0047
オレ達は少し早めに学校に着き、クラスをまたいで今後の話し合いをする。
今日は家に戻って親を説得すると息巻いている。
そんな話をメールチェックしながら聞いている。
テラパイプのセッティングの件で作業員が来るってメールが入っていた。
専用機も追加で3台注文をして、そろそろ届くってメールも入っていた。
ナンバーズの14桁でも送ってやろうと、増えた会員と合わせて全員に数値を送る。
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362 当たり屋
入会してメール送ったのに音沙汰なし
これ、詐欺じゃねーの?
363 不労所得
>>362
あー、時期が悪かったな
今な、年末年始休暇中だ
年末にな、3回分のメール受けたんだ
オレ達会員は今、そいつを買っているとこだ
364 当たり屋
何だよそれ
そんなの聞いてねぇぞ
365 甘い汁
凄いの来た
14桁買うぜ
366 当たり屋
うわ、これ、マジ?
367 不労所得
儲けの2割、忘れんなよ
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早速、掲示板が賑やかになってんな。
よしよし、なら、そのうち16桁も送ってやろうな。
おっと、サイトの更新もしとくか。
競輪サイトでつらつらと……ふんふん、ほおほお、なるなる。
12日観音寺の自転車の7レースが8-9-4で、栃木の自転車の8レースが9-6-7と。
これで良いかな。
「なあなあ、あの武器、何処で使うんだ」
「うえっ? 何の話だっけ」
「聞いてなかったのかよ」
「悪い、競輪サイト見ていた」
「お前、そんなのもやってんのか」
「で、何の話」
「ああ、あの武器の話だ。何処で使うんだ、あれ」
「実は地下に専用のパーキングがあってな、そこでやるんだよ」
「そんな場所があるんだな」
「表で振ったらそのまま交番だろ」
「確かにな。で、競輪は当たってるのか」
「予想サイトを利用している」
「そこ、当たるのか」
「入会金1000万でハズレ無し」
「お前もトコトンだな」
「親に隠れて金儲け。そうして隠れてメシを食う」
「ああ、それでか」
「初めては小学5年生」
「そんな頃からかよ」
「小学の頃の仇名はコジキング」
「はぁぁ、やっぱりそんな事になってたんだな」
「給食が唯一の料理だったからな、クラスの連中の嫌いな物、かき集めてひたすら食ってたさ」
「解放されて良かったな」
「ああ、今は本当に楽なんだ」
本当にいくらでも出て来るな。
夏とか最悪で、海パンとかも買ってくれなくて、ずっと見学してたんだよな。
泳げないとか、水着を忘れたってやってたら、最後には服のままプールに突き落とされて、泣きながら帰ったら転んで泥だらけになって、家に帰ったら制服を汚したと親に殴られて、本当に理不尽だと思ったんだ。
だからもう何があっても親に感情を見せる事も無くなって、体操服も学校で洗濯して干してたんだ。
そしたらそれを捨てた奴が居てさ、また汚れた服を洗濯して干したんだけど、オレが見ている目の前でまた捨てようとするんだ。
さすがにあの時はキレてよ、股間蹴飛ばしたうえに、服を全部脱がせて屋上から捨ててやったさ。
ちょうどあの頃は初めての競輪の後だったから、おっちゃんに頼んで携帯端末の保証人になってもらって、持っていたから何枚か写真を撮って、告げ口したらサイトに流してやるって脅してやったんだけど、あれからあいつ見なかったけど、どうなったんだろうな。
まあ、裸のあいつがそれからどうなったかとか、そんなの知るかよ。
ただ、体操服をまた干して、無くなっていてもサイトに流すと脅しておいたのは確かだ。
もうね、あの頃は一杯一杯だったんだよ。
だから少しの苛めにも派手に反応してたけど、今なら直接行動はやらないだろうな。
中学に上がってからはあいつらが守ってくれて助かったと思って、家と学校の苛めの片方が無くなっただけで、かなり楽になったのを覚えている。
あれで少し余裕が出来たんだ。
「おい、お前の言っていた予想サイトって、もしかしてこれか? 」
「ああ、それそれ」
「何かよぅ、妙に偉そうだよな、こいつ」
「殿様商売」
「ああ、そんな感じだな」
「けど、当たるから問題無し」
「まあなぁ、そんなに当たるんならオレもやりたいけど、元手がな」
「そんな事よりゲームはどうなった」
「ああ、やってるぜ」
「リアルマネーチートで何か面白いのある? 」
「リアチか、うーん、そうだなぁ。お、あるある」
「で、どんなの」
「あのな、一番酷いのがな、100円で1パーツって課金通貨を買うんだけど、高額になる程、お得になっているんだ」
「それの何処が酷いんだ」
「良いか、よく聞けよ。100円で1パーツ。1万円で130パーツだ」
「いい話じゃないか」
「これがまだまだあるんだよ」
「最大を言え」
「ふふん、驚くなよ、1億円で1千万パーツだ」
「盛大にお得だな。10円で1パーツになるって事だろ」
「誰も買わないと思って、やりたい放題だろ、運営の奴」
「パーツってな、トレード出来るのか」
「ああ、直接は無理だけどな、課金通貨ってコインを買ってな、それのトレードはやれるぞ」
「それもお得になってたり? 」
「まあ、お得と言えばお得だけどよ、相当にまとめ買いしないと無理なんだよ」
「つまり、1億で買うような奴ら向けか」
「そういう事。オレらには関係の無い話だけどな、1M、つまり100万パーツで1万パーツコインが120枚買えるんだ」
「10Mなら? 」
「やっぱりそれを聞くか。あのな、1万パーツコインが2000枚だ」
「それ以下はサービス無しか」
「ああ、だから関係の無い話なのさ」
「ロンダリングで増やせないのか」
「さすがにそれは無理だぜ。クレジットは通貨とコインに分かれていて、通貨でコインは買えるけど、コインでコインは買えないんだ」
「でもさ、最大限のサービスを受けたら、1パーツ5円になるんだな」
「マジ嫌がらせだと思うだろ。オレ達は精々、77円ぐらいだと言うのに、金持ちは5円なんだからよ」
「77円で買っているのか」
「正月だけな。普段は85円ぐらいかな」
「売り、1パーツ50円。需要あると思うか」
「あ、お前、そういう事がやれるのかよ」
「ふふん、金はあるぜ」
「頼む、安売りしてくれ。ピンチなんだ、金がよ」
「50円で良いのか」
「充分だぜ」
「転売歓迎、いくらでも売るぞ」
「ならよ、うちのギルメンにも話してみるさ」
「30円で卸してやる」
「うほー、やるやる」
これもまた裏の商売になるのかねぇ。
家に帰ってカード投入で入会して課金コーナー。
1億で1千万パーツにして10Mセットの1万コインを2000枚獲得と。
面白いからもっと買おう。
結局、10億投入で1万コインが2万枚になったけど、これ、使い道が無いんだよな。
どうにも無駄遣いが激しいが、特に使い道が無いのが問題なんだよな。
裏の稼ぎは途中で止める訳にもいかないからな。
あれも付き合いみたいなもので、うっかり止めたりしたらもう、裏の関連と切れちまう。
まさに金の切れ目が縁の切れ目になるのが裏社会だな。
裏競売は面白いから切られたくないから、だから嫌でも金が増えていくと。
閃きのままに落札狙っているけど、本当に欲しい品とか滅多に無いんだよな。
あ、そうそう、キャラ作らないと……あれ、何だこれ。
時価? 寿司かよ。
時価コース
査定額が課金額になる。
手持ち武器のゲーム内転換。
何か変わったサービスと言うか、これ、どうすれば良いんだ。
よし、コンパウンドボウと専用の矢を登録してやろう。
どうせ課金の使い道とか無いんだし。
特典
不壊・不盗・不落・自動回収。
これって、矢は1本の登録で良いのかよ。
よし、それなら明細送ってやるか。
裏工房の名前は消してと。
しかしこの明細、普通の10倍の価格になっているんだよな。
仕方が無いから材質だけ出して価格は査定にしちまおう。
10倍の訳は軍事転用が効くって意味だから、表のゲームには関係無いんだし。
弓本体に透明防弾の盾が装着出来るようになっていたり、HEAT弾みたいな矢になったり。
移動矢狭間だもんな、あの盾装着時って。
でもHEAT弾風の矢は使い捨てになるからな。
高いんだから使いまわさないとな。
おっと、性能表も出しておくか。
225ポンド・有効射程300メートル・14ミリ複合板貫通って、これヤバくないか。
まあいいや、つらつらと書いて送っておけば。
そんな事よりキャラメイクしないと。




