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自由奔放な猫の如く  作者: 黒田明人
4.軽率の代償
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 水面に写ったのはまるで幽霊のような姿。

 白くぼんやりとした霧のような身体。

 これがこの種族の特徴なら、道理でキャラメイクが無い訳だ。

 ランダムを選んで抽選になり、終わった瞬間いきなりだもんな。


 ステータスを見てみると【種族名】は【シマネキ】になっていた。

 死を招くって意味なのだろうか、どうにも物騒な種族名だな。

 本当ならHPやらMPやらSPやらがあるはずが、そこにあったのはEPだけだ。

 説明を見ると全てのエネルギーの統括って書いてあり、言わば何にでも使えるエネルギーとなっていた。


 Existence Point の略と記されていて、存在が持つエネルギーって事らしい。


 つまり、魔法を使い過ぎると存在ごと消えちまうって事だろうか、どうにも便利なような不便なような、よく分からないシステムだな。

 いやこれ不便だろ。だってさ、瀕死になったら魔法使えないって事だし、スキルも使えないって事だよね。

 つまり瀕死にならないように動かないと、下手に瀕死になっちまったらもう何もやれないって事になる。


 これはやり辛い種族だな。


 普通の魔法使いなら、瀕死になっても起死回生の魔法って手もあるし、MP切れになってもHPがあれば前衛職なら問題無い。

 だけど全てが統合しているから、それの枯渇は行動の全てに制限が掛かってしまう。

 その分、数値は多いようだけど油断は出来ないな。


 種族スキルは10個もあるのか。


 普通は3~5個だったはずだから、かなり多いのが分かる。

 だけど種族レベルを上げないと実効化しないようで、半分ぐらいは灰色になっていて使えないようだ。

 スキルの種類は下記のとおり。


≪防護皮膜≫ 身体が飛散しないように守る膜 (パッシブ)

≪飢餓休眠≫ ポイント枯渇で意識レベルがダウンし、周囲のエネルギーを吸収する (パッシブ)

≪攻撃吸収≫ 受けた攻撃を分解して吸収する (パッシブ)

≪技能吸収≫ 受けたスキルをコピーして吸収する (パッシブ)

≪偽装皮膜≫ あたかも人間のように見せる膜 (アクティブ)

≪偽装人間≫ 体内器官を擬似的に構成し、会話を可能にしたり、物を食べたり飲んだり出来る (アクティブ)

≪緊急回避≫ 一時的に飛散を守る膜を解除し、飛散して精神的ダメージ(魔法攻撃など)を回避する (アクティブ)

≪緊急供給≫ 対象にEPを供給する。対象の不足しているポイントが回復する (アクティブ)

≪物質転換≫ 物質をエネルギー化して吸収するしたり、エネルギーから物質を生成したり出来る (アクティブ)

≪偽装兵装≫ 身体構成物質で装備や武器などを構築する (アクティブ)


 そして今使えるのは上から5つ目まで。

 となると、人間族の振りして街中で過ごせるけど、ただそれだけってのも何だよな。

 しかもまだ喋る事もし出来ないし、物を食べる事も出来ないらしい。

 その代わりと言うか、何か攻撃を受けたら分解してエネルギーとして取り入れられるっぽいし、それがスキルならラーニング出来そうな感じだ。

 これどうやってレベル上げすれば良いんだよって思っていたけど、何か目処が立ってきたぞ。


 試行錯誤のうちに、経験値の獲得方法が分かってきた。

 いわゆる憑依になるのか、モンスターに憑依してプレイヤーの前に立つ。

 するとプレイヤーはそいつを攻撃する。

 モンスターが怪我をすると体内からエネルギーのようなものが漏れ、それを吸収する事で言わば経験値の横取りみたいになるようだ。

 なので倒した人が得られる経験値が少ないみたいだけど、他に方法も無いみたいだから協力してくれよな。


 しかも、攻撃した人のスキルもコピー出来ているみたいだし。


 それにしてもモンスターって、知恵があったら凶悪な化け物になりかねないんだな。

 一番弱いとされているウサギでも、フェイントを使うだけで初心者を葬れるんだしな。

 突撃して回避されても横から攻撃するんだけど、フェイントを使って攻撃すればさ、まともに食らって街送りになっちまったプレイヤー。

 でも、怪しいウサギが出現ってすぐに噂になっちまって、タコ殴りにされちまったんだ。

 まあそれでも経験値の横取りにはなったうえに、どうやら物理無効なのでダメージも無いっぽい。

 そのうちにゴブリンに憑依したらエリートクラスと勘違いされて討伐隊が組まれたり、動物の熊に憑依したらエリアボスと間違えられたりした。

 そうやって経験値の横取りや、スキルコピーをしながら戦い方を学んでいるうちに、次のスキルが解放されたんだ。


 確かに魔法の攻撃は地味にダメージを食らっていたけど、飛散すれば回避出来るというのも便利そうだ。


 しかしな、あいつら僕を攻撃しているのに、PK扱いにならないみたいなんだがよ。

 そりゃこちらが攻撃しても同じだけど、この種族ってプレイヤー扱いじゃないのかな。


 おっと、ちょっと済みませんね。


 回復をされている人の近くに佇むと回復スキルの流れ弾を獲得してラーニングっと。


≪ヒールを獲得しました≫


 よしよし、回復魔法ゲットだぜ。

 それにしても、皮が無いと透明人間状態なのな。

 面白いからふわふわと付いて行くんだけど、もっと色々スキル分けてくれるといいな。


 そんな感じでスタートしたんだけど、そもそもこのゲームを勧めてくれた友人とはまだ出会っていないんだ。

 あいつは部活命な奴だから、大会が近いとなると、何を置いてもそっちに掛かり切りになってしまう。

 だから、先にやっていてくれと言われての開始なんだけど、こんなキャラになっちまったら一緒に遊べそうにない。


 どうすっかな。


 それからもパーティに付いて行き、モンスターが出るとそれに憑依して攻撃を受け、スキルをもらったり経験値を分けてもらったりしていた。

 確かにレベルは上がるんだけど、これじゃあ他力本願でしかない。

 だけど、スキルが豊富になれば人間に偽装して人間側として遊べそうな感じだ。

 だから今は下積みのつもりでこうやって……おお、人間側に取り付くとモンスターのスキルが得られるのか。


「何か、肩が重いんだけど」

「そろそろ終わりにするか? 疲れたんだろ」

「ああ、もうこんな時間か。そうだな、終わりにするか」


 ごめんごめん、取り付いたらそう感じるのか。


「あれ、肩が軽くなった」

「まあ、また明日遊ぼうぜ」

「うん、そうだね」


 どうにも変な種族だよな、これってさ。

 

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