その男…指名手配中!
本文です。
自分の実力では2000字程度が限界かと…
「おかぁさーん!」
「…………………」
「おかあさん?」
「ごめんね……クロア…」
ぼくはそのとき後ろから太い棒で殴られたのを良く覚えている。
それからぼくは気を失ったんだ。
ここはとある酒場…
名前は《HOPE》
意味は希望
そこにはいろいろな人や情報が飛び込んでくる。
「おい、聞いたか…こんどの商品によ、《獣人》が売られるんだってよ!」
がたいのいい男二人が話をしている。
「本当か、それ…どこでだ?」
「場所は…っとただでは言えねえなあ…この話いくらで買う?」
ちっ、かねとるのかよと一人がぼやく。
その話を聞いていた人物が一人…ファーのついた緑色のコートをはおり、そのファーのついているフードを深くかぶった男がカウンターに座っていた。
「マスター…あの話…」
マスターと呼ばれた人物はタキシード姿にめがねをかけている。
「はい、おそらく事実かと…」
コップを磨く手を休め男のほうを見た。
「……………」
フードを被った男はすっと紙幣を出し、マスターと呼ばれる人物に渡した。
「喜んでお話しましょう」
「おらっ、ここに入ってろ獣が…」
あの汚い男はぼくを小さい檻に投げ入れつばを吐きかけるとカツンカツンと音を立てて去っていった。丸二日何も食べていない…おなかすいた……おかあさん…おなかすいたよ…何か作ってよ…
遠くでぼくの落札が始まった…
100万、200万…とぼくのレートが上がっていく。
最後に9000万といったところで会場がざわめいた。
そしてきずちでカンカンと叩かれた。
ぼくにはもう抵抗する気力は残っていなかった。
ただ心の中で祈るしか…
……誰か助けて……
また別の落札が始まったらしい。
ぼくは神を呪った。
神はいない。あるのはひねくれた現実だけ…。
無性に泣きたくなったけどもうでる涙は無い。ここにくるまでにすべて出してしまったから…。
しばらくしてここに向かってくるバイクのドドドド …という重低音が聞こえた。どうせ通り過ぎるだけ…と思ったのだがどうやらここに向かっているようだ。どんどん音が近くなりそしてとうとう…。
目の前の壁に突っ込み大きな穴を開けた。
そして、僕の入っている檻の前で止まった。
「よかった。間に合った。」
とても大きいバイクに乗っていたのは深緑のコートを着ていた。しかしファーの付いたフードを深くかぶっていて顔は見えない。
「だ…誰?」
話は後!と言うと側に掛けてあったカギの束を取り、ぼくの檻のカギを外した。
余程慣れているのか幾つもあるカギの中から一つ選びその一本でカギを開けた。
「さぁ、面倒なことにならない内にさっさととんずらするか!」
「えっ、あ…」
ぼくの手を引っ張ってバイクに乗せようとする。
「は…離して!」
ぼくはとっさにその手を振り払った。
人は一瞬ビクッとしてしゅんと落ち込んだ。
フードの上から見てもわかるほどに…。
「………………」
「えっ、あ、いや…逃げたいけど…ばれたらあとでどんなおしおきされるかわかんないもん…」
「…じゃあ、逃げたいのかお仕置きされたいのか決めろよ。早くしな、じゃないとアイツらが来るぞ…」
壁、ぶち抜かなかった方がよかったな…彼はボソッとそう呟いた。
「そりゃぁ……………い……」
「?」
「…たい…会いたいよ…おかあさん……ここから逃げておかあさんに会いたい…」
ぼくは自然と涙を流していた。もうでないと思っていたのに…散々泣いてもう出る水分は無いと思っていたのに…涙はつつーと頬を伝って地面に落ちた。
そして彼はばつがわるそうにただぼくの頭を撫でた。
「じゃあ、乗りな…」
「うん」
「おい、あんちゃん!俺も出してくれよ!」
近くにあった檻から声がした。
その声を境に周りからえっ、出られるの?本当か?等の声がした。
そして、ざわざわと広がった。
「なぁ、あんちゃん、頼む! 家族に会いてぇんだ…だから…」
「わかった。ただ俺も追われる身だからな。カギをその檻に投げてやる。あとは周りの檻の奴らも出してやりな。そしたら、もう自由だぜぇ!」
いい終わるが早いかすでにもう檻の中にカギを投げ入れていた。
「すまねぇ、恩にきる!」
ガチャガチャと音を出しながらカギを外している。
「さてと、目的は果たせたし早く乗った乗った!」
目的ってなんだろう?あとさっき追われる身って…
そんな疑問が頭をよぎったが取りあえず乗ることにした。
バイクを見るとさっき、壁にぶつかったためであろう真っ黒なボディがべこべこにへこんでいる。
「それじゃあ、飛ばすからしっかり掴まってろよ!」
そして、エンジンを吹かす。
それと同時にここの管理者であろう人物が部下を引き連れやって来た。
その部下の中にはさっきの汚い男がいた。
「貴様…自分が何をしているのかわかっているのか」
「そりゃもちろん人権を無視した人身売買をぶちこわして…」
「その通りだ。お前は俺の商売を邪魔したんだ。その罪命で償ってもらおう!」
やなこった!と彼は叫び、吹かしていたバイクを急発進させた。
「うわ、わっ!」
いきなり動き出したから、ぼくは反応できずにバランスを崩した。
だから、しっかり掴まってろって言ったろといって、はにかむとぼくの腰に手を回し、彼の前に座らされた。
その様子は、まさに親子そのものだった。
「逃がすか! 追えっ、あいつは9000万を持ち逃げしたのと同じだ!必ず捕まえろ!獣人の餓鬼は生きたままだ。いいか絶対に傷はつけるなよ!そしてあの男は殺してもかまわん!ただ逃がすなよ」
「「はっ!」」
部下たちはちりじりにちってバイクや車…などおびただしい数の乗り物に乗ってくると直ぐ男を追いかけに行った。
「指名手配犯…ウィズ・ウェル・ドラグニルめ…」
…だーもうめんどくせえ!
クロア締めんのよろしく!
クロア「え、えぇぇ!えと、あと、その…と、とにかくよろしくね…///」