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しかし、車を使うと移動距離が増えるな。
車を買ってから、週2~3回はまともに休んで何処かに遊びに行く日ができた。まあ、免許取りたてで運転が楽しいっていうのも有るけど。
今日は何故かさおりとサナエさんが乗っている。朝起きて今日の予定を立てていたら突然2人が来た。
さおりのお願いは決まって学校か友だちとの待ち合わせ場所に乗せていけ! それだけだ。
だから開口一番言い放ってやったさ。
「断る」
「ちょっと! まだ何も言ってないでしょう」
「お前が来る時は学校か待ち合わせだろ。俺をこき使って楽しいか? いい加減にしろよ」
「ちょっと待ってよ。今日はサナエさんも一緒なの。
群馬に有るAランクダンジョンに用事があるんだけど、あそこ電車とか無いから乗せてって欲しいんだ。お願い」
「やっぱり。人の事を足かなんかだと思ってるだろう、いい加減にしろ」
「コウさん。おはようございます、無理を承知でお願いしたくて来ました。
ガソリン代や高速代、ホテル代なんかは協会で持ちますので、お願い出来ませんか?」
「はぁ、サナエさんまで?」
「すみません。本来なら、協会の車を使う予定だったのですが、今朝予定していた車両が事故で使えなくなってしまいまして」
「その前に質問。サナエさんって冒険者ですか? ダンジョンに入る資格はありますか?」
「大丈夫です。私も冒険者です。
二次覚醒しなかったのでサポート側にまわってます、冒険者レベルは40です」
「さいですか」
駄目だったな。冒険者以外ならそれを理由に断ろうと思ったのに。でも、なんだろうな。
どうせお人好しの俺の事だ、OKするんだろうな。
そんな風に思っていると2人揃い頭を下げる。
こんなに懇願されると嫌だとは言えない性格だもんな、本当に俺ってお人好しだよ。結局OKしちゃったよ、ハァ(泣)。
と、言う事で群馬に有るAランクダンジョンに向かう。ダンジョンがあるのは妙義山と碓氷峠の間に有る林道のような道路を通り入って行く必要がある。
元は防空壕とか鉱山の跡地だった場所らしく、気が付くのが遅れたせいでスタンピードが発生した経緯も有る。その為Aランク冒険者と協会職員が定期的にダンジョンを見て回っているらしい。
まあ、ランクの低い俺には関係無いけどさ。
今回の担当がさおりとサナエさんだったと言う事だ、朝から車を運転して3時間半かかりダンジョンの入り口に着く。
林道のような場所はお店も宿も何もなかったが、ダンジョンの前には何故か出店があり、それなりに賑わっていた。
まあ、Aランクダンジョンに入る位だ、それなりのパーティーやらクランなんかが来てるのだろうけど。Aランクダンジョンの入り口に来ると色んな奴らから見られた。まぁな、さおりとサナエさんが一緒だ。絶対にハーレムパーティーだと思われてる気がする。
ダンジョンに入る前にサナエさんが協会職員の証である腕章を付ける、すると何人かの冒険者がサナエさんの前に来た。
「今日は定期視察の日か?」
「そうです。皆様の活動の邪魔をするつもりはありません」
「何処まで入る?」
「今回の予定は3階層~5階層までです。
先月の視察の際に、レアモンスターの出現の噂を聞きました。あれから報告がありませんので問題無いと思いますがその為の視察です」
「確かにレアモンスターの話は聞いていないな。何か分かったら直ぐに教えてもらえるんだろう」
「各協会の支店を通じて報告が上がります。それを参考にしてもらえると助かります」
「ふん、よそ者か」
よそ者とは協会職員に対する差別用語だ。地元の協会職員ではなく、協会本部に近い職員を派遣して業務に当たらせるのを、その地域に根付いた活動をする冒険者達は気に入らないらしい。それで協会本部に近い職員をよそ者と言って嫌っている。
俺は今回初めてAランクダンジョンに入る。
周りの奴らの目も気になるがそれは無視してダンジョンを進む事にした。
我々がAランクダンジョンに入ると後を数名の冒険者達が付けて来る、付かず離れずと言った感じだろうか。
サナエさんの持ってきたダンジョン地図と、斥候にジョブを切り換えした俺の能力を使いモンスターと極力会わないように進み、ダンジョンを進む。
後ろからヒソヒソと声が聞こえる。
「どっちかが斥候だな。これ程モンスターに会わないように進むなんて、たいした奴だ」
「仕方ないだろう。見た感じあの協会職員は一般人だ。モンスターに毎度会ってたらその内死ぬぞ」
「確かにな。その為の人選なんだろうな」
とやけに感心されていた。
「さおり、前から2匹来るぞ、この階層だと馬頭鬼か牛頭鬼のどちらかだ」
通常の牛と馬は四つ足だ、だがこのダンジョンの馬頭鬼の牛頭鬼は2本足で立って歩く。手足は蹄のままで2足歩行をする姿は少しカンガルーが立つ姿に似ている気がする。
前から接近してきたのは牛頭鬼だったが全体に体が黒光りしている。
角は短めだ。
すると後から叫び声が聞こえてきた。
「おい、逃げろ。ブラックミノだ。レアモンスターだぞ」
その声を聞きさおりが前に出て構え、俺がサナエさんを守るように前に立つ。俺もとっさにジョブを騎士に変更して金剛力を発動するとさおりも剣鬼姫のスキルを発動したようだ。
「ブモーーーーー」
1匹が雄叫びをあげる、すると1匹が姿を消したように見える。
前に立つ1匹の後ろで四つん這いになり、姿勢を低く突進する準備を始めている。
「さおり、前は俺がやる。後ろは姿勢を低くして突進するつもりだ」
「了解」
さおりの返事を聞いて縮地を発動。手前の牛頭鬼の右前足を斬る。
すると後ろにいて構えていたもう1匹が俺をめがけ突進を始めるがそこにさおりが合わせる、突進するその体を真っ二つに斬る。何度見てもえげつない光景だ。
さおりの奴、レベル5000を軽く越えてるかも知れない。咄嗟にそう感じてしまった。それからまだ生きているもう1匹の牛頭鬼の止めを刺す。
すると野次馬の声が聞こえて来た。
「おい、あいつら凄くねえか?」
「ああ、さっきのレアモンスターじゃあAランクの下位のパーティーだと全滅だぞ」
「何がおきてるんだ」
「いや、さっぱりわからねぇ」




