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Ⅳ-06 魔導鍛冶の店



「あと必要なのは防具と武器だな」


「だったら良い鍛冶師紹介するわよ」


 ギルドの受付嬢だけあって狩人関連の情報には自信があるみたいだ。


「そうか。その人の専門は?」


「うーん? 魔導鍛冶は当然として、魔導技士もやってるとは聞いてるけど。なんでそんなこときくの?」


「ちょっと欲しいものがあってね。それよりシャムスの装備なんけど」


 魔導技士なら多分道具も売ってくれるだろう。


「シャムスちゃんは護身用の魔鉱は持っていても素人なんでしょう? ならSP自動回復型の魔導甲冑とか良いんじゃないかしら」


 なぜ前線突撃用の装備を勧めてくるのだろうか? なんでこの女は拾いづらい球をなげてくるんだろうか?


「シャムスに甲冑で街を歩けと?」


「普段はマジックボックスと同じ異空間にしまっておける展開式があるじゃない」


 ボケではないらしい。非常に残念だ。残念な頭だ。


「前衛は俺がするし、そもそも予算的に却下だよ。とっとと店に入らせてくれ」


 話しているうちに鍛冶工房に到着していた。

 派手な煙突も無ければ金属を叩く槌の音も無い。外見的にはただの武器屋にみえる。

 それはこの工房が日用品をつくる鍛冶ではなく、魔導鍛冶の工房だからだ。


 魔導鍛冶は鍛冶師ではなく錬金術師の系統に属するから、クレイ系の土魔法で火床も金床も使わずに原料の金属から刀剣、甲冑を作り上げる。

 なので、いかにも親方と呼ばれそうなドワーフは魔導鍛冶では少数派だ。

 どちらかと言えば頭脳労働をしそうな鍛冶師が多い。


「いらっしゃい。何か捜し物かの?」


 赤髪を短髪にした少年と茶髪の少女が、商品の陳列をやめてこちらに歩いてくる。

 ぱっと見子どもにしか見えないが、その物腰はとても少年のものとは思えない老成されたものだ。

 ドワーフはエルフより若い時点で成長が止まる。

 ごくたまに先祖返りと呼ばれる、髭が生えてごつくなるドワーフが生まれるらしいけど、俺はまだ会えていない。



「ズークおじいちゃん、この女の子用に魔導甲冑つくって?」


「相変わらずアホじゃなマリーは」


 ドワーフのズークさんがマリーのオーダーに呆れた顔で答える。マリーまだ諦めていないのか。


「魔導甲冑がいるのはむしろこっちの男じゃろが」


 ん? なんで俺?


「ユーリは土魔法使いだから防御なら心配要らないと思うんだけど」


 マリーもなんで? という顔をしてズークさんに聞き返す。


「この男の身体はバランスが悪いんじゃ。魔導甲冑かはしらんが、何らかの魔導具に頼っていたはずじゃ」


 伝説の針灸師かよこのじいさん。

 昔はともかく、今の俺は武器よりもSPが上がる装備ならなんでも欲しい。

 マイナスLPのせいで防御に不安がありすぎる……財布と相談だけど。


「既製品で良いので俺が装備できる魔導甲冑ありますかね? あ、俺ユーリっていいます」


 あっぶね、シャムスにまたクズ呼ばわりされる所だった。

 ズークさんからも名乗り返されほっとする。


「え? シャムスちゃんには甲冑買わないのに自分は買うの? クズなの?」


 不満げななマリーがうるさい。今度はマリーにもクズ呼ばわりか。


「冗談だよ。俺だって魔導甲冑はオーバースペックだ。俺もシャムスも篭手で十分だよ」


 魔導甲冑は魔法の飽和攻撃にも耐える強力な防具だ。

 そんなのが必要なのは突撃の上集団を蹂躙できる肉体の持ち主か固定砲台役ぐらいだろう。


「ズークさん、そういうわけで魔導篭手の取り置きをおねがいできますかね? どちらも全属性レジストが4回はできるやつで、この娘用のはスロット八つの魔石交換式、俺用のは体内魔力供給式で」


 防具の要はレジストにある。

 本来は自分がレジストできない属性魔法に対する手段としてつかわれるのだ。

 自動で発動するのも大きい。


「ふむ、面倒じゃが既製品に増槽すればええか。お前さんは既製品を自分で調整できるじゃろうが、嬢ちゃんの分は手を採寸しておいてオーバーホールじゃな、おいダナ」


 文句をいいつつも聞き返さずにズークさんがメモを取っていく。

 そのそばに茶髪の少女……推定七十歳のドワーフ少女がやってきた。


「はいはい……腕のついでに全身の寸法をやっておこうかねぇ? 嬢ちゃん達、こっちへおいで」


 見た目最年少なおばあちゃんに連れられて二人が魔導具スペースに移動していく。


 手持ち無沙汰になったな。

 今のうちに武器を見させてもらうか。


お読みいただきありがとうございます!


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どうやら相続した防具が最強っぽいんだが。

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