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自由奔放な猫の如く  作者: 黒田明人
2.放置の対策
49/476

0049

誤字がぁぁぁぁ……いくらでもあるよ~

 

 今年はこの関東圏でも雪がちらつく1月末。


 あれからログインはしてないが、あいつらはまだかまだかと催促が激しい様子。

 それと言うのも、もうじき大会みたいなのがあるらしく、ギルド対抗何とかって言っていた。

 確かにもう数値メモリの用意も終わり、強度も安心だから何時でも潜れる。

 ただ、引っ越したばかりなので色々と雑事が忙しいのだ。

 繁華街で聞いて回って有名処の甘食……あっさり風味のスイーツの詰め合わせをたくさん買って、同じ階の人達に挨拶に回ったりしていた。

 確かに女性ばかりだったけど、引越しの挨拶ってお菓子を渡すと、全員受け取ってくれた。

 どうやらVRゲームに参加している人もいるようで、その人には弓をやっていますって答えておいた。

 ハズレ職とか言っていたので、恐らくはあのゲームだろう。


 まあ、おおむね好感触だった。


 こういうのはやっておかないと、何かの時には困った事になるからな。

 隣? さあ、どんな人なのか知らないわ、とか言われると、マイナスのイメージになるだろう。

 それよりは引越しの挨拶回りの話をしてくれれば、ある程度の常識があると思ってくれる。


「なあ、まだ来ないのか」

「少し前にキャラメイクしてログインしたんだけどな、変な奴に絡まれてすぐ落ちたんだ」

「そりゃ運が悪かったな。で、どんなスキル取ったんだ」

「弓道部だから弓職」

「ああ、それを言うのを忘れていたな。あのゲームな、弓はヤバいんだよ」

「ほぇ? 」

「βの時の話だけどよ、どっかの弓道部の、それも大会に出るような奴が選んだんだけどな、序盤は全く当たらないわ、矢が毎回消えるから消費が激しいわ、初心者の弓とか威力も殆ど無いわでよ、だから本サービスで弓を選ぶ奴は居ないとまで言われていたんだが、まさかお前が選んでしまうとはな」

「そりゃ、情報掲示板は見たけどな、それでも自分でやってみないと分からないだろ」

「本サービス初日、そういう奴が居たんだが、今じゃキャラデリして剣士になっているぜ。やっぱり当たらないと言ってな」

「そういや、最近の掲示板、見てないな」

「まあ、やってみろ。それで分かるからよ」

「そうだな」

「で、今日はどうなんだ」

「大体落ち着いたからそろそろ良いかな。ああ、ちなみに5階の隣人さん達、全員女性だったぞ」

「おいおい、どうやって調べたんだよ」

「引越しソバならぬ、スイーツの詰め合わせで挨拶回り」

「お前、そう言うのは抜け目無いな」

「ゲームの話題の時、オレが弓って言ったらハズレ職って言った人が居た」

「おいおい、それってあのゲームだろ」

「中で会ったらよろしくって言っといた」

「本当に抜け目がねぇな。で、どんな奴だ、名前は? 」

「そういう個人情報は聞くな」

「そういうのはしっかりしてんだよな」


 当たり前だろ。

 相手は女性だぞ。


 ただでさえそう言う事に敏感なのに、他人に漏らしたと知られたら信用も何も無くなっちまう。

 それじゃあ挨拶回りをした意味が無くなるから、相手から出すまでこちらからは出さねぇよ。


 てかキャラ名とか聞いてねぇよ。


 そうだな、今夜辺りから本格的にやってみるか。

 数値固定63のままで、適合率100で暴れるか、クククッ。

 独立した今となってはもう、騒がれても関係無い。


【パーフェクトジーニアス】


 適合率100パーセント状態の時のオレの事だけど、誰にも言えない状態だよな。

 定説では80パーセントの時の事を言うらしいが、未だ到達していないって事になっている。

 誰か他に高い奴が出てくれないかな。

 85パーセントとかってのが出てくれると、定説とやらが破綻する事になる。

 それからならまだ……それでも100は無理か。

 まあいいや、63固定にセットすれば、いくら高い数値でも関係無くなるんだし。

 もう、数値提出に怯える事も無いって最高だね。


【ガンマ:おーい】

【何処だ】

【ガンマ:ギルド前】

【居ないぞ、キョウなんて奴】

【ガンマ:お前らのアナグラム、聞いてなかったからコウだ】

【うお、エルフかよ。しかも、やたらいじったろ、えらくツラが良いが、そう言うのは言われるぞ】

【ガンマ:髪の色と長さと目の色、後は後ろで纏めて縛っただけだ】

【お前、あの前髪、上げたらこうなるのかよ】

【ガンマ:そんな事より、ギルド紹介してくれよ】

【あ、ああ】


 パーティ申請? 【許可しますか? Y/N】 Y だな。


<おし、これで良し……で、どうするんだ……ギルドメンバーを紹介するからな、みんなと話して反対者が出なければ入会だ……1人でも居たら?…… まずは説得だな。それでもどうしても嫌と言われたら諦めてくれ……了解>


 ガンマに案内されてしばらく歩いた後、建物の中に入っていく。

 どうやらギルド会館らしく、扉の先はそれぞれのギルドハウスになっているとか。

 こういうところはVRの良い所で、空間は自由に設定出来るらしいな。


「ちーす」

「ういっす」

「あれ、新人っすか」

「ガンマ、誰それ」

「くっくっくっ、期待の新人さ、クマー」

「スカウトしたのか? うちに宣伝要員は要らんだろ。攻略最前線なんだしよ」

「くっくっくっ、そうとんがるなよ、クマー」

「いや、装備はまるで初心者だし、武器も持っている風に無いし。となると宣伝要員と思うじゃねぇか」

「左腕の、クククッ」

「あーー、まさかてめぇは」

「教えといてくれよな、アナグラム」

「それを言うなぁぁぁ」

「クククッ」

「コウってな、もしかして」

「リアネを言うな」

「やっぱりかよ。しっかし、いじり過ぎじゃねぇのかよ」

「まあ、色々いじくったけど、これぐらい変えないとリアバレしちまうだろ」

「やり過ぎだと思うけどよ」


(くっくっくっ、学校でバックにしてやろうっと)


「それで君、職は何? 」

「天下のハズレ職」

「え……それはまた。ねぇ、ガンマ、教えなかったの? 」

「いや、やってみたいんだとよ、こいつ弓道部だし」

「あー、弓やっている人はみんな言うよね。んで、全員転職騒ぎになるけど」

「申し訳ないんだけど、オレは転職しないよ」

「そうなると攻略組は厳しいかな」

「何か秘策があるんじゃないのか、コウ」

「いやぁ、実はリアルマネーチートなんだわ」

「え、まさかあの時価、やったの? 」

「お前、あの弓、査定いくらだよ」

「高かった」

「当たり前だろ。しかし、あれをやったという事は、もしかしてもしかするかも」

「いや、実はな、初日に1射だけ撃ってな」

「1発だけ? 何を狙ったんだ」

「レベルが1から12に上がる敵」

「うおおおお、マジかよ」

「え、何それ」

「エリアボス単独撃破報酬ってのと、ワンキル撃破報酬ってのくれた」

「うげぇぇぇ、マジな弓ってな、そんな外れた威力なのかよ」

「ちょ、その弓、見せてくれる? 」


 なんか凄い食い付きなんだけど、そういうのはあんまし……

 まあ、さすがにそんな常識の無い事もあるまいから、見せるぐらいは構わないか。

 愛用弓を見せると妙に真剣にあれこれと見ているんだけど、何があると言うんだ。


「これ、相当高いでしょ」

「うん、高い」

「しかもこれ、転用可能弓だよね。どっかのオリジナルの」

 

 ミリオタかよ。

 しかしな、それはちょっと越えてんじゃねぇか?

 仮にもその情報、裏だからな。

 こんな場所で言っていい台詞じゃない。

 ギルドハウスの中だからって甘えてんのか? 


「まあね」

「となると矢もまともじゃないよね」

「これ」

「うわ、ネットで似たようなの見たけど、まさかゲーム内で見るとは」

「ヤバい矢だろ」

「こいつさ、多分だけど、HEAT化出来る矢だ。サイトで見た価格は1万ドル」

「それって100万? 1本が? 」


 おいおい、どうなっているんだよ、こいつ。

 そんなネタ、ログの残るこんな場所で披露とか有り得ないだろ。

 仮にも表のゲームだぞ。

 そんなアンダーサイトの情報をペラペラと。


「アンタ何者? こんなのまともな手段じゃ手に入らないよ」

「ちょっと待ってくれよ。リアルの追求とか、アンタ、頭大丈夫か? 」

「はぐらかさないで、ちゃんと答えてくれないと入会は許可出来ないよ」


 有り得ない、何だ、こいつ。


「おい、ガンマ、クマー、42神、こいつ何なんだよ」

「おい、バンダナ、どうしたんだよ。そんなの聞いたらヤバいだろ」

「お前ら、こいつの本性知らないからそんな事を言えるんだ。こいつは「そこまでにしておいてもらおうか」

「入会は拒否だ」

「ごめん、オレ、理解出来ない。今日は落ちるわ」

「バンダナ、今日はおかしいぞ」

「悪い、私も落ちる」

「おい、待てよ」


 信じられん奴だな。


 しかし、あんな奴がどうして今まで。

 ミリオタか何か知らんが、リアルを追求して答えないと拒否って、有り得ねぇだろ。

 あのまま放置はヤバいな、あいつ。

 あいつがどうこうなるのは別に構わんが、漏れた言葉は消えないからな。

 あんなログの残る場所であんな軽率な台詞とか、冗談じゃないぞ。

 変に噂になったらまた撤退になっちまうけど、調子に乗って課金しまくったのに、やれないとか最悪だ。


 てか、特定しちまうか。


 そういうのは個人情報保護法違反だからやりたくはないんだけど、こいつは緊急避難に該当するだろ。

 その辺りを言えばかわせるかも知れんが、綱渡りは確実だな。

 ああもう、なんであんなのが存在しているんだよ、あんなゲームの中に。

 しかもあいつらのギルメンって最悪だ。

 てか、あいつらもヤバいぞ、あんな奴が所属しているとか、下手したら共犯とかに……


 うん、特定は必須だな。


 てか、急いで特定して脅してでも止めないと、誰かがチクったら終わりだぞ。

 他の奴らも驚いていたから、もしかしたらやっちまうかも……

 よし、急いで櫻木さんに聞いて、裏の探偵を紹介してもらわないと。


 かなり高いらしいが、この際、金額の多寡は問題じゃない。

 オレだけならまだしも、あいつらもヤバいんだ。

 共犯とか冗談じゃないんだからな。


【1つだけ良いか……何だ……そいつ、何をしたんだ……ネットマナー法違反……そんな奴が今時? ガキかよ。よし、急いで特定する……頼むな】

 

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