バレンタイン〜妹編〜
カーテンの隙間からの日差しで目を覚ます。近くのケータイの画面を開き、日付を確認する。
2月14日。
その日付を確認し、俺は。
「遂に……来てしまったか……今年もこの季節が……」
布団の中でゴクリと生唾を飲む。
俺がこの日に恐怖を感じる理由は2つある。
俺がバレンタインを恐れる理由2選!簡潔に語っていこう。
其ノ壱……1体何個貰えるのか問題。
この問題はクラスのルールにより起る。
俺達のクラスではバレンタインでチョコを貰った数に応じて、その年のその人のランク付けが変わる。まぁこの時点でなかなか異常なのだが……それは少し頭の片隅に置いておいて欲しい。話を続けるがそのランク付けはなんと
チョコ1個以下で最底辺、2個で下の上、3個で中の下、4個で中の譲渡段々とランクが上がっていくシステムなのだ。これが今年の俺に対して何を意味するのか……お分かりであろう。
彼女がいる俺にチョコ渡す奴いるのか?という問題である。一応去年は青葉(この頃は彼女ではないが)と桃子にチョコを貰い、最底辺回避……というか青葉という完璧超人からのチョコを貰っているため、最底辺を回避し、それどころか中の上辺りの立ち位置にチョコ2つながらも入り込んだ。
だがもし仮に今年青葉からしか貰えないとすれば……完璧超人効果で最底辺は免れるかもしれないが良くても中の下……いや下の上か……?
まぁ別にそのランクによっていじめとかそういうのではなく一年中煽られる(もてない男wと呼ばれる)くらいしかないのだが。ちなみに逆に貰いすぎ……10個以上になると『女たらし』や『ヤ○チン』、『楽して生きてそう』など様々な罵倒が待っている。俺には関係ないけどね!話は少し前に戻してもてない男の件だが……はっきりいってそう呼ばれるのは怖いのが……というか言われるのが嫌だというか事実……頼むぜ桃子……今年もお願いします。
切実な願いを桃子に送ったところで……
其ノ二……
俺の彼女……青葉のチョコが
死ぬほどマズいと言う事である。
別に彼女からのチョコが嫌とかそういうわけじゃない。不味いのだ。ただただ。そのマズさはもうね……食料なのか心配するレベルです。
初めて貰った去年。桃子以外からの初チョコ(確か)だった為、喜んで食ったのだが……その後の30分はトイレである。もうこれ良く考えれば不味いとか超えてヤバいんじゃないの……なんかヤバいの入ってるんじゃないの……そしてこう聞かれる訳だ。
「美味しかった?」
ってね……
ふざけている。彼女の料理……というかお菓子を不味いという奴がいるか。当然
「美味いよ!(イケボ)」
と言ってしまう訳だ。そうすれば去年のツケが回ってくる。去年のが美味いと言われたらそのまま作ってくるに違いない。
去年の俺をぶっ叩きたいね。
食わなきゃいいじゃんって?
彼女からの貰い物を食わないなんてそんな奴(以下略)
班長の言葉が今になって身に染みる。無理はいけない……無理は長続きしない……そんなセリフが俺の心をなんとも嫌な感じにさせた。
その頃桃子は……
「くしゅん!……誰か噂してるのかな……」
何だか誰かに切実な願いを望まれたような気がして、少し恐ろしく感じた桃子は少し早めに学校に行こうと決意した。
一方青葉……
「……くしゅん!誰か私のチョコが不味いって言った?」
どこからもそんな声は聞こえないがなんだかそんな気がする。厚生に早く褒めてもらおうと今日は朝にチョコを渡そうと決意した。
恐ろしさに震えながら制服に着替えてキッチンへ向かう。
階段一段一段降りるのすら怖くなってきた。なんというかあの地獄へのヘルロードな気がしてならん……
階段を降りたところで普段の通路からは臭わない匂いがすることに気づく。なんか甘い匂いだ……
匂いに誘われるようにキッチンへ向かう。すると
「あ。お兄ちゃん。おはよ」
「おう。おはよう。お前何してたの?」
「え?チョコ作ってたんだけど」
平然と答える美久。
あーなるほど。こいつクラスに配る用のチョコを作っていたのか。ってこいつ……まさかリア充なんじゃないの?というかもう彼氏とかいたりして……
「誰に渡すんだ?」
「えー?そんなの……」
少し顔を赤らめているのを見るに彼氏だろう。こいつにも彼氏かー……早いなー……
「3人くらいに渡す予定なんだよね!」
「3人!?!?」
「え?うん」
「3人も……渡すやつがいるのか?!」
それはつまり3人も彼氏がいるとかそういう事じゃ……
「当たり前でしょ?舐めんなっての」
「舐めてねぇよ!むしろ少し怖さすら感じるよ!」
「なんで怖がるの……あ。後ふたり分作らなきゃいけないんだった……明日でいいか」
「5股!?」
「え!?お兄ちゃん5股してんの!?」
「してねぇよ!お前だろしてんのは!」
「はぁ!?!?」
この後青葉の話を聞いたところ全て女友達に渡すとのこと。俺の勝手な思い込みでした……
「あ。折角だから今渡す」
「何を?」
鞄を手に取ってリビングのドアノブに手をかけた時に妹がぱたはたとこちらに来る。
「はい。お兄ちゃん。一応お兄ちゃんの文作っておいたから」
そっぽを向いて箱を渡してくる妹。
「なんすかこれ……?」
今日妹から貰うものなんてあったか……?
「は?今日なんだからチョコしかないでしょ」
「チョコくれんの!?」
「え?うん」
なんと!まさかの救世主!というか家族はノーカンと言われるが……この妹。俺が言うのもなんだが美人だし(性格はさておいて)写真を見せればカウントされる可能性あり!
「あ……ありがとな」
妹からのチョコなんて初めてだからなのかめちゃくちゃ動揺しながらお礼を言った俺に、妹は顔をこちらに向けて
「ハッピーバレンタイン。お兄ちゃん!」
おう。と軽く答えてリビングから出て、学校へ行く。
何だか妹のお陰で心の恐怖感は消え失せた。ありがとう。妹よ。
空は快晴。なんだかいい日になりそうな気がする
どうも!ずんだです!以前毎日投稿がなんたら言ってましたが無理でした!(は?)その代わりに過去の投稿の編集をしてました。なかなか酷い文だったので……めっちゃ頑張ったんです!
何から話せばいいかな……
んじゃまず……えっと……PVが凄いことになってました。300いくらくらいになってて、すげぇ!と思ったらその2日後にまさかの600ですよ。恐ろしや。見てくださった皆さん。ありがとうございます!
そして!ブクマもこの一週間で10件くらい増えました!マジでありがとうございます。マジで。
今後とも頑張っていこうと思うので皆さんこれからもよろしくお願いします!
嬉しすぎたずんだ