第六百十四話『ムキにもにゃるのにゃん』
第六百十四話『ムキにもにゃるのにゃん』
《こっちのお話こそ、前座にゃしの本筋にゃん》
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「だったら、ミスト。
向こうで遊んできてさ。
でもって、
別れる時もそういうわけ?」
「えっ。
……そうね。
いわれてみれば、違うわ。
ただ、ごく普通に」
『なら、また明日ね』
「じゃなかったかしら」
「それってどういうこと?
ミスト。
あなた、まさか、
わたしさまと、
一緒にいるのがイヤで」
「あら。
いつになく、
ムキになってるじゃない。
……そう。
ついに訪れたのね」
『吹っ切れる日』
「とやらが。
ああ。
想い起こせば」
『長の代理』
「となってからのあなたって、
ずぅっとのずぅっと」
『上から目線』
「と」
『おすましさん』
「が同居中のありさま、
ってこともあって、
今では」
『あの子、
つきあいにくくなったわね』
『当分の間、
離れていようかしら』
『気にしなくたっていいわ。
そばに来ても、
スルーすればいいだけ、
の話じゃない』
「とかなんとか仲間うちで、
さんざん」
『影口』
「なるものを、
たたかれる始末。
あなただって、
つらかったんじゃない?
……でもきっと、
それもこれも、
今日でおしまいね。
親友のわたしとしても、
重い荷物を下ろしたように」
『やれやれ。ほっ、とした』
「って感じかしら」
『あのね』
「その手に乗ると思ったら」
『大間違いのこんこんちきの、
ざぁざぁ降りよ!』
「あら」
『霧の都』
「なのに?」
「ミスト、はぐらかさないで」
「はぐらかすもなにも。
わたしとしては」
『本音を吐露』
「したつもり、であって」
『はぐらかす』
「なんて、とんでもないわ」
《マグロのトロがいいのにゃん、と願って、つづくのにゃん》




