おじん。
おじんの占い、
って当たるのわん?」
「当たるも八卦。
当たらぬも八卦じゃ」
「ええとぉ。
どっちなのわん?」
《んにゃ。『あるある』にゃ、お話にゃん》
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「とはいっても、
かつて」
『仙ネコ』
「をめざしただけあって、
わしの占いは」
『霊験あらたか』
「黙って座っていても、
ぴたり、
と当ててしんぜよう」
『ホントなのわん!』
「んなら、
なにがなんでも、
やってもらわなきゃあ。
実はね。
今アタシ、
ちょいと困ってんのわん。
というのも」
「うむ。
見えてきた。見えてきたぞ」
「へっ?
あのぉ」
『まだなぁんも』
「しゃべって」
「そなたのかたわらに、
うずくまっておるネコ。
あやつはのう。
わしの占いによれば」
「よれば?」
『おネムの真っ最中』
「なのに、
違いあるまいっ!」
『……アホくさ』
「んなの誰だって、
アタシだって判るのわん。
こりゃあ、
ハズレを引いたなぁ。
……しょうがない。
ミアンを起こして、
連れて帰るとするのわぁん」
《以来、ミーにゃんは『占い』をあやしんでるのにゃん》




