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Ⅳ-07 武器選び



 店内を歩き回りどんな武器があるかあらかた把握した。

 基本短武器は横に架けてあり、長柄武器は縦に立てかけられている。


「素槍、火属性刀剣、火属性槍、各属性曲刀、火属性トライデント、水と火の複属性ツインランス、火属性ウォーサイズ、火属性フットマンズフレイル、あとは一点ものの武器か……見事に偏ってるね」


 さっきアジーザを一緒に吸っていた狩人から聞いた話の通り、この都市の狩人は水棲魔獣専門らしい。

 テーベの隣にある入り江を改造し、水棲魔獣が群れで入ってきたところで逃げられないようにして狩るという。


 もちろん食用もあるけど、呼び寄せるのための魚の養殖も大規模にしているというのだから組織的だ。

 ギルドが豪華なのもうなづける。


 それにしても武器の質は良いけど選択肢がない…… 

 俺は単身で戦わなくてはならないから、土魔法をレジストされた時は近接戦闘をしなくてはならない。

 突っ込んで肉薄し、さっき頼んだ篭手でレジストし無防備となった敵と接近戦。という流れだ。


 しかも魔物魔獣だけではなく多数の人間にも対応できるようにする必要がある。

 世の中には上位の狩人以外にも、軍人、船乗り、開拓者といった職業に猛者がゴロゴロしている。


 もちろん彼らと敵対する可能性なんて低いけど、同郷の外来者が金でも権力でも使えば敵対することだってあり得る。

 彼らの中には俺みたいな全属性持ちの上位互換だっているかもしれない。


 考えて気が滅入ってきたけど、今は相性の悪い土属性魔獣と戦えればいいさ。金も無いしね。

 さっきの情報収集でこのあたりの植生は把握したから、魔物・魔獣の分布は推測できる。せいぜい稼ぐとしよう。


 自分の背丈と同じくらいの手槍を手に取る。

 少し穂先が大身なだけで形はありふれている。けれど実は高威力の火属性付与がされているという玄人好みの一本だ。予算内で買えるし、良心的だな。


「えーそれにするの? あなた手槍向きじゃないでしょ?」


 肩越しにひょいとマリーがのぞいてくる。わかったような口をきく。


「結果がでれば問題ないだろ? そっちが目をむくような量の魔石を持ってきてやるさ」


「へー」


 あきらかに信じていない半笑いを返された。


 マリーは興味をなくしたのか、シャムスと一緒に魔導具がおかれた一角へと戻っていった。せいぜい笑っていればいいさ。

 その姿を追うと、魔導具スペースの手前の角にあるガラスケースが目にとまった。


「魔鉱銃……」


 この世界には基本的に弓矢、銃火器は存在しない。

 理由はSPにより即死しないということもあるし、魔法を含む飛び道具の弾道を曲げる風魔法のアローカットがあるからだ。

 アローカットは下位魔法なので使い手は多いし、同じ効果を生む魔導具も安価に手に入る。

 でも、星遺物の銃があるため、銃の概念自体は知られているし、最近まで魔導具として実在していた。それが魔鉱銃だ。


 魔鉱銃はその名の通り、魔鉱を加工し弾丸として打ち出すもので、着弾すれば即死級の強力な魔法が発現させる事が出来る。

 本来威力減衰で届かない距離に強力な魔法を放てるのは暗殺用として相当のアドバンテージだった。


 そうして生まれた魔鉱銃だけど、魔鉱弾一発でアサシンが三人は雇えるというコスパの悪さから結局廃れていき、今はせいぜい貴族の骨董部屋にしか現存していない。何事も例外はあるけど。


「ズークさん、これは売り物ですか?」


思わずケースに歩み寄り、後ろにいたズークさんに聞いてみる。


「タメ口でいいわい。ユーリ、お前さんこれが何かしっとるのか?」


 ズークさんがフランクなやりとりを要求してきた。

 苦手なんだよね、見た目が子供とはいえ年上にタメ口きくの。


「じゃあズークじいさんで。魔鉱銃は一度見たことがあるんだ。だから知ってる」


「そうか……ふむ、買っていくか?」


 いやいや、いきなり何言ってるの? 骨董品だよ? 


「でもお高いんでしょう?」


「いんや五万ディナ。ワシが実験用に作ったものでアンティークじゃあない。頑丈じゃよ?」


 五万か……しかも頑丈か……


「よし、槍とこれ買うよ。銃には槍と同じ細工をしといて。金策が出来たら防具と一緒に受け取りに来るからよろしく」


「おう、まかせておけ」


 でもじいさん、そもそもなんでそんなもんつくったんだ? 拳銃じゃなくてライフルだし。



お読みいただきありがとうございます!


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どうやら相続した防具が最強っぽいんだが。

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※用語解説

【アジーザ】

効能はそのままアロマテラピーな感じだけど、吸っているのが男ばっかりなので絵面的にはマテ茶のボンビージャを飲んでいる感じ。コミュニケーションツールなので、薬草の貸し借り(誰も覚えてない)は当たり前、珍しくて高い薬草はその場の皆で買ったりたかったりするのが普通です。


【魔鉱銃】

数百ジィの距離からドラフトラインも無く即死級の魔法が発現されるというチート武器。

ただし、ドラフトラインがないという事は外す可能性が高いということに加え、弾丸に即死級の攻撃力を持つ魔鉱(五千万ディナ相当)を使う必要があります。

つまり、外せば五千万丸損という事です。

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