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Ⅲ-02 依頼内容とステータスカード



「荷物を運ぶ先は南西部のティーラ属州州都のポエニキアだ。そこまで護衛としていくのが依頼内容だ。いいな?」


 荷物は護衛対象の隠語だ。トマスはいつの間にかプロのシーフの顔に戻っていた。


「ルートについてだが、ここナフタからポエニキアまでの直行便はない、だから直近の国際港テーベからティーラに入る」

「問題ない」


 テーベ港は東部属州や現在戦争をしているけどマツダ教国への便もある国際港だ。

 外海ともつながっていて、アーリア首長連合への航路はもちろん、オリエント世界ともつながっているとか言われている。


「だがテーベからのんびり船旅をするような予算はねぇからテーベからポエニキアまでは陸路を使うことになるだろう。もちろん陸路の途中で稼げれば船旅にするのもアリだ。その辺の臨機応変は荷物も了解している。しかし属州ティーラは知っての通り、海沿いの植民都市は栄えているが内陸の開拓は少しの農地以外全くといっていいほどすすんでねぇ。近くの漁村までの道はあっても隣の都市にいく街道すらねぇんだ。陸路は道なき道をすすんでもらう事になる。いいな」


 真面目な顔のところ悪いが言わせてもらおう。護衛で使う消耗品だって無料じゃないんだ。


「良いわけないだろ。荷物がどこまで手のかかる奴かわからないし、必要経費として五十万ディナは追加でつんでくれ。文無しじゃ装備も整わない」


「四十万だな。どうせ狩人に復帰すんだろ?」


 地図の上に手をつきながらトマスがニヤニヤと笑ってくる。


「なんでわかった?」


 別に隠すものでもないけど訊いてみる。


「ばぁか。犯罪者でもねぇのにわざわざ高い金だしてステカ偽造するなんておめぇくれぇだよ。魔法が使えるようになったから割の良い仕事につきたくなった。だが除名履歴(ブラックリスト)が邪魔。ステカ偽造すれば割の良い仕事はつける。出費だって元は取れる。わからねぇほうがおかしいぜ?」

 だれでもわかる、といいつつ背もたれに腕をあずけるトマスは得意げで腹が立つ。


「まあ、誰でもわかるか。お前でもわかるんだからな」

 皮肉まじりに肯定してやる。狩人には復帰、というか別人としてハンターギルドに再び登録するつもりなのは確かだ。


 とはいっても割の良い仕事もあるというだけで、ギルドに加盟するのはステータスでもなんでもない。そもそも狩人は職業ですらない。

 帝都周辺の狩人はほぼ傭兵か護衛のみで食べているガーディアンハンターは、貴族や豪商の目にとまり、騎士や専属護衛になるために研鑽するエリート候補生だったりするけれど、辺境で暮らす人なら街中の大工が本業のかたわら副業として狩人登録をしていたりする。


 魔獣から採れる魔石は旅をするにも、移動しながら得られるので魅力だ。しかしその魔石の換金を独占しているのがハンターギルドだ。だから登録をする。むしろ魔獣目撃情報や討伐依頼、避難指示などまったくせず、魔石の買い取りしかしていない支部が多い。


 今後も逃亡者として居場所を頻繁に変える可能性が高い俺にとっては外せない加盟先だ。

「ほれ、ステカできたぜ」

 星遺物から引き抜かれたカードを受け取り、目の前にかざす。時間、ステータス諸々は前の物と同じく表示されているけど、若干チラチラと画像がみだれる。


「おい、なんかノイズが走るんだが?」

「規格外ではねられたカードを無理して書き換えてんだ。贅沢言うな。何があっても保証外だからな」

 そのあたりのリスクは込みけど、ギルド員時代にジャンクカードで致命的なエラーが起きた話は聞いたことが無い。


 カードをソファに戻ってステカの詳細を確認していると、入口に人の気配がした。


「やっと荷物が来たか」

 トマスが重い腰を上げると座っていたソファが大きくきしんだ。


 お読みいただきありがとうございます!


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