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やはり俺がボスを倒したわけでは無かった為か魂の抽出が出来なかった。でもこればかりは仕方ない、いつものようにコングエイプが魔石を集めてくれる。


するとそこに冒険者の防具や折れた剣のような武器があった。


「武器や防具があったら、全部集めてくれ。それが終わったら一旦ダンジョンを出る」


するとキリーが見つけた防具を持ってきた。


「っつ!」


それはつい1~2週間程前にこのSランクダンジョンですれ違った、冒険者の1人が着けていたものだ。


5人のパーティーでそれこそ強そうな、ベテラン冒険者だったはずだ。あらかた、防具や武器を回収した後でダンジョンを出る。


朝一でダンジョンに入ったがもうお昼前だった。ダンジョンの前で待機していた職員に防具を預け、以前にすれ違った冒険者の物で間違い無いことを報告。


職員も改めて調べ直し、ダンジョンに入って戻っていない冒険者の物と一致した。

さおりと2人で倒したモンスターの魔石を卸す、さおりは倒した時に獲た鰐亀の大甲羅と呼ばれる物も卸していた。


サナエさんが甲羅を見て絶句している。

「サナエさん、この大甲羅って珍しいの?」


「これをどこで?」


「Sランクダンジョンでモンスターハウスに飛ばされた時に倒したの」


「さおりさんが倒したの?」


サナエさんの顔が強ばる。

「そう、残りのほとんどはコウ君が倒してくれたけど」


「そうですか。無理させてごめんね」


この大甲羅は通常の日本鰐亀の魔石、30個分の価格らしい。

「え? なら、コウ君と変わらない位の売上になるんだ」


「その位、恐ろしく強いモンスターですから」


その後、さおりが買った刀をサナエさんに見せて説明しはじめる、余りに切れ味が良すぎて驚いたようだ。


サナエさんが刀を手に取り刀身を見てうっとりとしている。

「なる程、刀自体にそのような効果があるとは知りませんでした」


「でしょ。私も最初に見た時驚いたもん、あんな刃の無い刀でモンスターを斬る所。


でも鍛冶士の人がそれが正しい使い方だって知ってて、私もコウ君に特訓してもらってやっと認めてくれたの」


「私も正直にダンジョン鉱石にモンスターの魔石を合わせると言う事も知りませんでした。

そうしないと刃が付かないんてすね」


「サナエさんも知らなかったんだ。でも驚いていたな、コウ君が出した魔石が凄くレア魔石らしくて」


フムフムと頷きながらメモを取り続けるサナエさん。


「その魔石は何の魔石か聞きましたか?」


「シルバーウルフの特殊固体だったみたい。魔石自体が綺麗で濁りもなくって、丸々1個使えるって鍛冶士の人も喜んでいたの」


「もしかしたらですよ。もしかしたらダンジョン鉱石に合わせる魔石で切れ味が変わったりなんて事は無いですよね?」


「さあ、そこまでは鍛冶士の人も何も言って無かったから」


「さおりさん。もしかしたら大発見したかもしれません。

私、鍛冶購買部に連絡して過去のデータも調べて見ます。もしかしたら、魔石の買い取り価格自体が変化するかもしれません」


その後、サナエさんの執念か、過去に名刀と言われた刀の材料となる魔石はどれも濁りの無い凄く綺麗で貴重な魔石ばかりだった事が判明した。


その後、協会会長の柴田 円俊の命令で、普通に取れる魔石と、柴田 円俊がコレクションで持っていた日本噛みつき亀のレア魔石と其々を使い、同じ鍛冶士が刀を打った。


その後の試し斬りをした柴田 円俊が刀の余りの出来の違いに驚いていたらしい。それからだ、刀を打つに当たり大切なのは魔石だ。そう全国に広がった。


そして俺とさおり、サナエさんが日本冒険者協会から冒険者の発展に寄与したとして表彰を受けた。


しかし、それであんな事になるとは俺達も思わなかった。その日は、何時ものように午前中にSランクダンジョンに入り、仲間に出来そうなモンスターを探して、午後から道場で鍛練をする。


そう言う何時も通りの日だった。


道場を出て外でさおりが来るのを待つ、そこに格闘術の師範代のムラセさんが来た。


「コウ、さおりを待ってるの?」

「ハイ」


「なんか妬けるねぇ。たまにはお姉さんと遊ばんか? 大人の魅力をたっぷりと教えてやるぞ」


「キャァ!!」キキッキュ! ザザ!

叫び声とともに俺の目の前に車が突然と止まった。


「お待たせいたしました。コウ様。お迎えに上がりました」


降りて来たのは40代位の屈強な男2人だ。


「あんたら誰だ?」

「我々は龍善寺グループ会長 龍善寺 信吉の使いの者です。

この度、物凄い功績を上げたコウ様のお祝いを準備していると言付かっております」


「いらん、帰ってくれ。そもそも龍善寺 信吉と言う奴も知らん。知らん奴に何を祝ってもらう必要がある」


俺の言葉に苛立ちを覚えたようだ、男2人が俺の前にくる。


するとムラセさんが俺をかばうように立つ。

「ちょっと、うちの道場生に何の用があるの?」


男2人は体もでかくかなり屈強だ。対するムラセさんはそこまでは体格には恵まれてはいない。


「どけ、冒険者が一般人に手を上げるのはかなり不利になるぞ」

脅しのつもりだろう。男達がムラセさんを威嚇して睨んでいる。


「悪いね、私も一般人だ。

それもか弱い女だ。あんたらに押されるだけで骨折れるかもね」


それから数分後、複数の警察官が駆けつけて来た。


「何をしてる!!」

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