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取りあえず、留萌さんのお陰で窮地を脱した俺はばあちゃんの所に来た。


「ばあちゃん。お昼食べた?」

「あ、コウちゃん。良く来たね、お昼はこれから食べる所だよ」


「なら、一緒に食べようかな。近所のスーパーで惣菜買ってきたんだ」

「そう、ならパックご飯をチンしようか」

いつものように管理人室に入りばあちゃんと2人でご飯を食べる。


「ばあちゃん、セキュリティの工事終わった?」

「今ね、最後の調整中。

住んでる人みんなに説明して使い方を覚えてもらってる所だよ。後ね、朝昼晩と警察の人が必ず顔を出してくれる事になったのよ」


「そう。それは安心だ」

「フフ、じつはコウちゃんの同級生らしい人が担当らしくてね。

凄く熱心に見回りしてくれるのよ。冒険者の人も子供さんいたりするからさ、横断歩道とか良く見てくれて助かってるよ」


夕方までゆっくりとしてから家に帰る事になり、途中で良く行くラーメン屋に来て行列に並ぶ事にした。すると目の前に白石さんがいるのに気付いた。


「白石さん?」

「え? コ、コウか。脅かすな」

「今日は1人ですか?

「わ、私がラーメン屋にくるのがそんなに不思議か?」

「いえ、もし1人ならご一緒しないかと思いまして」

「へ? 私とか?」

「はい、駄目ですかね?」

「いや、嫌いじゃないけど」

「ありがとうございます」

「それよりも、私なんかと一緒で良いのか?

最近、若い女の子と良く歩いているらしいじゃないか?」


誰だ、若い女の子って?


「なんだ、ピンと来て無い顔だな」

「すみません、良くわかって無いですね」

「フフ、相変わらずだな」


話しをしながら待っていると順番がきて揃って椅子に座る。


「コウ?

誰よ、この綺麗な女性は。あ! おま、彼女出来たのか? この裏切り者」

そう言うと包丁を持つ素振りをする。


「なに言ってるんですか?」

「なんだ、こんな綺麗な彼女連れてきて、俺に対する嫌味かぁ?」

「店長。そんなことよりラーメンお願いしますね」

「ふん!」


俺を見て嫌そうな顔をするが白石さんには優しい顔で対応していた。


「店長、私はコウの学校の先輩です。付き合っているわけじゃないですよ、私と付き合ってるなんて言うとコウが可哀想ですよ」


店長が俺を見て少し驚いた顔をしていた。

ラーメン屋を出る時に店長から写真を取ろうと言われて、店長を挟んで3人で撮影してお店を出る。


「変わった店長さんだね」

「はは、いい人です。

ここに来てから、なかなか他の店に行かなくなってしまいました」


「お!! みっけ。なんだ、今日は男連れだぞ」


白石さんが突然俺の前に立つ。

「すまない、変な事に巻き込んでしまったようだ」


前にいたのはカメラ等をいくつも持った男2人だ。何をしてんだ?


「今日はデートですかぁ?」

「一緒の男は警察官ですかぁ?」

「今日は非番でしたかぁ? あ、それで男とデート。鬼の白石も女だねぇ、あ。てことはそっちの男は鬼男だ。アハハハハ」

「おい、この男もずっと女の後ろにいるぞ。だっさぁ。ハハハハ」


「白石さん?」

「気にするな、こいつら所謂迷惑系だ。

元々冒険者でな、警察の対応が気に入らないらしい」

「元冒険者ですか、何で動画配信なんかしてんですか?」

「人によるんだろ。覚醒すると頭も凄く良くなるらしいじゃないか、それをうまく使い一般の会社でも働いている人も多くいる。

要は普通に働く事も出来ない、冒険者をやる度胸も無い連中だよ」


「おい、何を話してる」

撮影をしている2人が、俺達を睨んでいる。


「なあ? どうでも良いけど。恥ずかしくねぇ? 自分達は姿を隠して、何もやってない人をカメラで追い回してさ」


カメラが俺を捉える。

「ハイ、来ました。正義感ある男宣言」

「凄いね、俺達を卑下して自分だけ良い男を演じてるぅ」


俺が呆れたように男を指差す。

「て言うか、ズボンからナイフ見えてるぞ。そんなに怖いならやらなきゃいいんじゃねぇ?」


回りに集まった野次馬が声を上げる。

「おい(笑)、本当だぞ。

あのマイク持ってる男、ナイフがポッケから出てるぞ」

「うわ、最悪。女の人相手にナイフで脅すつもりだったのか?」


ガヤガヤとまわりが騒ぎ始めると、警察官が走ってきた。


「なにやってる?」「またお前らか」

3人の警察官に囲まれるとさらに騒ぎ始める。


警察官に取り押さえられるのを嫌がり俺達の方に逃げて走って来る、その時ナイフを手に持ち襲いかかって来た。

白石さんの前に立ち男の腕を押さえて体を倒して押さえる、普段練習している無刀取りが役に立った。なんとかこの男を怪我させずに押さえる事に成功した。


「危ない!」

ドザッ ガン! ドザッ!

もう1人が俺に向かって来る、それを警察官2人が体当たりして取り押さえた。その時俺の体のすぐ目の前にナイフが来ていてそれを見た人が大騒ぎを始める。


「おい、あいつナイフ持ってるぞ」

「アホじゃねぇ」

「ヤバイよ。本当に人を殺すつもりじゃない」

周りを取り囲む野次馬が大騒ぎし始め、そこに応援で駆けつけた警察官達が対応する。結局この男2人が銃刀所持で現行犯逮捕となる。


「コウ、すまない。

折角、ラーメン屋で楽しい時を過ごしたのに」

「え? ああ。気にしないでください。俺、何かに巻き込まれる体質らしいので」


翌朝一番に俺の部屋にさおりが殴り込んで来た。

「ねえコウ君。この隣にいる綺麗な人は誰?」

「なんだ朝イチから。誰よ? 

って言うか俺、昨日寝る前に部屋に鍵かけたぞ」


時計を見るとまだ朝の6時前だった。そしてさおりの出したスマホの画面にはあの迷惑系が撮影していた動画が配信された画像が出ていた。その商魂たくましさに頭が下がる思いがした。


「さおりに関係無いだろう。俺の学校の先輩だよ、偶々ラーメン屋で会ってラーメンを一緒に食べたの。

大体何でこんな事でお前に怒られ無いといけない? それもこんな朝っぱらから」


「うるさい、学生は朝が早いの。

それより私はご飯誘われたこと無いんだけど?」

「何でお前を誘わないといけないんだよ」

「ふざけんな! なぜこんな可愛い女の子をいつまでも誘わないの?」


その屁理屈に頭を抱えてしまう、どうやって反撃してやろうか考えてピンと来た。

「もう一度聞くけど、お前どうやって家の鍵開けて入って来た?」


さおりが家の鍵を開けて入って来たと言う問いかけに急に大人しくなる。それもそのはずだ、合鍵は作っていない上にナンバーキーと通常の鍵の2重施錠になっている。それを知っているのは俺1人だけだ。

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