新しい力
なるほど、魔道具。確かにそれなら魔力を発してそうだ。
「そ、そんなぁ……」
どうやらオルフェウスはこの魔道具たちの混ざりあった魔力を見ていたらしい。なるほど、こんなに沢山のものがあったらそりゃ魔力もすごいものになっているだろう。
「魔道具ではなく、探知魔法が使える人を探していたのですが」
振り返り、後ろに立っている女性にそう言った。
「あぁ、それなら私です。残念ながら今回も痕跡は見つけられませんでしたが……」
丸いメガネに肩まで伸びたブラウンの髪をした女性が残念そうにそう言った。今回も結果は芳しくなかったらしい。
「なるほど、貴女でしたか。よろしくお願いします」
「こちらこそ。勇者様と出会えるなんて光栄です」
「ちなみに、痕跡は何も見つからなかったんですか?」
挨拶もそこそこに、早速本題に入る。
「えぇ、残念ながら。今回は早急に対応出来たのでもしかしたら、と思ったのですが。余程私より実力がある相手らしいです」
なるほど、聞いていた通り余程強い相手らしい。
「変ですね、少しくらいは見えても良さそうなものですがお姉さんも結構魔力ありそうですし」
僕よりよっぽど知識のあるオルフェウスがそう言った。そんなに強敵なのか。
「少し失礼します」
そう言うとオルフェウスが僕の裾を掴み、端の方へと連れていった。
「ちなみになんですけど、あのお姉さんをこの前私にやったみたいに強くすることって可能ですか?」
なるほど、そういう事か。
「んー」
確かにできないことはない。だけどパーティメンバー以外には安易に使いたくないんだよなぁ。今は一緒にいるけど、別行動になったときにどんな影響があるのかが不明瞭すぎる。
「ちょっと難しいかな」
なるべくリスキーなことはしたくない。
「あ、じゃあじゃあーー」
何やら目が輝いている。少し嫌な予感がする。
「私が痕跡探知出来るようにできますか?」
そんな事だろうと思った。まあやること自体は可能だし、オルフェウスならずっと一緒だろうから解除しようと思ったらいつでもできるだろう。それにオルフェウスの魔力量なら探し当てることができるかもしれない。
「できると思うけど、やってみる?」
目の輝き具合から察するに、やる気満々だろうが一応聞いてみる。
「是非是非!」
想像通りの反応だ。
「魔法痕跡探知付与。対象、オルフェウス」
ぼそっと呟くと、
「はい、もう出来るはずだよ」
「本当ですか、流石勇者さんです!」
そう言うと、さっきの女性の元へと戻って行った。
「あの、ちょっとお願いがあるんですが、一瞬でいいので風魔法で小さい竜巻作ってもらうことはできますか?」
突然の謎のお願いに少々困惑しながらも、魔法使いの女性は快諾してくれた。
「こ、こうですか?」
「ありがとうございます!」
そう言うと、さっきまで竜巻があった場所を凝視しだした。早速魔法の痕跡が見えるか試しているようだ。
「おぉ……! 見える、見えます!!」
ドヤ顔でその場所を指さすと、
「お姉さん、あなたは先程ここで風魔法を使いましたね!?」
「えっ、あ、はい」
僕でも分かることを言っている。実際に使っているところを見ていただろう。
「ふふふ、これで百人力です! お姉さん、犯罪が行われた場所を教えてください! 私が全て解決して見せましょう!!」
そう言うと、ズンズンとあてもなく進んでゆく。
「あっ、そっちではなくこちらです」
言わんこっちゃない。
かくして僕ら三人は新人探偵を先頭に犯罪現場へと向かうことになった。
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