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Ⅱ-06 罠師のやり方

 良いことにも目を向けよう。

 魔法、特に土魔法に関しては上限が取り払われた事が大きい。今は中級しかつかえないけど、いずれは上級、最上級、もしかしたら至天級にも手が届くかも知れない。

 技能スキルに関しても、土以外の属性も下位魔法が使えるようになったので、それまで凍結されていた技能スキルが一気に解放されている。ほとんど初歩スキルにすぎないが、それでも使いようで化けるものはいくつかある。


「さて、現状もわかったし行くか」


 足の震えも収まったしな。海岸から少し陸側に入った草原を進む。高所があそこまで怖いとは予想外だった。

 ガーランド高地の東側は海まで続く切り立った崖だったけど、南岸を西へ戻っている今はただの砂浜が続いている。このまま歩き続ければ街道に出るはずだ。


「お、メガシールだ。やっぱでっかいなぁ」


 海岸に小山のような巨体がだらっと寝そべっている。みためはゾウアザラシ、いや、水魔法をつかわなければゾウアザラシ以外の何物でも無い。

 ハーレムもってるし、畜生め。

 海棲魔獣の魔石は貴重なので狩らせてもらおう。


「スリンガー」


 足下から飛び出した大きめの石が弧を描いてメガシールの頭部に命中する。


 ――ブモッ!?


 脂肪と皮で全くダメージがない。こちらに気づいたメガシールが結構な速さで向かってくる。あの巨体でのしかかられれば、大抵の人間は逃げられずに継続ダメージでSPとLPを削られて死ぬ。


 ――ブモォォォッ!


 メガシールの周囲に光る青い霧が発生している。水魔法の前兆だ。


「ここで地面を消、す!」


 メガシールの巨体が鎖の切れた重りのように視界から消える。程なく地面の下からさっきの野太い鳴き声からは想像できない甲高い断末魔の声が聞こえた。

 終わったので地面をせり上げていく。イメージするのは歌舞伎とか演歌歌手が舞台に登場するときにつかうアレだ。名前は知らない。


 再び姿を見せたメガシールは腹から背中に極太の土槍を貫通させて絶命している。

 土槍をクレイで巨大な包丁に変化させる。自重でだんだん身体がさけていく。


「ゴーレムハンド」


 地面からゴーレムの腕だけを生やしてメガシールの下半身を後ろに引っ張る。よし、綺麗に裂けた。そのままゴーレムハンドで腹を探り魔石を取り出す。深い群青色の大きな魔石だ。


「よし、離れるか」


 その場を離れる。背負い櫃には毛布しか入れてないから楽なもんだ。手ぶらで旅してたらマジックバッグ持ちと宣伝しているようなものだからな。このあたりはお約束だ。

 本来メガシールは中位魔獣であり、遠距離から魔法を放ち、刃物を通さない分厚い皮をもつため簡単に倒すことはできない。


 けれど、今の俺なら地形を利用すれば一方的な瞬殺もできる。これは狩人の一種の罠師トラップハンターの戦い方だ。普通、土魔法は発現が遅いため、接敵する前に罠をつくっておくけど、今の俺なら即興で相手の動きに合わせて罠を作れる。SPに不安がある今はこのスタイルで行こう。


 後ろを振り返ると、さっきのワイバーンがカモメのように群れてメガシールの死体にたかっていた。


「生命の営みをダイジェストで見せられている気分だ……」


 この世界でも食物連鎖というものが普通にある。海ならば小魚をメガシールやクラーケンが食べ、さらに彼らをクロノサウロなど海竜類が食べる。

 陸なら草やスライムを牛魔獣のタロスや羊魔獣のシープなど草食性魔獣が食べ、それらを地龍やコヨーテ、タイガー、ハーピィなど肉食性魔獣が食べ、さらに彼らをワイバーンやドラゴンなど飛竜類、陸竜類が喰らう。


 彼らは肉も捕食をするけど、第一に求めるのは魔石だ。自らの魔石を育て、獣魔法を強化していけば生存競争で有利に立てる。だから魔獣は最初に魔石がある心臓や内臓を食べ、次に腹を満たすために四肢を喰らう。


 じゃあ人間は何をしてるか、といえばその生態系でどんどん濃縮されていく魔石と肉を横取りして文明を営み、魔石はないけどたまに食われたりしている。

 やばい、ワイバーンの何匹かがこっちをみた。バッグの魔石には気づいていないはずだけど、急いで離れよう。


 お読みいただきありがとうございます!

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