客観視できる環境
「困った事になった…」
…私は心の中で、そう呟いた。
私の名前は渡辺あいな。高校2年生。
このコンビニの上のマンションに住んでいるのだけれど、ここは私のお気に入りのお店だ。
特に深夜のシフト。
なんと店員が3人とも渡辺さんという奇跡♪
同性という事で親しみもあるのだけれど、ここの店長さんは渡辺さんしか雇わないというポリシーでもあるのだろうか…?
で、私は勝手に心の中で、
一番若い人が「小ナベさん」
店長代理が「中ナベさん」
最近入ったばかりのおじさんを「大ナベさん」
…と呼び分けている。
夕方のシフトの人達は渡辺さんじゃ無いから単なる偶然なのだろうけれども。
私は小ナベさんに一目惚れしてしまったらしい。
いつから気になってたのか分からないから一目惚れというのは正確じゃないかな…
うん、ここはひとまず「興味がある」くらいにしておこう。
…彼女いるのかな?
…いないよね?
お世辞にも格好いいとは思えない(失礼)
背も高くないし、野暮ったい感じだし(更に失礼)
どこに興味を持ったのかも…実のところ良く分かっていない。
よく分からないから、それを確かめる為にコンビニへと足を運ぶ。
私は私が分からない…
友達には当然話していない。
どれだけからかわれるか…想像するだけで怖くなる。
深夜2時だというのに、今日はやけにお客さんがいっぱいいる。
お陰で今日はじっくりと小ナベさんを観察できる。
小ナベさんを観察している私を客観視できる。
…おい、私。
彼の何処がそんなに気になるの?
はぁ…困った事になった…。