◇
俺がじぃさんの攻撃をかわし、じぃさんの手首を両手で抑え無刀取りを決める。刀が宙を舞うのに合わせてじぃさんの突きが俺の左頬をクリーンヒットする。
正直何が起きたか全く分からなかった。
無刀取りを決めたはずだったにも関わらず、俺は殴られた。その衝撃の凄さに身震いしてしまう、くらくらとする頭を押さえて目を開ける。すると俺の目の前に冒険者の女と一般人の男がいた。
共に40半ばだろうか? 女はSランクに匹敵する強さを持ち、男は完全に戦闘が出来ない一般人だ。はっ、じぃさんに殺られて無ければ生きて帰る自信はあった。だが今の俺じゃあ、この女の攻撃はかわせない。
ふう。これまでの人生か。
まあ、最後の対戦がじぃさんで良かった、あんな物凄い技術が見られただけで満足だ。そう思うと思わずニヤついてしまう。
「無常がかわされた」
誰かの声が聞こえて、俺の意識がそこで途切れる。
気を失うという体験を初めてしたが、それは余りにも気持ちが良く天国にも登るほどの心地よさだった。
出来るならこのまま目を覚ましたく無かった。が、横たわった状態で目を覚ます。現実に引き戻される辛さはやっぱり辛いものがある。
俺の横に、さおり、タチバナさんとムラセさんが座り。反対側に鉄斎のじぃさんと、あの40半ばの2人が座っていた。
「なんだ、やっと天国に行けたと思ったら、地獄に舞い戻ったのか。
本当、しけた人生だよ」
目が覚めて最初に出た言葉がこれだった。
すると無刀取りの師範代、ムラセさんが大爆笑する。
「コウ。私は君が本当に気に入った」
そう言うと俺の腹をバンバンと叩きながら大爆笑する。
そんな中で俺の頭の中に機械音の声が響く。
"覇王の目覚めを習得、常時発動します。
日丘 鉄斎が敗けを認めました。
レベルアップします"
何を言ってんだ? 鉄斎のじぃさんが敗けを認めた?
まあ、それは良い。だがレベルアップってなんの事だ? 俺はモンスターを倒した訳じゃ無いぞ。
そう思った矢先、体全体が激しい痛みに襲われる。
それは体の全てを引き裂かれ、ねじ斬られ、ズタズタにされるかの如く激しい痛みだ。
余りの激しい痛みに意識を無くしていくが、そんな状態にも関わらずレベルアップの嵐が巻き起こる。
"レベルアップします"
"レベルアップします"
"レベルアップします"
"レベルアップします"
・・・・
・・・・
・・・・
"ジョブ切り替えして下さい。現在のジョブはレベルMAXです"
"ジョブ切り替えして下さい。現在のジョブはレベルMAXです"
"ジョブ切り替えして下さい。現在のジョブはレベルMAXです"
"ジョブ切り替えして下さい。現在のジョブはレベルMAXです"
う、うるせえ。
そこで完全に意識を失う。
常に頭の中で機械音が鳴り続け、勝手にスキルボードが出現してなにやら動き続けている。その状況はうる覚えの状態で覚えていた。
名前 二前 宏
職業 聖騎士 Lv5012
HP105080
MP102001
上級職 レベルMAX 10000 リターン(Lv3000)
聖騎士(騎士、マジックマスター)から派生
バトルキング(格闘家、アサシン)から派生
ネクロマンサー(アサシン、斥候)から派生
任意発動スキル 補助
【隠匿スキルLv5 生命察知Lv5 魔力察知Lv5 気配遮断Lv5】
任意発動スキル 戦闘
【剣術Lv5 格闘術Lv5 体術Lv5 索敵Lv5 縮地Lv5 魔力強化Lv5 覇王の威嚇Lv5】
任意発動スキル その他
【金剛力 インベントリ 】
常時発動スキル 補助
【必要経験値-50% 獲得経験値+50% 記憶力アップ 運気アップ 精神強化Lv5】
常時発動スキル その他
【魔力鎧Lv5 金剛体 神目 魔力循環Lv5 覇王の目覚めLv5 常闇の寝床】
聖騎士の時のみ魔法が発動。
【魔法スキル 火炎魔法Lv5 大風魔法Lv5 水氷魔法Lv5 回復魔法Lv5 解毒魔法Lv5 解呪魔法Lv5】
ネクロマンサーの時発動
【魂の抽出 闇王の命令 闇魔法 死霊操作術】
全てを見た記憶すらなくまた深い闇に落ちる。




