表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/94

ムラセさんと男達の間に入って警察官が双方の話を聞く、おまけに駐車禁止エリアに車を止めたせいか男達がその事でも警察官に文句を言われていた。


騒ぎが大きくなり車を取り囲むように人集りが出来る、すると近所のおばちゃん達がムラセさんに声をかける。


「ちょっと、怪我無い?」

「何なのこいつら、勝手に突っ掛かって来てさ」

「あんな暴力的だし」

「お巡りさん、こいつら女の子に手を上げようとしたんですよ。逮捕してちょうだい」


近所のおばちゃん達に警察官達が訴えられて少し尻込みしていた。


「あ、あの、その辺のお話をご本人に聞きたいんですが」


警察官もおばちゃん達の圧には勝てないようで、ムラセさんに話を聞くのにもかなり苦労していた。


「すみません、彼らが言ってる事と貴女が話された事の精査がしたいです」


そう言ってようやくムラセさんにたどりつく。


「私は良いですよ」

「経緯と言うか、何で貴女はここで何をしていました?」


ムラセさんが俺の腕を掴む。


「彼と稽古の後で、ここで話をしてたの」


「何の話を?」

「え、彼が自分の彼女が来るのを待っていたから、からかってたの」


警察官の顔が少しひきつる、そこに近所のおばちゃん達が加勢する。

「あの、わかりました。それで突然車が来たんですね」

「そうよ。私、お店の前で準備してる時に、ちょっとぶつけられて、それで警察に連絡したんだから」


「え、じゃあ。貴女がタムラさん?

おい、応援。応援寄越して!! それから救急車だ。急げ!!」


それによりさらに混乱が広がる。


その日、警察に俺達も呼ばれたが龍善寺が絡んでいたことも会って協会弁護士が警察署に駆けつけてくれた。俺の話の時は弁護士立ち合いでの話し合いとなる、そこで弁護士から龍善寺に関する内容を全て伝えた。


次の日は冒険者協会に呼ばれて弁護士との話し合いが行われる。そこで弁護士から龍善寺グループと龍善寺 信吉、それぞれに抗議分と損害賠償請求とを送る事で話がまとまった。


以前、俺と親戚連中の話し合いで2度と俺とは会わない事を約束、龍善寺本人、及び親戚一同が俺に一切近付かない事、今後何が起きてもお互いの利用、使用、求めたりしない。また、それを思い起こさせる行為、文章及び人を返してそれを求める事をしない事を約束した事等を含め、抗議と損害賠償を請求した。


一定の評価が出来ると認められる内容でない場合は裁判をおこす事を明記してある。


龍善寺グループは変わらずに経営危機を迎えている。そこに裁判等の費用を捻出する事すら厳しい、それを承知で出した損害賠償請求だ。


数週間後に龍善寺グループの弁護士から返答が来た。それは俺に直接ではなく協会弁護士の元にだ。


内容として、見ず知らずの人にぶつかったドライバーの解雇。


誤解を招いた事に対する謝罪。


損害賠償に応じられない事に関する旨の文書だった。


するとその日のうちに協会弁護士より裁判所に損害賠償請求に関する裁判を起こすと相手弁護士に返答する。


そんなやり取りの中、龍善寺 信吉に対する出資法違反、詐欺行為に関する容疑等で民間団体が告発したとニュースになった。


まあ、変な事にこれ以上巻き込まれない事を望むよ、弁護士からそんな連絡をもらった日の夜に東京のドーム近くの駐車場でさおりの到着を待つ。


学校の友だちと4人でアイドルのコンサートに来ていたさおりから、迎えに来てほしいと頼まれていた為だ。


興奮さめやらぬさおり達4人を乗せて1人1人家まで送り届けてから帰る。


「お腹すいたー。なんか食べたい」


さおりが助手席で騒ぎ続ける中、やっとの思いで家について車からおりる。


すると家の前に知らない女が立っていた。

「見つけた。お前がニ前 宏だな」


そう言うと包丁なような刃物で俺に斬りかかる。


俺の体は、常時発動スキルの魔力鎧と金剛体に守られている。刃物も通さない魔力鎧に女の持つ刃物が弾かれた。


「ふ、ふざけるなよぉ。私も冒険者だ! てめぇになんて負けねぇ」


隠し持っていた刀を出し俺に斬りかかる。


俺達冒険者が一般人と揉めた場合は原則一切手を出さない。理由は俺達冒険者が素手で車を潰せる位強いと勝手に思われているからだ。


だが、相手が冒険者同士なら話は別。ここまで来たら正当防衛に当たる。が、それでも手出しはしなかった。それはこの女が嘘をついている可能性があったからだ、よしんば本当に冒険者だとしても一次覚醒したばかりのレベルだ。


一般人と何も変わらない。


そんな奴に手を出すこと自体が危険だ。以前、研修の時に来たアイドルのルミちゃんに威嚇を放った時だ。


圧力としては相当に落として手加減したつもりでも、気を失い失禁したほどだ。適当にあしらって逮捕してもらった方が俺としては有難い位だ。


さおりが協会に入り応援を呼んでくれ、警察に連絡をしてくれたようだ。そのタイミングで俺と対峙していた女がその場にしゃがみ込む。


そこにやって来たのは白石さんだ。


「コウ、お前さんは何かと話題に事欠かないな。龍善寺の一件が終わったらこれか?」


「白石さん、俺一度お祓いでもしてもらった方が良いですかね」

「否定しないよ、お前さんはトラブルに愛されているからな。


まあ、私としては暇しなくて有難いよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ