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6.段々畑でジャンプ

 

 段々畑って聞いた事ありますかね。

 私は物心ついた時から見ているのでパッと想像できますが、農業に縁のない方だとよく分からなかったりするのだろうか……それとも一般常識として頭に入っているのだろうか。


 まぁ読んで字のごとく、だんだんになっている畑や田んぼの事です。

 田んぼなら、千枚田とか言った方がピンとくるかもしれませんね。


 いやあ、有名な千枚田のようにすごくはないですよ。

 山の斜面を段々に切り開いて、田んぼを作ってるんです。ただの棚田ですね。


 稲刈りが終わった後から次の田植え前までは、格好の遊び場となります。

 そう、段々畑を上から順にジャンプして遊ぶんです!!


 いや、それのどこが面白いのかと聞かれたら返答に困るんですけど……

 と、とにかくなんか楽しかったんです!!

 ジェットコースターみたいな感じでしょうかね。

 怖いんだけど、楽しい。そんな感じ。


 そう、段々畑は高さもまちまちで、50センチくらいの低い段々から、2メートルくらいの落差があるところも。

 低いところは余裕で飛べますが、高い所だとちょっと勇気が要ります。

 そして、一番最後の段は何と3メートル以上の落差がありました。


 皆、そこまで来ると飛ばずに引き返し、また上から順に飛び降りる……それを繰り返すのです。それが普通です。


 しかし、私の身内には普通じゃない人がいました。

 ええ、姉です。


 確か、姉は中学生くらい。

 私は小学3年か4年生くらいだったと記憶しております。


 姉は「ここ、飛んでみようかな」とポソリと言いました。

「ここ飛べたらすごいよ!!」と私は素直に言いました。


 姉の心に、火を付けてしまいました(笑)


 けれど、ちょっと助走して飛ぼうとしてたけど、直前で止まってしまうのです。

 それも何度も。

 姉は少し不安そうな顔して私を見ます。


「ここ、飛んでも死なんよね?」

「うん、大丈夫、死なん死なん!」


 根拠のない無責任な言葉で応援する私。

 内心、はよ飛べよ面倒臭いと思っていたのは内緒。


 姉は、

「ちょっと一番上から飛んで、勢いつけてここも飛ぶわ! 待っといて!」

 と、階段を駆け上がっていきました。


 おお、姉はやる気だ。どきどき、わくわく。


 上の方を見ると、姉がすごい勢いでどんどん田んぼをジャンプしてくる!!

 そして私の眼前で、落差3メートルの田んぼをっ!


「たぁぁあああああーーーーーー!!」


 と、飛んだぁぁーーーーーーーーーー!!!! やったぁああああ!!!!


 ひゅーん、バスッ!!


 ん? なんか変な音した?


「すごーい、お姉ちゃん!!」

「た、助けて……」


 ま、まさか、足の骨でも折った?!

 慌てて近寄ると、


「ぬ、抜けれん……」


 見ると、足が膝の上までズッポリと埋もれている!

 その、助けて〜ともがいている姿が滑稽で面白くて、もう大笑い!!


「ぶははははははっ!! ヒーーゲラゲラッ」

「わ、笑わんといてよ〜……っぷーー、あはははははっ!!」


 何故か本人も笑い出す始末(笑)

 笑いながら手を引っ張るも、ビクともしなーい。

 何故かこの田んぼ一枚だけ、粗起こし(田植え前に耕しておく事)済みだったんですねー。

 だから骨も折らずに無事だったとも言えるんですけど。


 仕方なく母を呼び、それでも抜けられず父を呼び。

 父と母が姉を引っ張る姿を見て、こらえきれずにやっぱり大笑い!

 助け出されるまでの間、ずーっとゲラゲラ笑ってましたね!


 父も母も、笑いながら怒ってたっつーか呆れてたっつーか。

 皆、泥だらけでしたね、私以外(笑)


 しかし、あの高さから飛ぶなんて、相当なアホだなぁ〜。

 普通、命の危険を感じながらチャレンジする事じゃないだろうに。


 でもね、私も中学生になったら飛べるかもと思ってチャレンジしてみたけど。

 あの高さを目の前にしたら、腰が引けて飛べませんでした。


 アホと勇気は背中合わせ。

 すごいぜ私のお姉ちゃん!!

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