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地下世界

クレモン、クロエ、ユーゴはまたさっきと同じ道を通って地下のセラーへと入って行った。


「クロエ、どこに行くつもりなんだよ。気持ち悪いよ。引き返そうぜ!」


無視するつもりはないし、聞こえていないわけでもない。ただただ突き進みたいのだ。何がクロエにそうさせているのかは分からないが、そこに疑念はなかった。


同じ形で左右に伸びる通路が、つけては自動的に消える照明でいつまでも同じところにいるような錯覚を与える。


「ほら、ここよ。さっきピエールさんがいたところ。さっきはゆっくり中を見れなかったけど。うちのセラーと比べても圧倒的に広いわ。とっても怪しい。」


「だからって何だよ。そんなの、他の部屋だってそうかもしれないじゃないか。」


「カギ、ピエールさん閉めてないの。閉め忘れたんじゃないわ。カギがないのよ。」


クロエは扉に手をかけ、ゆっくりと押した。音もなく扉が開いた。


パチッ


「わっ、電気がついた!なんで?」


「セ イスィ(ここだよ)」


ユーゴはスイッチの場所を知っている。


「ユーゴ、さっき、働いて生きるか、って言ったわよね。それ、もう一度言ってくれない?どうしてか、って。いいのよ、お願い、一度だけ。」


「えーと、確か、ヴィーヴル アン トラヴァイアン。。。」


「ウ ムリール アン コンバッタン(それとも戦って死ぬか)。。。」


ガタン


ユーゴに続いて、クロエがそうつぶやいたとき、24本入りのユーロカーヴのワインセラーの一つが音を立てて動いた。ワイン好きならレザムルーズやラチュルク、さらにはペトリュスといったワインが眠るこのユーロカーヴに目を奪われるはずだ。が、子供たちはそんなものには興味がない。


「ほら、見て!階段よ!」


目を輝かせてクロエがつぶやいた。


「どうして。。。凄いじゃん。。。」


「セ パ ヴレ(嘘だろ)。。。」


そこからさらに階段が地下に伸びている。その奥は暗闇ではなく、こうこうと光り輝いている。


「さ、行くわよ。私には分かるわ。この下にはカニュがいるのよ!」


「やめろって、クロエ。さすがにまずいよ、ここから下は!俺にも分かるよ。絶対に足を踏み入れる場所じゃないって!」


クロエは人を無視できる性格ではない。しかし、今はクレモンの声も聞こえない。ただ階段を下りていく足音が、心地よく胸に響くのだ。かつかつというその響きに逆らって戻るという選択肢は彼女の頭にはなかった

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