83/95

◇

「シルバー出ろ」

シルバーが出て俺にすり寄ってくる、シルバーの頭を撫でる。

「さおりを守ってくれるか」

「ワン」

「さて、朱雀。やろうか」

刀を抜いて風魔法の鎌鼬を刀に纏わせる。

朱雀は男の姿から変えるつもりは無いようだ。縮地を使い朱雀との距離をつめると鎌鼬を放つ、一瞬とらえたが炎を纏い斬られた体を回復させる。

「なんだ、その立派な刀は飾り物か？」

朱雀が俺に向かい炎の剣を出して斬り付ける。

ギャン!!　ガキャン!!　カキン!!

何度も刀を交える。

お互いに様子見は終わった。朱雀が炎魔法を放つ、それに合わせて俺も炎魔法で応戦。

「火炎槍」ボン!「火炎弾」ボン!

徐々に把握してきた、ぶっちゃけこいつは日丘鉄斎より恐く無い。刀に纏わせた鎌鼬を解除して入念に魔力を刀に循環させる。

「なんだ、鎌鼬を解いて。早々と勝負を諦めたのか？」

「クリス、お前も出てさおりをカバーしろ」

一際でかいクリスタルウルフのクリスが出て来た時、朱雀の顔が強ばっていた。

「さて、ここからは少し本気になる。魔法や小手先の技術や配下達は使わない」

刀を中段に構え、腰を落とす。

縮地を使い朱雀の目の前に飛び出すと突きを連続で放つ。朱雀も攻撃に気付きとっさに後ろに逃げるが、突きをかわせずに体に大きな穴が3つ出来る。

体制の崩れた朱雀の胸を刀で両断する。

"単独でボスを倒し、また討伐時間が10分かかっていません。

特別ボーナスが加算されます。ボス討伐の経験値は入りませんがレベルが8000上がる事になります"

名前　二前(ニノマエ)　宏(コウ)

職業　ナイトメア　Lv32085

超級職　レベルMAX 50000　リターン(Lv50000)

英雄　Lv10000

任意発動スキル　補助

【隠匿スキルLv5　生命察知Lv5　魔力察知Lv5　気配遮断Lv5　英雄の叫び　ナイトメアの喜び】

任意発動スキル　戦闘

【戦闘術Lv5　索敵Lv5　縮地Lv5　魔力強化Lv5　金剛力Lv5　覇王の威嚇Lv5】

任意発動スキル　その他

【インベントリLv5　常闇の寝床Lv5】

常時発動スキル　補助

【必要経験値-50%　獲得経験値+50%　記憶力アップ　運気アップ　精神強化Lv5　英雄の鼓舞　闇王の命令Lv5　死霊操作術Lv5】

常時発動スキル　その他

【魔力鎧Lv5　金剛体Lv5　神目　魔力循環Lv5　覇王の目覚めLv5】

魔法スキル

【火炎魔法Lv5　大風魔法Lv5　水氷魔法Lv5　回復魔法Lv5　解毒魔法Lv5　解呪魔法Lv5　闇魔法Lv5】

【魔装火炎纏Lv4　風纏Lv3 　水氷纏Lv3　闇纏Lv2】

「朱雀、お前わざと手を抜きやがったな」

朱雀が鳥の姿で現れる。そこに覇王の威嚇が発動、死霊操作術によって朱雀の体が歪み始める。

「2度と手を抜く事は許さない。わかったか」

"闇王の命令が発動します。朱雀がこのまま承諾しない場合は朱雀の魂ごと消滅します"

朱雀の体が大きく歪み始める。

"朱雀が了承しました。名前をつけて下さい"

「お前は朱雀。そのままだ」

バタッ!

音がした方を見るとさおりが倒れた、もしかしたらレベルアップして耐えられないのかも知れない。

クリスが軽くさおりを咥えてシルバーに乗せる、そして部屋を出るとそこは場所が変わっていた。

やっぱり出たぞ。麒麟もしくは黄龍だ。

出た場所は綺麗な野花が一面に咲き誇る草原だ。そこに麒麟が花を踏まないように飛び跳ねて遊んでいる、すると玄武、白虎、青龍、朱雀が俺の前で平伏する。

「主にお願いがございます。麒麟を、どうか見逃して頂けませんでしょうか」

「玄武か？」

「主、俺からもお願いする。麒麟は争いを好まない、人どころかこの草花達も踏み潰せない奴だ」

「朱雀、お前の声か？」

白虎と青龍は俺を止めようと何時でも動けるように少し腰を浮かす。

「麒麟。話がある」

俺の呼び掛けに麒麟が反応する。

すると空間を飛び花上を跳ぶように俺の元にくる。

「俺達はこのままダンジョンを出たいと考えている。これは嘘じゃない。

出来ればその許可をもらいたい」

麒麟が俺を黙って見る。

初めて見るその姿に人と麒麟が重なりあい、どちらとも取れない姿を見せる。

少し時間を空けて麒麟が人の姿に代わった。

「妾は何者も傷つける気持ちは無い」

「では、俺達はどうやって帰れば良い？

俺も出来れば誰も傷つける気持ちは無い、やっぱり仲間がいなくなるのは寂しい」

"ナイトメアの喜びをお勧めします"

ナイトメアの喜びってなんだ。何も見てる余裕が無いが、チラチラとステイタスボードを見る。

ナイトメアの喜び⇒服従しない相手を強制的に服従させ倒さずに魔石を抜き取る。倒した相手と同じで常闇の寝床に住み、絶対の忠誠を誓う。

これをおすすめってなに？　結構書いてある内容ってドSだよね。

「お前の寂しい気持ちは妾にもわかる。だからこそ妾の提案はお前が死ぬ事。

それで問題は解決する、妾達の事を一方的に倒し妾達の居場所を奪う。それでいて戦いたく無いというのは理不尽と言うもの」

「そっかぁ。やっぱり違う者達が解り合うには時間と犠牲が必要だな」

ナイトメアの喜びを発動。

俺の体に光が灯る。そして淡い蛍のような光の粒が飛散する、その幻想的で官能的な光に誘われ麒麟が俺の前にくる。

麒麟の頭を押さえてナイトメアの喜びを再度発動する。

すると麒麟は夢の中に誘われた。そこは自らの見たい望む夢を見ながら気持ち良い心地よい世界。そして静かに命を落とす、と言うか仮死状態となった。

ナイトメアのスキル恐るべし。

何時ものようにコングエイプが魔石を持って俺の前に来る。

するともう一匹のコングエイプが爆発して姿を消した。