表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

尊厳

作者: 祁答院 刻

ガラガラと古い行き止まりの病室で

甘い煮豆が食べたいと あなたはいった

知恵わすれの壁掛け時計に 散々 眠らされ

生きるとは この際どうしてもあか抜けない


スーパーの金時煮豆をあたえたら

あなたはかわいそうに おかわりをねだる

目は どうぶつのように 暗く 黒く

わたしの手は いつも空どうを握らされる


いつか 煮豆を折角手作りした日

あなたは 無邪気にそれを食べ残した

汚すようにひと粒 半端に口をつけ

世界一愚かな うすわらいを浮かべた


帰宅して ひとりタッパーを取り出せば

くだらない命が いっぱい いっぱい

形はとぼけていて 集まり方はいやしくて

朝にはわたしの可愛い赤ちゃんだったのに


全部全部 侮辱したいのは大好きなひとだった




うたた寝の消毒剤が こっくりと日を進め

あなたの肉体はそして洗練されていった…

明日もわたしは 煮豆を持ち込もう

さいごの尊厳が立ち昇る この行き止まりの病室に

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ