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それから30分程またされ、売上の一割の300万円程を受け取る。
新人冒険者だろう人達がため息を付いていた。
二日酔いの影響でめっきり口数の少なくなっていたさおりのお母さんと、空港行きのバスに乗り込み移動する。
元々、夜の飛行で帰る予定だった為、時間に余裕はあった。でも、折角秋田に来たのに観光出来なかったのが悔しい。
秋田は秋田城跡があり日本初の水洗トイレがあったりするらしい、白人の国等と交流が会ったため色白な秋田美人がいるとか、なまはげとか、珍しい物好きの俺にはたまらない環境もあったりする。
他にも行きたい所は山程有るけど。
取りあえず秋田を堪能したい。後、秋田もそうだけどその他の米どころも堪能してみたい、旨いお米=日本酒が旨い(勝手な想像です)と、思っている。
あれ? 俺いつの間にこんなに日本酒にはまったの? ま、まさか、紅葉のおっさんの策略にはまったか?
まあ仕方ない今回は正直に敗けを認めよう。マジで日本酒が美味しかった。あ、お料理も。なんか全国のお酒と料理にはまりそうで怖い。
でも俺がいきなり酒を飲みだすとさおりに怒られそうだ。
都内の空港について、さおりのお母さんと一緒に電車に乗って帰路に付く。
家路に付いてのんびりと過ごす。
正直にダンジョンに潜る事すら嫌になる位に疲れてしまった、秋田はかなりの強行スケジュールだったしたな。
少しダンジョンに入るのを控えてのんびりと過ごしているとサナエさんから連絡があった。
暇なら協会に来ませんかと謎のお誘いを受ける。そんで、本当に暇だった俺はホイホイとお誘いを受けて協会に顔を出す。
「コウさん。良くいらして下さいました」
うん? なんかサナエさんが丁寧だ。なんか有るぞ。
「この前、さおりさんとも話しをしたのですが・・・。」
さおりに事前了承を得た、そう言う事か。どっかに出張の依頼だな。
「あの、結論からお願いします」
「はい。出来ればこの日、この連休を使って島根県に有る暫定Aランクダンジョンに行ってもらいたいんです」
「暫定Aランクダンジョン?
暫定と言うのはどういう意味ですか?」
「はい、実はこのダンジョンに会長初め多くの冒険者が調査に入ってます。ですが調査に入った人によってS~Bランクまで返答が違うんです、過去の調査報告にも有るのですが」
そう言うと報告書を見せてくれて、そこに書かれた内容は不思議な内容だった。本当に入るパーティーによって倒したモンスターの種類も違い、ボスも違うのだ。
魔石やポップする物も全て違うようだ。
ただ、評価としてAランク相当が良いのではと判断されて暫定としてAランク相当とされているらしい。
「こちらに入ってボスまで倒して頂きたいんです」
「ボスね」
簡単に言ってるよ。ボスだよ。普通簡単に行かないし中々倒せない敵だからボスだよ。
再度書類を見る。過去のボスはほぼAランクに査定されるモンスターだ。ただ一度だけ、イフリートと呼ばれる炎の精霊が出たらしい。それはSランクのモンスターで、あの協会会長の柴田のじじいと紅葉さん達もかなり苦戦したと書かれてある。
俺の運気アップのスキルが凶とでるか吉とでるか? 今までの内容だと絶対に凶だよな。
連休前日、さおりの学校が終わりその足で飛行機で島根出雲空港にくる。
予約していたレンタカー会社に来ると車を借りてホテルに来た、その日はそれで終了。晩ごはんはさおりとのじゃんけんに勝った俺の希望で焼き肉屋さんに行く。
早速調べてお店に向かう。けど、やっぱり三連休前の金曜日だよね。お店に予約してなかったせいか、160分待ちって言われて心折れました。
「ほら、コウ君。ちゃんと下調べしたの?
ご飯食べれなかったらどうするの?
私お腹すいた」
さおりの怒涛の口撃を受けてしまいました。
「さおり、行きたい店で良いよ。無ければホテルでご飯食べよ」
「はあ? 何それ?」
俺がじゃんけんで勝ったのがよっぽど悔しかったのか、さおりが行きたいお店に入れる事がわかるまですこぶる機嫌が悪かった。
さおりがチョイスしたのが出雲蕎麦のお店だった、出雲蕎麦は日本三大蕎麦に数えられる程有名らしくその事を細かく説明してくれる。
「通常そば粉を作る時は、殻をむいたそばの実を使ってお蕎麦にするのね、そばの実は中心に行くほど白くなるのよ。
でも出雲の玄そばは殻のついたそばの実をそのままを挽いて打つのよ。だから挽きぐるみと言って黒っぽい見た目で、栄養価が高くて風味も良いのよ」
ここまで、一気に話すがまだ収まらず。
「それでね。色んな店舗で…。だから…。」
さおりの話に反応しない俺を見る。
「ねえ、聞いてる?」
「聞いてるよ」
「だから。出雲そばは、お店によってこだわりが違うの、色んな出雲そばのお店があって店ごとのそばを比べるのも出雲の旅の楽しみ方なんだよ」
さおりの言いたい事はわかったよ。でも、おれはしまね牛が食べたかったな。そんな事を思っていたらしまね牛の煮込みが付いた蕎麦を発見。
当然、それを頼みました。
初日はお蕎麦を堪能した俺達だけど、翌日にはやっぱり現実に引き戻されてしまった。
朝、協会出雲支部に顔を出す、対応してもらったのは30代の男性だ。雰囲気的にかなり強そうな人だ。
「出雲市はAランクダンジョンしかありません。
何時もSランクの方が来られるのですが。大丈夫ですか?」
「さあ。
俺達も不安です。Sランクモンスターのイフリートなんかが出た日には保証は無いです」
「お二人はそれで問題無いと?」
「駄目だったら、会長の柴田に化けて出てやりますよ」
おちゃらけて言った俺を見て、哀れむよりも依頼した事を後悔したような顔をしていた。
気を取り直したのか地図を出す。
「一応、ダンジョン地図です。ここ30年、変化はありません」
「わかりました。我々の要望通り、ダンジョンに誰もいませんね?」
「なんか意味深ですね、誰もいませんよ」
「よかった。巻き込まれて死んだ冒険者がいても俺達は責任は負えないです、よろしいですね」
「ハイ」
「なら、この契約書にサイン。お願いします」
「は?」
「サインが無ければ入りません。協会会長と紅葉さんからも了解はもらってます」
渋々、出雲支部長と受付課の課長が判子を押す。
「あざっす!!!」




