表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

4.お風呂と格闘

 秘境に住む祖父母の家は、当然の事ながら薪でお風呂を焚きます。

 水道はあるので、川に水を汲みに行く必要はありませんが、水を溜めたら沸かすのは火。

 ガスでも電気でもありません。


 薪で焚いたお風呂は、水が柔らかく湯冷めしにくいのです。

 そして、死ぬほど熱くなることがしょっちゅうです(笑)


 これ、100度のお湯じゃねーか! って事もしばしばあります。

 ちなみに脱衣所はお風呂の中。

 つまり湯けむりがもうもうとしている中、脱いだり着たりしなきゃいけないって事です。足元はべちゃべちゃ。

 風呂上がりのあっつい体なのに、外に出る事もできずに寝間着を着なきゃいけないんですよ。何度男になりたいと思った事か!!

 上半身裸で出てくる男達が羨ましくて仕方ありませんでした……。



 それはさておき、浴槽の話をしておきましょう。


 秘境のお風呂はとても近代的(笑)で、結構広く、コンクリートで固められたような四角いお風呂でした。

 でもまぁ、下は火をボンボン焚くんですから、直接足が触れては大火傷しますよね。なので、下には板が敷かれてありました。

 板はもちろん木で出来ているので、水を入れると浮かんできちゃいます。なので板に紐をつけて、それをお風呂の下につけられた出っ張りの部分に引っ掛けて、浮かんでこないようにするのです。

 これで下からボンボンと燃やされても、足が火傷する事もないわけです。


 ですがね、この板が結構曲者で。

 ちょっとズラしちゃうと、出っ張りから紐が外れて浮いてきちゃう!!


 中学生の私の体重では、その浮力に負けちゃうわけで(泣)


 小学校まではお母さんと一緒に入ってたので、なんとか二人分の体重で押し込んで入ってたんですが。

 水が入っている状態で紐を引っ掛けるのって至難の技で、足でどうにかグニグニしようとしても分からないし、手でしようとすると潜らなきゃいけなかったのです。立って入るお風呂で結構深かったので。

 お母さんと二人の時でも、やっちまった時は板を戻す事は諦めて、後に入る男の人に任せてました。


 が、中学生になってからは一人!!


 足で押し込もうとしてもほとんど沈まず、板は私を押し返してくる。

 それが真冬だったので、もう半泣き。

 ちゃんと浸かる前に板に押し出され、寒さでガクブル。

 ええ、もちろん全裸ですよ。


 誰かを呼ぼうにも、家を出た先にお風呂はあるため、叫んでも聞こえるかどうか……。

 大抵は風呂の湯加減を聞きに、お母さんかおばあちゃんが来てくれるけど、それを待ってもいられず。

 思春期特有の恥ずかしさもあって、何にもせずにそのままガクブルしながら服を着て出てきましたとさ。

 あれは寒かったなぁ〜。


 その次からはやっぱり姉か母に頼んで、一緒に入って貰いましたね。


 今なら一人でも、板を沈められそうな予感(笑)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 懐かしいなぁ。五右衛門風呂。 うちも広島に住む親戚のいえに遊びに行ったとき薪で沸かした五右衛門風呂に入ってました。 手を入れて水をジャンジャン入れて湯加減みながら恐る恐る入るんだけど、板が…
[良い点] あの近代的な(笑)お風呂、昔はもっと広かったらしいけど、広すぎるお風呂が不要になった時におじいちゃんがタイル張りにして小さくしたらしいよ。 知ってるかもやけど一応! 留め具が外れたら板が…
[良い点] 温度調節やら板を沈めるのやら、まさに格闘ですね。 いわゆる五右衛門風呂というやつでしょうか。 薪で炊くと水が柔らかいっていう感覚。入った人しかわからないんでしょうね。流石に薪のお風呂は入っ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ