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タイトル未定2025/09/29 13:05

翌日、朝一で協会職員から声をかけられた。


レアモンスターが出た事もあり、ダンジョンの内部を検査したいと言う事で俺達に付き添いの依頼が来た。以前、群馬県のAランクダンジョンに入った時の情報もしっかりとチェックされていたようだ。


協会の車に乗りダンジョンに来る。今日も沢山の冒険者が来ており駐車場が一杯だ。だが協会の車はダンジョンの入口近くまで来て、指定駐車場の中に車を停める。


これは流石にずるいな。ダンジョン入口のすぐ近くだよ。俺達、昨日は徒歩で10分も離れた場所に停めたのに。


ダンジョンの中は冒険者で溢れていた。もしかしたら今日がピークなのかも知れない、そう思う程だ。協会職員を先頭にダンジョンに入り、鬼の階層に入ると職員がお地蔵様に手を合わせた。


やっぱり沢山の冒険者が亡くなったんだろうな、そう思うと少し心が痛い。


昨日、鬼がしらにあった場所まで移動。


今日はほぼ鬼と接する事がなくダンジョンの中を進む、地図でこの階層をチェックしながら隅々まで行く。それから階層を変えて他の階層まで確認するが通常営業のようだ。


ダンジョンを出て協会で報告を終えてさおりと一緒に松本市に来た。もう、絶対に観光がメインだ。本当、ダンジョンに入ってる時間より観光している時間の方が長い気がする。


「ここが松本城が。凄いな」


俺が感心しきっていると、さおりが俺の前に立つ。


「コウ君。コウ君のスキルについては理解しているつもりだけど、もう少し教えてくれないかな」


な、何を? さおりの真剣な顔を見るとちょっと怖い。


「あの、新人狩りを縛ったロープ出した時、ポーターバッグから出しているように見せていたけど、あれ、絶対にインベントリでしょ」


あ、あれ? ちゃんと隠したはずなのに。


「ほら、顔色が変わった。ロープなんかあのポーターバッグに入って無かったもん。それで直ぐにわかった。

それとコウ君と一緒に入ると高確率でレアモンスターに当たるよね。あんなの冒険者をやってて一回当たれば珍しいって言われる位の出来事よ。


それもコウ君のスキルだよね」


あ、あれ。完全にばれてる。

「あ、あの~。その話は帰ってからにしない?」


「なぜ?」

さおりの顔が怖い。


「家に帰った後で色々と教えるよ、ここじゃ色々と話すのが問題だろう」

「やっぱり!! 何を隠してるの?」


さおりがさらに怖い顔をする。


「おれも、言える事と言えない事があるの、それに全てを知ると多分引くぞ。

俺の能力を知ってるのは協会会長の柴田 円俊と留萌さんだけだ。インベントリについては日丘さんだけが知ってる」


「え?」

「留萌さんからも聞いたろ。成長スキルは時に命を狙われるって」


「わかった。何があっても聞いた内容は誰にも言わない。例えコウ君と別れても秘密にするから」


・・・なにぃ? 俺達いつの間にお付き合いが始まったのよ? 


「あ、あのさ。

俺達はいつからお付き合いし始めたのでしょうか?」


「へ?」

あ、さおりが固まった。


「も、もう。付き合ってるようなもんでしょう。だから今、今からコウ君は私の彼氏。それで決定」

「は? 俺の意思は関係無いのか?」

「うん、無い。必要ない。

良いの。私が良いと言ったんだから問題無い」


諏訪市でのダンジョン活動を終えて帰る日に、色々とお世話になった受付の方に「二人とも活動拠点を諏訪にしない」とお誘いを受けた。


そして長野から帰る途中でさおりが慌て出す。


「やば!! やばいよ。コウ君どうしよう?」

「何がどうしたの?」

「お父さんが日本に帰って来てる。何でさおりがおじいちゃんの所にもいないのかって怒って、連絡来た」

「はぁ? なあ、さおりのお母さんは?」


「それがゴメンって先に連絡きてた」

「最悪じゃん。俺、完全に巻き込まれた系だな」

「それ、言い方酷くない?」


帰るが億劫になるのをこらえながら取りあえず高速に入る。


「で、何処に向かえば良いんだ?」

「実家。 あ、道場で大丈夫」

「道場って駐車場あったっけ?」

「有るよ」

「何かお土産買っていくか」

「そ、そうだね。ひ、必要だよね」


道場に付く時にはすでに辺りが暗くなっていた、その中で物凄く緊張した状態で道場に入る。そんな俺達を向かい入れてくれたのはタチバナさんだ。

剣術の師範代。その所作は隙がなく常にピンと張り付いた緊張感がある。


「コウ。稽古着に着替えて下さい。先生が道場でお待ちです」


鉄斎のじぃさんが呼んでいる、これは100%不味い事だ、良く分からないが俺の本能がそう言っている。そう、恥じる事はない今すぐ逃げろ。


生きてこそなんぼだ、と。


そうオレに訴える。そうなると俺も覚悟を決めないと行けない。そう、だって俺はなにも悪くない、生きて帰る。


緊張感を持って道場に入ると、鉄斎のじぃさんが刀を腰にさし正座して瞑想をしている。その姿はあまりに神々しいく、1つの完成形を表した姿だ。

その瞬間だ、思わず後ろに飛びのく、その反動で後ろに頭から床に落ちてしまう。


ゴン!!「っう!」


俺が倒れると同時に俺の体の上を鉄斎のじぃさんが放った刀が通りすぎる。


「貴様、まさか見抜いたのか?」

鉄斎のじぃさんが呟く。

とっさに体を起こし道場の端まで飛ぶと、武道家にジョブを変して格闘術と体術、索敵を発動。


全神経を集中させてじぃさんを見る。100%じぃさんの動きを見失わないように、全身をアンテナのように張り巡らせる。


するとじぃさんの体が急に空気に溶けた気がした。慌てて高く飛び反対側の壁まで飛ぶ、勢いがあまり壁に顔面を強打して立ち止まった。


「ブっ はぁ」


壁に顔面からぶつかり鼻血が垂れる。じぃさんを見るも、全てが霞んで見える。どうやら頭を強打したらしい最悪な状態だ。


見えないならと目をつむる。口で呼吸をしつつ音を押さえる。神経の全てを、音を、気配を、熱を、空気の揺らぎを感じろ!


俺の鼻血が落ちた。正直それどころではない。


その鼻血を斬るようにじぃさんの刀が真上から振り下ろされる。刀の内側にしゃがみ込むように体を滑らせて、じぃさんの手首を両手で抑え無刀取りを決めると刀が宙を舞う。

その時じぃさんの突きが俺の左頬をクリーンヒットする。


「ぐぁあ」


顔面を強打され道場の壁まで吹き飛び、壁に頭を打ち倒れてしまう。

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