0049
誤字がぁぁぁぁ……いくらでもあるよ~
今年はこの関東圏でも雪がちらつく1月末。
あれからログインはしてないが、あいつらはまだかまだかと催促が激しい様子。
それと言うのも、もうじき大会みたいなのがあるらしく、ギルド対抗何とかって言っていた。
確かにもう数値メモリの用意も終わり、強度も安心だから何時でも潜れる。
ただ、引っ越したばかりなので色々と雑事が忙しいのだ。
繁華街で聞いて回って有名処の甘食……あっさり風味のスイーツの詰め合わせをたくさん買って、同じ階の人達に挨拶に回ったりしていた。
確かに女性ばかりだったけど、引越しの挨拶ってお菓子を渡すと、全員受け取ってくれた。
どうやらVRゲームに参加している人もいるようで、その人には弓をやっていますって答えておいた。
ハズレ職とか言っていたので、恐らくはあのゲームだろう。
まあ、おおむね好感触だった。
こういうのはやっておかないと、何かの時には困った事になるからな。
隣? さあ、どんな人なのか知らないわ、とか言われると、マイナスのイメージになるだろう。
それよりは引越しの挨拶回りの話をしてくれれば、ある程度の常識があると思ってくれる。
「なあ、まだ来ないのか」
「少し前にキャラメイクしてログインしたんだけどな、変な奴に絡まれてすぐ落ちたんだ」
「そりゃ運が悪かったな。で、どんなスキル取ったんだ」
「弓道部だから弓職」
「ああ、それを言うのを忘れていたな。あのゲームな、弓はヤバいんだよ」
「ほぇ? 」
「βの時の話だけどよ、どっかの弓道部の、それも大会に出るような奴が選んだんだけどな、序盤は全く当たらないわ、矢が毎回消えるから消費が激しいわ、初心者の弓とか威力も殆ど無いわでよ、だから本サービスで弓を選ぶ奴は居ないとまで言われていたんだが、まさかお前が選んでしまうとはな」
「そりゃ、情報掲示板は見たけどな、それでも自分でやってみないと分からないだろ」
「本サービス初日、そういう奴が居たんだが、今じゃキャラデリして剣士になっているぜ。やっぱり当たらないと言ってな」
「そういや、最近の掲示板、見てないな」
「まあ、やってみろ。それで分かるからよ」
「そうだな」
「で、今日はどうなんだ」
「大体落ち着いたからそろそろ良いかな。ああ、ちなみに5階の隣人さん達、全員女性だったぞ」
「おいおい、どうやって調べたんだよ」
「引越しソバならぬ、スイーツの詰め合わせで挨拶回り」
「お前、そう言うのは抜け目無いな」
「ゲームの話題の時、オレが弓って言ったらハズレ職って言った人が居た」
「おいおい、それってあのゲームだろ」
「中で会ったらよろしくって言っといた」
「本当に抜け目がねぇな。で、どんな奴だ、名前は? 」
「そういう個人情報は聞くな」
「そういうのはしっかりしてんだよな」
当たり前だろ。
相手は女性だぞ。
ただでさえそう言う事に敏感なのに、他人に漏らしたと知られたら信用も何も無くなっちまう。
それじゃあ挨拶回りをした意味が無くなるから、相手から出すまでこちらからは出さねぇよ。
てかキャラ名とか聞いてねぇよ。
そうだな、今夜辺りから本格的にやってみるか。
数値固定63のままで、適合率100で暴れるか、クククッ。
独立した今となってはもう、騒がれても関係無い。
【パーフェクトジーニアス】
適合率100パーセント状態の時のオレの事だけど、誰にも言えない状態だよな。
定説では80パーセントの時の事を言うらしいが、未だ到達していないって事になっている。
誰か他に高い奴が出てくれないかな。
85パーセントとかってのが出てくれると、定説とやらが破綻する事になる。
それからならまだ……それでも100は無理か。
まあいいや、63固定にセットすれば、いくら高い数値でも関係無くなるんだし。
もう、数値提出に怯える事も無いって最高だね。
【ガンマ:おーい】
【何処だ】
【ガンマ:ギルド前】
【居ないぞ、キョウなんて奴】
【ガンマ:お前らのアナグラム、聞いてなかったからコウだ】
【うお、エルフかよ。しかも、やたらいじったろ、えらくツラが良いが、そう言うのは言われるぞ】
【ガンマ:髪の色と長さと目の色、後は後ろで纏めて縛っただけだ】
【お前、あの前髪、上げたらこうなるのかよ】
【ガンマ:そんな事より、ギルド紹介してくれよ】
【あ、ああ】
パーティ申請? 【許可しますか? Y/N】 Y だな。
<おし、これで良し……で、どうするんだ……ギルドメンバーを紹介するからな、みんなと話して反対者が出なければ入会だ……1人でも居たら?…… まずは説得だな。それでもどうしても嫌と言われたら諦めてくれ……了解>
ガンマに案内されてしばらく歩いた後、建物の中に入っていく。
どうやらギルド会館らしく、扉の先はそれぞれのギルドハウスになっているとか。
こういうところはVRの良い所で、空間は自由に設定出来るらしいな。
「ちーす」
「ういっす」
「あれ、新人っすか」
「ガンマ、誰それ」
「くっくっくっ、期待の新人さ、クマー」
「スカウトしたのか? うちに宣伝要員は要らんだろ。攻略最前線なんだしよ」
「くっくっくっ、そうとんがるなよ、クマー」
「いや、装備はまるで初心者だし、武器も持っている風に無いし。となると宣伝要員と思うじゃねぇか」
「左腕の、クククッ」
「あーー、まさかてめぇは」
「教えといてくれよな、アナグラム」
「それを言うなぁぁぁ」
「クククッ」
「コウってな、もしかして」
「リアネを言うな」
「やっぱりかよ。しっかし、いじり過ぎじゃねぇのかよ」
「まあ、色々いじくったけど、これぐらい変えないとリアバレしちまうだろ」
「やり過ぎだと思うけどよ」
(くっくっくっ、学校でバックにしてやろうっと)
「それで君、職は何? 」
「天下のハズレ職」
「え……それはまた。ねぇ、ガンマ、教えなかったの? 」
「いや、やってみたいんだとよ、こいつ弓道部だし」
「あー、弓やっている人はみんな言うよね。んで、全員転職騒ぎになるけど」
「申し訳ないんだけど、オレは転職しないよ」
「そうなると攻略組は厳しいかな」
「何か秘策があるんじゃないのか、コウ」
「いやぁ、実はリアルマネーチートなんだわ」
「え、まさかあの時価、やったの? 」
「お前、あの弓、査定いくらだよ」
「高かった」
「当たり前だろ。しかし、あれをやったという事は、もしかしてもしかするかも」
「いや、実はな、初日に1射だけ撃ってな」
「1発だけ? 何を狙ったんだ」
「レベルが1から12に上がる敵」
「うおおおお、マジかよ」
「え、何それ」
「エリアボス単独撃破報酬ってのと、ワンキル撃破報酬ってのくれた」
「うげぇぇぇ、マジな弓ってな、そんな外れた威力なのかよ」
「ちょ、その弓、見せてくれる? 」
なんか凄い食い付きなんだけど、そういうのはあんまし……
まあ、さすがにそんな常識の無い事もあるまいから、見せるぐらいは構わないか。
愛用弓を見せると妙に真剣にあれこれと見ているんだけど、何があると言うんだ。
「これ、相当高いでしょ」
「うん、高い」
「しかもこれ、転用可能弓だよね。どっかのオリジナルの」
ミリオタかよ。
しかしな、それはちょっと越えてんじゃねぇか?
仮にもその情報、裏だからな。
こんな場所で言っていい台詞じゃない。
ギルドハウスの中だからって甘えてんのか?
「まあね」
「となると矢もまともじゃないよね」
「これ」
「うわ、ネットで似たようなの見たけど、まさかゲーム内で見るとは」
「ヤバい矢だろ」
「こいつさ、多分だけど、HEAT化出来る矢だ。サイトで見た価格は1万ドル」
「それって100万? 1本が? 」
おいおい、どうなっているんだよ、こいつ。
そんなネタ、ログの残るこんな場所で披露とか有り得ないだろ。
仮にも表のゲームだぞ。
そんなアンダーサイトの情報をペラペラと。
「アンタ何者? こんなのまともな手段じゃ手に入らないよ」
「ちょっと待ってくれよ。リアルの追求とか、アンタ、頭大丈夫か? 」
「はぐらかさないで、ちゃんと答えてくれないと入会は許可出来ないよ」
有り得ない、何だ、こいつ。
「おい、ガンマ、クマー、42神、こいつ何なんだよ」
「おい、バンダナ、どうしたんだよ。そんなの聞いたらヤバいだろ」
「お前ら、こいつの本性知らないからそんな事を言えるんだ。こいつは「そこまでにしておいてもらおうか」
「入会は拒否だ」
「ごめん、オレ、理解出来ない。今日は落ちるわ」
「バンダナ、今日はおかしいぞ」
「悪い、私も落ちる」
「おい、待てよ」
信じられん奴だな。
しかし、あんな奴がどうして今まで。
ミリオタか何か知らんが、リアルを追求して答えないと拒否って、有り得ねぇだろ。
あのまま放置はヤバいな、あいつ。
あいつがどうこうなるのは別に構わんが、漏れた言葉は消えないからな。
あんなログの残る場所であんな軽率な台詞とか、冗談じゃないぞ。
変に噂になったらまた撤退になっちまうけど、調子に乗って課金しまくったのに、やれないとか最悪だ。
てか、特定しちまうか。
そういうのは個人情報保護法違反だからやりたくはないんだけど、こいつは緊急避難に該当するだろ。
その辺りを言えばかわせるかも知れんが、綱渡りは確実だな。
ああもう、なんであんなのが存在しているんだよ、あんなゲームの中に。
しかもあいつらのギルメンって最悪だ。
てか、あいつらもヤバいぞ、あんな奴が所属しているとか、下手したら共犯とかに……
うん、特定は必須だな。
てか、急いで特定して脅してでも止めないと、誰かがチクったら終わりだぞ。
他の奴らも驚いていたから、もしかしたらやっちまうかも……
よし、急いで櫻木さんに聞いて、裏の探偵を紹介してもらわないと。
かなり高いらしいが、この際、金額の多寡は問題じゃない。
オレだけならまだしも、あいつらもヤバいんだ。
共犯とか冗談じゃないんだからな。
【1つだけ良いか……何だ……そいつ、何をしたんだ……ネットマナー法違反……そんな奴が今時? ガキかよ。よし、急いで特定する……頼むな】




