スカイブルー
ものすごい音がして、僕の体は宙に投げ出された。少女を傷付けないよう、僕はとっさに空中で身を捻る。
「っ…」
地面にうちつけられ、息が詰まる。そこに、どさりと少女が乗る。嘔吐感が襲ったが、幸か不幸か胃の中にはなにもない。
少女が不安そうに僕をのぞきこむ。その瞳は、真っ青で透き通っていた。いつだったか、祖母の家で見た青空の色に似ていた。
そう思うと、彼女は自然から生まれでたのではないか、と感じた。
朝露の煌めく草のようなエメラルドグリーンの血液。飲み込まれそうなくらい、どこまでも深く澄んだスカイブルーの瞳。
彼女がたとえ人間でなくとも、僕は彼女を美しいと、守りたいと感じた。
「………」
どこかから、人の声が聞こえる。たぶん、アイツらだろう。僕は、少女を抱き上げると、静かにその場を後にした。
世界を敵に回した僕を監視するかのように、空には極彩色の虹が輝いていた。