2.行き道
秘境に住んでいる祖父母は、いつも私たちが来るのを心待ちにしてくれていました。
行くといつも、
「よぉ来た、よぉ来た」
と頭を撫でて喜んでくれて。
盆と正月、ゴールデンウィークには必ず。それ以外にも連休等があった時にはいつも行ってました。
今でこそ道が良くなって、車で二時間も掛からずに行けるけど、当時は道も悪いしグニャグニャのカーブだらけだし細いしガードレールはないし、トラックなんかと遭遇した日にゃどんだけ下がらにゃいかんのだというくらいにバックして躱してた。(運転してたのはいつも父)
しかも私も姉も、とにかく車に酔いまくったので、気分が悪くなってきたら車から降りて走る走る。
今では『森林浴コース』みたいな看板が立ってます。
山の中は本当に空気が良くて、走ると気持ちいいんですよー。今はもう歩くのが精一杯ですけどね。
まぁそんな事を繰り返していたので、四時間くらい掛かる事もしばしばでした。途中で川に降りて石投げて水切り遊びしたりね(笑)
冬には行き道の小さな滝につららが出来ていて、お父さんが登ってポキッと折ってくれました。
結構危ないとこに取りに行ってくれたんですよね。きっと、私達が喜ぶから無茶してくれたんでしょう。ありがたや。
それを「つめたーい!」「さむーい!」と言いながらペロペロ舐めるのがまた楽しくて(笑)
なんか、葉っぱやら何やらが入っていましたが、田舎娘はそんな事ぁ気にしないのです。
行き道にはアケビも成っていて、季節になるとお父さんが車を止めて採ってきてくれるんです。
その大半は姉の腹の中に納まってたけど。
私はネトっとしたのが苦手で敬遠気味でしたが、全くアケビを見なくなった今となっては、もう一度食べたいなぁという思いで溢れます。
更に行き道には、鳥が網(?)に掛かっている事もありました。
山崩れ防止のためかなんか知らんけど、山側に張ってる網に、何故か結構デカイ鳥が入り込んでいて。
一体どうやってこんな中に入ったんだ!? と言いながら、家族総出で必死に救い出しました。
あの鳥は元気かなぁ。恩返しに来てくれてもイインダヨ。
あれ、行き道の話だけで終わってしまったなぁ。まいっか(笑)