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麒麟の心配事をよそにボス部屋に入る。
当然ボスとの対戦もお任せ状態だ。この7首大蛇は一つの首事に別々の毒を持ち、その毒で敵を倒すモンスターだ。
俺はと言うと冒険者の残した物や防具や武器の残りが無いかを探っている。
「主、なに探してるの?」
麒麟が暇になって来て俺に絡みだす。
「他の冒険者の痕跡。朝日 徹也だけで無くてさ、他の人の物も有ったら持って行ってあげようかなって思っただけだよ」
すると青龍が俺の所に来る。
「主殿、終わりました。これが7首大蛇の魔石です」
「青龍、ありがとう」
「は、私等にもったいないお言葉」
そう言って平伏する。
「青龍、固すぎだよ」
逆さまになって俺の頭に乗っかるように頭を付け、逆さまの格好で胡座をかき麒麟が言う。毎度思うがこいつは何でこんなに器用なんだ。
「麒麟、お前が軽すぎるんだよ」
「なによ、妾が主と仲良したがらって妬かないの」
「き、貴様(怒)」
「ヤメヤメ。
じゃあ帰ろうか。明日からトラップを全て潰すようにして行くぞ」
ダンジョンに入ってから約2時間半程でダンジョンをクリアして外に出て来た。パーティーのメンバーと職員が俺を見る。顔を横に振ると皆落ち込んでしまう。
それから協会支部に戻り魔石やドロップアイテムを卸すと、受付の職員が7首大蛇の魔石を見て写真を撮ったりし始めていた。よっぽど珍しい物なのだろうな。
連絡係の職員が来る。
「どうでしたか?」
「ボス部屋まで隅々見たけどそれらしき物は無かったよ、これはボス部屋で見つけた物だ。かなり古いけど誰かに当てた手紙だ。
だいぶ痛んでいるけど、所々は読める状態だったよ」
そう言って拾った手紙を渡す。
「ありがとうございます。これは我々にて精査した上で、ご家族や知り合いの方に届けたいと思います」
「明日から、ダンジョントラップを一つ一つ潰していく。時間の約束が出来ない」
「了解しました。取りあえず朝の入り時間を8時に設定してもらえますか、帰りは戻ったら教えてもらえればそれで問題ありません。それと丸3日、ダンジョンから出ない場合は東京支部に報告が入ります」
「わかった。ダンジョン内部は時間感覚がわからなくなることが有るから注意するよ」
その後、朝日の家族に今日の報告がなされたが、その時の朝日の家族の落胆ぶりは凄まじかった。
翌日の朝の8時にダンジョンの前に来る。
「おはようございます。
我々職員は3交代でこちらでお待ちします、それと簡易救護施設も本日中に完成予定です」
昨日までの態度と全く違い驚いてしまう、職員の責任者が俺の前に来る。
「昨日はすみませんでした。ボスを討伐された事を知った者達が、コウさんならと自主的に動いてくれました」
「わかったよ。何がなんでも見つけないとな」
「もし、遺体だけでも。遺体だけでも見つける事が出来たら連れてきてやって下さい。
よろしくお願いします」
「了解した。今日からダンジョントラップと思われる物全てに突入して確認する、出たら報告するよ」
ダンジョンの中に入ると俺の呼び出しより早く麒麟が出る。
「主、今日は妾が案内するよ」
「麒麟が、どうしたの?」
「大ちゃん行こ」
なぜか大鎧熊の大ちゃんを勝手に寝床から出すと大ちゃんの上に乗る。
「大ちゃんまで」
大ちゃんが俺を見て首を振ると歩き始める、あの行動は何かを諦めてるのかね?
「主、ここ。ここから入るよ」
麒麟が指さす場所はダンジョンの壁に有るちょっとしたくぼみだ。
麒麟と大ちゃんについてトラップにはまる、大軍隊蟻の巣の中に転移した。しかしでかい巣だな、そう思っていると早速大軍隊蟻に囲まれてしまう。
刀をだして大軍隊蟻に突進して斬り倒す 。この蟻の巣はおそらく女王蟻がいるのだろう、凄い数の蟻がたまっている。
大軍隊蟻にも種類がいるらしい、普通の蟻で1.5m。ひときわ顎のでかい蟻が2mはあるな、そいつが前に出て来た。
「さあ、早くこい」
どんどんと巣の中を進み大軍隊蟻を斬り倒していく。すると卵のような物を発見。
「主、蟻の卵だよ。焼き払って行こう」
麒麟が後ろから話しかけてくる。
「朱雀」
「ハイ」
「卵、任せた」
「ハイ」
卵の脇を歩く、さらに多くの大軍隊蟻が俺達に向かってくる。
「風纏い 鎌鼬」
鎌鼬を刀に纏わせ大軍隊蟻を切り捨てる。やはり、ただ魔力を通すよりも魔法を纏わせた方が威力があるな。
大軍隊蟻の集団が出て来たのを見つけて、縮地を使い大軍隊蟻に近付き集まった蟻達を全て倒す。だいぶ、巣の奥に来たのか腹がでかい大軍隊蟻を発見した。これが女王蟻か?
最後の女王蟻を倒してトラップを終わらせる。
「ねえ、主? 何で1人で全部倒したの? 皆待ってたのに」
「たまに体動かさないと鈍るだろ」
「コングエイプ。拾える物は全部拾って来てくれ」
「オフ」
コングエイプが戻ってからトラップを出る。




