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Ⅵ-07 シャムスの決意とスタンピード

話のキリが悪く、今回は少し短いです。

すぐに次話を続けますのでご了承ください。



 帰ってきたシャムスが魔鉱銃を持ち、魔石を弾にしてくれと言った時点で彼女が何をしたいかわかった。


「シャムス、それは……」


 反論しようとしたけど、まずは話を聞けとマリーに制された。


「ユーリが守れないならそのぶん私が強くなればいいでしょ? 沢山の魔石を見ていたらズークさんの所にあずけていた魔鉱銃を思い出したの。この銃を私につかわせて!」


「確かにそれはシャムスのために用意したものだから使う分にはかまわないんだが……」


 それはまだ二人で旅ができると思っていた時の話だ。

 俺が魔獣を引き寄せる称号を持っているとばらしたのに、それでも一緒にいる意味ってなんだ?

 核心へ至る質問は言葉にできるはずなのに、結局うなずくことしかできなかった。

 今俺は風属性のクズ魔石を土魔法クレイで飴の様に溶かし、出来上がった魔石塊からひたすら魔鉱弾のレプリカをつくるため薬莢を量産している。


「魔石塊作りは受付嬢のスキルなのに……」


 隣ではマリーが不満げな顔でこちらをチラチラ見ながら粒魔石を属性ごとによりわけている。


 今やっているのは土と水だ。

 爆発的な空気圧を生む風属性魔石は薬莢用にし、攻撃に向いた土属性、火属性は弾頭に使う。

 水属性の魔石は今回は加工せず、そのまま、レジスト用に使う。


「火属性弾頭の刻印が終わったよ。薬莢の刻印はじめるからちょうだい」


 シャムスの作業は機械的で、マリーの魔石選別に迫るほどの正確さで刻印作業をこなしていく。

 土属性魔石塊づくりはマリーに任せて、薬莢に弾頭をねじこんでいく。


 シャムスがどういうつもりかわからないけれど、彼女自身が強くなること自体は間違ってはいない。

 自力で戦えるというのであれば、確かに離れる理由はなくなるかも知れない。。一人にならずにすむかもしれない。

 土属性弾頭もでき、皆で仕上げ作業をしながら甘い未来を想像していた所に、冷や水を浴びせる音が鳴り響いた。


——カンカンカン

——カーーーーーーン

——カーーーーーーン

——カーーーーーーン


「この鐘の音ってスタンピード、だよな?」


 頭の中が自分への怒りで真っ白になる。

 早く出て行かなきゃいけなかったのに、未練がましく先送りにした結果がこのざまだ。

 魔獣達のスタンピードは、渡りであったり食欲であったりパニックであったり、様々な理由でおこる。

 でも今回の理由は明白だ。俺の”無尽の魔石”が呼び寄せた。


 拳を握り、手にしていたのが火属性弾頭だと気づいて慌てて力を抜くと、横から指が伸びてきて弾頭を奪っていった。


「テーベはね、湾の構造上スタンピードが多いの。だから住民は対応する訓練をつんでいるのよ。一般人も適性限定がゆるい人は戦闘に参加して今まで何度も活躍してるわ。そのたびにみんな臨時収入が入るって喜んでる、それくらいの感覚なのよー」


 マリーが薬莢に弾頭をねじ込む。

 俺が贄系の称号持ちだと知ってなお落ち着いているマリーの手つきを見ていると、自分だけ熱くなっているのが恥ずかしくなってきた。


 俺が内心もだえているのをよそに、シャムスはマリーから弾丸を受け取ると、それを細長い布に一列に並んだ刻印弾の中に加え、くるくると巻いて肩掛け鞄に詰め込んだ。簡易的な弾帯だ。


「さ、行こうよ。街の人達でもなんとか出来るだろうけど、ユーリと私が参加すればテーベの被害は少なくなるよ」


 やる気に満ちたシャムスの声で萎縮していた気持ちがほどけていく。

 先ほどまで本心だと思っていた自責の念が、いじけた気の迷いだと思えてきた。

「そうだな、まずは撃退してからだ。先のことはその後考えよう」


お読みいただきありがとうございます!


少しでも気になった方、是非ブクマの上で続きをご覧ください。

★★★★★評価ももちろん大歓迎します⁉


↓↓↓こちらも是非どうぞ!

ハイファンタジー

どうやら相続した防具が最強っぽいんだが。

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[一言] ヒャッハー!なろうハイファン名物スタンピートだー!
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