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ユーゴ

土曜日の夕方、クレモンは母のサラと一緒にクロエを迎えに行ったあと、リヨンの空港へ向かっていた。


「ほら、見えてきたわよ、あれが空港よ。」


「私は何度もここに来てるから知ってるわ。クレモンは初めて?」


「そう。初めて。うちはいつも車で旅行するからね。」


「そう言えばそうね。あなたと一緒に空港に来たことなんてなかったわね、クレモン。ほら、キレイでしょう?白鳥が羽根を広げたみたいで。」


「うん。確かにキレイな形だね。有名な建築家が設計したのかな?」


「そうよ、有名な人よ。でも、誰だったっけ?忘れちゃったわ。確かスペイン人の…。アテネのオリンピックスタジアムを設計した人だけど…。クロエは知ってる、誰だったか?」


「いいえ、知りません。有名な人だったことも知らなかったわ。」


空港が近づいてきた。美しいガラス張りの建築物に目を奪われる。ホールに入ると、三家族ほど、他のステイ先も迎えに来ている。


「さ、着いたわ。この出口で待ってたら出てくるわよ。ボンソワール、サブリナの家も受け入れるのね。あら、あなたのところのジェレミーも日本語してたの?知らなかったわ。それにしても先生は来ないのね。」


しばらくすると、到着済みとの表示が出て、その後、荷物の受け取りが始まった、荷物の受け取りベルトへの積み込みが終わった、と次々に案内が変わっていった。


「もう出てくるわ。楽しみだわね~、どんな子かしら。」


次々と到着した人が通り過ぎる中、日本人と思しき6人ほどの若者が出口を通って出てきた。次々とステイ先の家族と落ち合う中、


「あ、ユーゴだ!こっちこっち!」


「クレモン、どうしてすぐに顔が分かるの?」


「Facebookでもうやり取りしてるからさ!」


「まぁ、親にも知らせずに!」


「ボンソワール、ジュマペルユーゴ、アンシャンテ。(こんばんは。わたしはユーゴです。どうぞよろしくお願いします。)」


たどたどしくもフランス語で挨拶を交わしてきたユーゴに、


「いらっしゃーい、楽しみにしてたわよ!思ったより大きくて大人っぽいわね。日本人は幼く見える、って聞いてたのに。」


とサラが頬を寄せていった。


ユーゴは一瞬驚いたが、すぐに授業で挨拶の仕方を習ったことを思い出し、頬を一回二回とサラの頬に寄せていった。


「サリュ、クレモン。」


クレモンとは既に顔見知りなので、さも久しぶりに会ったかのように握手。


「あれ?このは?」


「あぁ、クロエだよ。話したでしょ、一緒に迎えに来るって。」


「あ、そうだっけか。ヤベェ、忘れてた。アンシャンテ。」


「アンシャンテ。クロエよ。よろしくね。」


今度はすんなりと頬を重ねて挨拶ができた。学校で習った時は香水の香りまでは想像していなかったが。

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