◇
「ありがとう。最高の刀だ」
「いや、ダンジョン鉱石の武器の使い方がわかってるようで良かったよ」
「魔力の循環の事か?」
「ああ、最近は扱い方を知らずに武器を買ったりする奴が多い、そんなんじゃ武器が可哀想だ」
武器を買い、家に戻って次の予定を考える。やはり諏訪のダンジョンで出会ったあの鬼がしらは仲間に欲しい。どうしても欲しい、そう思ってしまう。
どうしたものか。うだうだと考えても仕方ない、そう脳筋の俺に他の結論は無い。やっぱり欲しいものは欲しい、翌日の朝早くに家を出てダンジョンに向かう事にする。
朝、車に荷物を積んでいると学校に行くさおりに会う。
「おはよう。学校?」
「うん。まだ行かないけどね、時間早いし。コウ君は、体はもう良いの?」
「ああ。問題無い」
「どっかに行くの?」
「うん、諏訪。もう一度あの鬼のダンジョンに行ってくる」
「そっか。
あのさ、帰って来たら教えて。話したい事があるの」
「わかった。どのみち土曜日は道場の日だ、どんなに遅くても土曜日には帰る」
「わかった」
さおりと別れ、朝の渋滞に巻き込まれないように家を出て高速に乗る。今日は高速を降りずに諏訪市に向かう予定だ、途中で何度かSAやPAによって休憩をとってダンジョンに来た。
今日は普段の平日だということもあり、やはり人がまばらだ。ダンジョンに入ると気配遮断スキルを使い気配を消して索敵を使う、極力モンスターに会わないように移動して鬼の階層まで来る。
入り口のお地蔵様に手を合わせてから入る。
ダンジョン地図を開き、隅々まで探すが会うのは普通の鬼ばかりで鬼がしらに会うことがなくボス部屋まで来てしまった。
ここのボスは大鎧熊。魔法が使えないと勝ち目が無い、そう噂されるモンスター。仕方がない今日の収穫だ。そう思いボス部屋に入ると部屋には大鎧熊が1匹で寝そべっていた。
新しく作った刀を出す、大鎧熊は俺をチラッと横目に見てまた寝始める、どうやら敵とは思っていないらしいがなんともありがたい事だ。
大鎧熊の目の前まで来て魔法を放つ。
「大火炎槍」「大火炎槍」「大火炎槍」「大火炎槍」
寝ている大鎧熊に容赦なく炎魔法を放つ。突然魔法を放たれて体が燃え上がる大鎧熊が立ち上がる。
でかいぞ。ロック(エイプ系のボス)ですら4mは行かないはず、こいつはもっとでかい。1度倒したらメジャー持ってきて高さを全員測ろうかな。
顔を中心に炎に焼かれている大鎧熊の脇にはいり、刀を振り上げて右腕を斬り落とし両足の付け根を狙い刀を刺し込む。
すると立っていられなくなった大鎧熊がばたりと倒れた、その重たい体重を支えられずに頭が地面に落ちた所を狙い刀を振り下ろす。
魔力を帯びて刀が虹色に輝くと大鎧熊の鎧もバターを斬るようにスパッと斬れてしまう。
刀の余りの斬れ味の良さに驚くと同時に、魔法を使わないで刀だけで良かった気もしてきた。
頭にいつも機械音が流れすぐにネクロマンサーにジョブを変更する。
"単独でボスを倒し、また討伐時間が10分かかっていません。
特別ボーナスが加算されます。ボス討伐の経験値は入りませんがレベルが500上がる事になります"
名前 二前 宏
職業 ネクロマンサー Lv4200
HP98030
MP97390
上級職 レベルMAX 10000 リターン(Lv3000)
聖騎士 Lv5512
バトルキング Lv3000
ネクロマンサー Lv4200
任意発動スキル 補助
【隠匿スキルLv5 生命察知Lv5 魔力察知Lv5 気配遮断Lv5】
任意発動スキル 戦闘
【剣術Lv5 格闘術Lv5 体術Lv5 索敵Lv5 縮地Lv5 魔力強化Lv5 金剛力 覇王の威嚇Lv5】
任意発動スキル その他
【金剛力 インベントリ】
常時発動スキル 補助
【必要経験値-50% 獲得経験値+50% 記憶力アップ 運気アップ 精神強化Lv5】
常時発動スキル その他
【魔力鎧Lv5 金剛体 神目 魔力循環Lv5 覇王の目覚めLv5 常闇の寝床】
聖騎士の時のみ、魔法が発動。
【魔法スキル 火炎魔法Lv5 大風魔法Lv5 水氷魔法Lv5 回復魔法Lv5 解毒魔法Lv5 解呪魔法Lv5】
ネクロマンサーの時発動
【魂の抽出 闇王の命令 闇魔法 死霊操作術】
いつものように頭に流れる機械音に従い魂の抽出を行う。
「これからは俺の忠実な配下だ。出ろ!!」
だが反応がない。
少しイラつきながらも、もう一度試す。
「おい!! いつまで無視してるつもりだ? 出ろ!!」
すると頭に機械音が流れる。
"闇王の命令が発動、強制的に倒した全ての者を呼び出します"
闇王の命令のためか大鎧熊が常闇の寝床から出てくる。
「お前はこれから俺の忠実な僕だ」
大鎧熊がうなずく。
何故かこれで終わってしまう。大鎧熊は名前はいらないようだ。
一応、ステイタスボードで確認するとロックとキリーはAランク。大鎧熊はBランク。シルバーエイプはCランクらしい。
つまり名前が付くのがAランクからと言う事らしい。でも、もっとステイタスボードの説明が分かり易いと良いな。
だって。
常闇の寝床⇒モンスターのいる場所。
魂の抽出⇒躾。
闇王の命令⇒絶対の言葉。
闇魔法⇒説明無し。
死霊操作術⇒躾けたモンスターの調教。
だけだよ。どうやって理解したら良いの? 自慢じゃ無いが学校の成績で良かったのは無遅刻無欠席だけだ(成績じゃないけど)。
後は人並み、いわゆる平均的なんだよ。ん? 待てよ。と言う事は俺だと理解できないと、そう踏んでの事か?
説明してもどうせ理解できない・・・と。
◇◇◇◇◇
普段、頂いたコメントに返事をしないのでこちらで。
何時も有難うございます。
新真大社流に付いて、この名前を考える際に様々な武術等の流派の名前を参考にさせて頂きました。




