第六百十二話『神秘の美少女にゃん』
第六百十二話『神秘の美少女にゃん』
《どさくさまぎれに『美』をつけるあたりがまたにゃんとも》
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「……ねぇ、ドナ。
それがいいたくって、
長々と話してたの?」
「ええ」
「そう。……だったら」
『ご苦労さま』
《いかにもミストにゃんらしい、冷ややかにゃる反応のにゃん》
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「気持ちはよく判るわ。
判ったうえで、なお、
わたしはいいたいの。
自分は」
『神秘の美少女』
「である、と。
この気持ちがゆらぐことは、
断じてあり得ないわ」
「——おやおや。
『美少女』
まで、
くっつけちゃうなんて。
ホント、
怖れを知らないったら、
ありゃ……まぁいいわ。
親友の寝言、と思えば——
ミスト。
あなたって、そんなに」
『特別なお方』
「になりたいの?」
「だって、わたしたちは」
『霧の見る夢』
「が描いた妖精なのよ。
それを」
『神秘』
「といわなくって、
なにが」
『神秘』
「なのよ、
って訴えたくなるくらい」
『神秘な存在』
「じゃない。
わたしのいってること、
違う?」
「そりゃあ違わないけど」
「そして、
夢だけに、この」
『神秘』
「は、あまりにも、もろいの。
いつどこで、
どうなるともかぎらないわ。
次の瞬間、
ぱぱぁっ、
と消えうせても、
フシギでもなんでもない。
だから……、
どうしてもいっちゃうの」
『さよなら』
「ってね」
《にゃるほろぉ、と『判ったフりのネコ』で、つづくのにゃん》




