エピローグ
幸田博の意識が回復した時、彼の体は、水のない、硬い床の上に横たわっていた。
「くそっ、エネルギーが……足りなかったか。でも、この重力、この空気……」
幸田は、ゆっくりと目を開いた。
彼の目に映ったのは、青く澄んだ空。そして、遠くに聞こえる金属が擦れるような、懐かしい駆動音。
彼は立ち上がり、全身の細胞で、その環境を解析した。重力は1G。酸素濃度は21%。周囲を覆う、独特の植物の匂い。
「間違いない……地球だ。俺は、帰ってきたんだ」
幸田は、涙を流した。ミジンコから始まり、竜となり、神となり、長い年月の時を超えた彼の旅は、故郷への帰還という、唯一の目標を達成した。
彼の目の前に広がる景色は、彼が故郷を離れる前と、ほとんど変わらない、緑豊かな公園の風景だった。
そして、彼の背後から、楽しそうな子供たちの声が聞こえてきた。
「ねぇ、あのお兄さん、なんでこんなところで寝てるんだろう?」 「コスプレかな? 変な服!」
幸田は、自らの仮の器の姿を見下ろした。それは、彼がネオ・コウダで着ていた、簡素な指導者の服だった。
幸田は、子供たちに、最高の笑顔を向けて、深くお辞儀をした。
「ごめんね。ちょっと長い旅から、今、帰ってきたところなんだ」
彼は、地球の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。その瞬間、彼の胸に、システムウィンドウが展開された。
『ユニークスキル:【超次元転移(SS)】が覚醒しました!』
『すべての進化系統が、【永遠の帰還者】へと統合されました。』
完




