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玄武の行動にイラつきを覚えたのかトラップ内のモンスターが姿を表した。白い毛並みの狐だ。その数は、ゆうに100は下らないと思われる程にたくさんいる。
「主、回復魔法かけたよ。命に問題はないけど目が覚めるかは本人次第ってとこだね」
「麒麟、ありがとう」
刀を抜いて狐の前に出る。
「戦うなら容赦はしない、このまま引くなら俺達は手だしはしない」
そう声をかけると奥からやたらとでかい狐が出て来た。クリスと変わらない位だろうか。
普通に立ってるだけで2m以上はありそうだ。
「ワウワン」
でかい狐の答えのような声に白い狐達が一気に攻めてくる。
ザッパー!! 凄い音と共に狐達が上下で真っ二つに分かれた。狐達の動きに合わせ、白虎の風魔法が炸裂したのだ。
俺の前に白虎が立つ。
「お前ら、我らが主に牙を剥いた事を死んで詫びろ」
そう言うが早いか白虎の体が揺れるとでかい狐に襲いかかり、あっさりと白い狐の全てを倒してしまった。
「白虎、ご苦労さん」
「いえ、主殿。こやつは二尾狐。
もしかしたらこいつの上も要るかもしれません」
「二尾狐ってなに?」
麒麟がフワフワとしながら寄ってくる。
「妾が説明するよ。
こいつら妖狐って言われる種類なのね。
妖狐には階級があって、一尾狐から九尾狐までいるの、二尾狐以上から幹部のような扱いで自分の部隊のような眷属達を持つのよ。
で、ボスは九尾狐。強さで言ったら、白虎達よりもだいぶ上かなな。クリスも四尾狐以上はまだ厳しいよ」
そんなに強いのか。
麒麟が俺に説明している間に、トラップが終了して通常のダンジョンに戻る準備が出きる。
コングエイプがいつものように魔石を拾い集めてくれた。
「コングエイプ。悪いがこの寝てる2人を連れてきてもらえるか?」
「ウホ」
2人を軽く持ち上げ負担の無いように肩に置くと俺達の後を付いてダンジョン入り口まで来る。
「ありがとう。戻って良いぞ」
「ウホッ」
ダンジョンを出て協会職員に声をかけて担架を準備。朝日 徹也と一緒にいた女を担架に乗せて救急車に乗せて移送を始める。
その報告を連絡係の職員に報告して、翌日に正式な報告となった。
「お疲れ様です。2人とも目を覚ましたようです」
「良かった。ところであの一緒にいた女の人って、何で一緒にいたの?」
「ハイ、朝日さんのお話だと…」
トラブルの当日、朝日のパーティーは最近Aランクに上がったパーティーと一緒にダンジョンに来た。
ダンジョンの説明を行い、ダンジョンを出ようとした時だ。朝日と女だけがトラップにはまってしまった。
そして落ちた場所が白狐のモンスターハウスだった。ただラッキーだったのが10匹位しか数がいなく、2人でなんとか倒し終えた。
その後ダブルトラップが発動。あの二尻狐のいるモンスターハウスに飛ばされてしまったのだと言う。
2人である程度倒した所でミストが出た。その後は気を失っていたようで、2週間近くもダンジョンの中にいたとは思ってはいなかったようだ。
俺の報告もありこの群馬のダンジョンにダブルトラップがある事が証明されることになった。
午後からは朝日夫婦が俺を訪ねて来た。
朝日夫婦との話も終わり、倒したモンスターの魔石等を卸す。
群馬の事が終わり休養とばかりにただただバイクでツーリングを楽しむ日が来た。何日も何日もほぼ高速にのり、行ってみたかった各地の有名SAを巡る。そして一回来てみたかった静岡県に有る高速のSAを満喫しているとサナエさんから連絡が入る。
俺宛の指名依頼が来ているらしい。
その日はただ、高速を爆走するだけの日になってしまった。
翌日、協会にくるとサナエさんから話を聞く。
依頼内容は、有る冒険者に同行してダンジョンに入って欲しい。と言う内容だった。
「サナエさん。この依頼って何処から来たの?」
「これですか? これは秋田支部からです」
秋田支部? なぜ?
俺の疑問を察知したのかサナエさんが教えてくれる。
「秋田支部の職員のご家族だか、知り合いだからしいですよ。その方が東京に来てまして岩蜥蜴のレア魔石を狙ってるとか」
「レア魔石? どんなやつ?」
「虹色魔石と呼ばれる物です」
虹色魔石、俺が刀を作る時に使った魔石か。あれを取るなんて結構骨が折れるぞ。
「虹色魔石ってどの位の値段なの?」
「わかりません。現在、世界に3つしか存在していないと言われてるので金額が付くかどうか」
「マジっすか。取れなくても俺の責任じゃないよね」
「はは、考えすぎですよ。
実際は結構取れるんですけど、良質かつ宝石のような輝きを持つ虹色魔石が物凄くレアなのです。
今回、刀の製作に必要で虹色魔石が欲しいらしんですよ」
「そうですか」
「そうですよ。誰かさんがものすご〜くレアな、ものすご〜く澄んだ綺麗な虹色魔石を刀を打つ際に出したとか、それが評判を呼んでるらしいですよ」
そう言うとジト目で俺を見る。
何か自業自得だって言われてるみたいだ。でも知らなかった、あの刀の製作に使った魔石がそんなに貴重だったとは。
それから数日経ち、その冒険者と協会の部屋で会う。
ダンジョンに入る前の打合せだ。そして来たのは20歳前後の女の子だ。さおりとさほど変わらない歳だと感じにみえる。
「あんたが二前か?」
「そうだ。あんたは?」
「私は日高 凛。
あんた、ポーターバック有るでしょ、それを背負って付いてきてくれればいい。
あんな雑魚に私が負けるはずもない」
「そうか、なら高い金を出して俺を雇う必要はない。それなりのレベルの奴を雇えばいい、俺はこの依頼を拒否する」
「は? Eランクより低いランクの奴はいないだろう」日高 凛が驚いて俺を見て来る。
「俺は現在Aランクだ。秋田のSランクダンジョンにも入ったことが有る。
そう言う事だ。他を当たってくれた方が良いと思うぞ」




