第百二十八.二話 選択
※本日二度目の投稿になっております。前話を読まれていない方はご注意ください。
百二十八話をご覧になっている方は、引き続きお楽しみください。
「――どうして……?」
ジーンなら分かってくれると思っていたのに。
「ねぇ、どうしてなの……?」
ジーンならって、信じてたのに。
「ダメ……だよ。これ以上は、本当にダメだよ……」
私が死んじゃえば、それで全部解決するのに。
「そんな風にされちゃ、私……死にたくなくなっちゃうよ……!」
ジーンに抱きしめられて、嬉しくないわけがないでしょ……っ。
「守らせてくれよ」
っ……。
「一緒にいられる世界じゃないと、だめなんだ」
「なによそれ……。私がいないと、生きていけないの?」
なに言ってるんだろ。
どんな言葉が聞きたいのかなんて、自分で分かっていても認めたくない。でも、私、期待しちゃってる。
「ああ。生きていけない」
「世界が壊れちゃうんだよ……?」
なんだか、子供みたい。おとぎ話の中にいるみたいで不思議な感じ。
あれだけ考えたのに、ジーンの言葉で全てがひっくり返っちゃう。ジーンの言葉だからこそ、私の気持ちを変えてくれる。
「関係ない。俺がなんとかする」
「ほんとに……もう……馬鹿なんだから……!」
涙がとまらない。
「……ばか……なんだか、ら……っ」
全てが怖かった。なにも信じられなかった。
優しかった先輩も。
いつも傍に居てくれたイッチーのことも。
大好きなジーンさえ。
日を重ねるほどに、私は皆を拒絶していた。
「……っ……、はぁっ…………っ」
でも、うん。
ジーンがその壁を壊してくれたから。
今なら分かる。
ジーンがいたからこそ、私は私でいられたんだ。
「帰ろう」
「……もうちょっと、だけ」
ずっとこうしていたい。私の、女の子としての我が儘。
「ありがとう――」