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さおりが飯を食べ終えるが一向に部屋に戻ろうとしない。


「ねぇ、コウ君。私の事どう思う?」

「どうって?

良くわからないけど、さおりは良く頑張ってるよ」


「コウ君は何で冒険者やってるの?」

「俺か? 何でって言われてもな」


ちょっと考えて話す。

「俺な、父さんと母さんが14歳の時に海外で旅行中に亡くなったんだよね。

そしたらさ、良くわからないうちに親戚連中に両親の遺産やら、俺の為に残しておいてくれた俺名義の貯金とか全部乗っ取られたのよ。


遺産相続とかさ。俺良く分からなかったんだよね、それで親戚が連れてきた弁護士に言われるままにはんこ押しちゃったの。


でさ、生きていくのに金が必要でしょ。


俺に出来る仕事で食べて行くには、冒険者が手っ取り早かったんだよ。ましてさ、高々15~6の奴の稼ぎなんて決まりきってるだろう。それでも月に20万も稼いでさ、うかれたよ。


所が色々分かると足りないんだよね、税金引かれて、家賃、食品や冒険者としての装備品とかさ、色んな物を引かれてさ」


コーヒーを一飲みする。


「正直にしんどいよ。

さおりも知ってると思うけど、誰も助けてくれないし、優しい声をかけてくる奴のあの悪い笑顔を見ると正直に殺意がわくよ。


最近だよ、やっと何が高く売れるかわかったの。だから今は楽しんでいるよ」


さおりが黙ってしまった。余り本音を言うのはやめた方がいいかもしれない、そう思う。


「どうした?」

「いや、正直息が詰まった。やっぱりしんどいよね」


「だよな。良く分かるよ。俺、正直に5年程まともに活動してないもの」

「え? コウ君も、そんな時期有ったの?」


「有るよ。

金を稼がないと生活出来ないけど、そればっかりに集中すると、気持ちが落ち込んでしまって何もやる気がでなくなっちゃうしさ。


結局さ、自分が何をしたいか、どうなりたいか。それが必要だと思うよ。今の俺は道場の練習も大好きだし、さおりとこんな話し合いができる事も凄く楽しい事かな」


「え? そ、それって。さおりが、すっ、好きなのかな?」


テーブルを片付けていてさおりの話を聞いていなかった。


「うん? なんか言ったか?」

「い、いや」


テーブルを片付けた後、お菓子の袋をテーブルにのせる。

「ゆっくりしていけ。でも酒は出さないからな」

「えー?」


「当たり前だ、お前まだ未成年だぞ。て言うか俺が飲まないから酒は置いてない」

「うそ? あ、あははははは。 知らなかった。コウ君って飲めないの?」


「たぶんな、留萌さん達に二十歳のお祝いで居酒屋に連れて行ってもらった後から一度も飲んでない」

「え? な、何で?

もしかしてお姉ちゃん(日丘さん)に押し倒された?」


「いや、まあそれも有るけど。その日、俺の親戚が部屋に忍び込んで来ちゃってな」

「な、何それ(怒)。有り得ないんだけど!」


「うん、日丘さんと取り押さえて警察に突き出して家の鍵を取り替えたんだけどね。

それからは無いと思っていたけど、引っ越しの時に捕まった親戚が、俺の部屋に何度か忍び込んでたらしいだよ。飲むとそう言う事を忘れてしまいそうでさ、出来るだけ飲まないようにしてる。

それもあってここに引っ越して来た時、俺のわがままで鍵を暗号キーとの複合鍵にしたんだけど」


「だからだ、お父さん滅茶苦茶気にしてた。防犯にこんなに気にする人は初めてだって」


「さおりの事は信頼してる。お前は良くも悪くも真っ直ぐだからな、だけど他の奴をどうしても信頼出来ないんだよね。

さおりと鉄斎のじぃさん。後は協会の会長のじじいとか複数の人だけだよ信頼してるの。一応、さおりは俺の中で信頼出来る人の中の1人だ」


うん、質問に対する返事してないし説明になってない気がするけど上手く誤魔化せた気はする。


「ねえ、コウ君は1人で問題無いの? 寂しく無い? 今日泊まっていこうか? なんかあった時私も戦うよ」

「俺な、物凄く寝相悪いんだよ。だからガキの頃から俺と一緒に寝てくれる奴なんていないんだよ」


「ぶっ。何それ。

アッハハハハハハ。コウ君って寝相すごいんだ?」

「うん、俺も自分で思うよ。だって今でも時々、ベッドから床に落ちてるしな。

子供の時さ、余りに寝相悪すぎて、母ちゃんがコウと一緒はやだ。いっつも蹴られる。そう言われて幼稚園入る前から早々に1人で寝るようにって、母ちゃんに追い出されたんだよ」


「あはは。そっかぁ。 でも、マジウケるんだけど。

私、今日は部屋に帰るよ。そんな酷い寝相の人とは一緒に寝れないしね」


「なんだ、お前 俺と添い寝したかったのか?

押し潰される覚悟が出来たら来い。

言っておくけど、俺寝たら朝までどんな事が起きても目覚めないからな。

本当に、寝たら朝まで起きられないんだよ」


「フフ。私も冒険者だしね、潰れることはないと無いと思うけど、でもそれはまたね。

コウ君。明日、ダンジョンよろしくね」

「うん。任せておけ」


「うん、明日迎えにくる」

「ああ」


翌日にさおりと一緒にCランクダンジョンに来た。まだ入り口を閉鎖されて協会の職員が警備をしている、その協会職員に説明している中に入る。

誰もダンジョンに入っていないせいか、浅い階層のウルフ系モンスターの数が多い気がする。

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