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日本からの留学生

「おはようございます。」


「おはようございます、クロエさん。あなたはおげんきですか?」


「はい、わたしはげんきです。クレモンくん、あなたも?」


いかにも初心者らしく、ぎこちない。すぐにフランス語に切り替わる。


「もうすぐ、留学生が来るの、知ってるだろ?うちには二週間いるんだ。」


「そうなの。私のうちはちょっと今年は難しくて。。。受け入れたかったんだけどね。」


クロエはその長い髪を後ろに束ねるようなしぐさをしながら、心から残念そうな表情を見せた。


「仕方ないよ。いろんな事情があるし。」


「で、いつ来るの?」


「来週。土曜日に空港に迎えに行くんだ。クロエも一緒に行かない?せっかく近所なんだし、ときどき一緒に遊んだらお互い日本語の勉強になるだろ?今日はそう思って誘いに来たんだよ。」


クレモンは比較的声が高くて通る。トラブールの中庭のような囲まれた空間だとその声が良く響く。上の階の廊下にいた人が、何事かと下にいるクレモンたちの方を覗きこんだ。


「そうね。来週の土曜ね。オッケー。トラムで行くの?」


「いや、母さんが車を出してくれるはず。だから晩の6時半くらいに迎えに来るよ。到着は8時だから。」


「分かったわ。初めての日本人ね。キレイにしていかなきゃ!」


「じゃ、コスプレで!」


また上の人が覗きこんだ。その時スカートを広げるような恰好をしていたクレモンと目が合った。


「ほら、バカみたいじゃない。普通にキレイに、ね。で、名前は何だっけ?」


クロエの青い目は優しく笑っている。


「ユーゴ、だって。」


「ユーゴ?フランス人の名前みたいじゃない?覚えやすくていいわね。」


「だろ?もちろん漢字で書くみたいだけどね。」


「そりゃそうよね。日本人だもん。」





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