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頭痛の種
「困った事になったな…」
…俺は心の中で、そう呟いた。
深夜2時。
新人のバイトに仕事を教えるだけでもクタクタだというのに、更なる頭痛の種が視界に入ってしまった。
俺の名前は渡辺けんや。
一応このコンビニの店長代理だ。
この店は親父が経営しているのだが、初めから俺に仕事を丸投げにするつもりだったらしい。
親父は、この店の裏にある月極め駐車場のオーナーでもあり、10台停められる駐車場は月に七万円という高額でありながら全て契約済み。
いわゆる土地成金の道楽商売のつもりなのだろう。
本人は店に顔も出さずにフラフラ遊び歩いているのだが…今日は何故かお忍びで店に来ていたのだ。
道路に面した本棚のコーナーで週刊誌をペラペラとめくっているが…何をしに来たのかは大体想像がつく。
客がいなくなったら小銭をせびるつもりなのだろう…
今はこの時間帯には珍しく結構な客が店内に残っているので大人しくしているようだが、なんとも頭の痛い話である。