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俺はダンジョンに来てやりたい事があった、それは刀に魔力を通す作業だ。研修の時のアサシン達との戦いだ、その時この刀は恐ろしい程に良く斬れた。


刀の扱いで普段と違う所があったとすれば、それは魔力循環だ。これはあくまでも俺の仮説だが刀を俺の体の一部として受け入れて魔力循環を行う、それによりこの刀は刃を得る。


そう考えた。それが研修の時に感じた違和感だ。まぁ、まるっきり間違っている可能性が無くはない。だがもし間違っていたらまたやり直せば良い、それだけだ。


シルバーエイプを求めダンジョンを徘徊する。だいぶ探しまくってようやく今日の獲物を見つける。


でもシルバーエイプ? だよな? 目の前にあらわれたシルバーエイプは通常サイズの2倍はある。特殊な個体か?

すぐさま刀をだし、魔力を循環させてかまえる。


「ゴアワーー!」


雄叫びと共に体を痺れさせ、精神的恐怖がやって来る。この雄叫びは威嚇の役目も果たしているようだ。


覇王の威嚇を最大に出す。

覇王の威嚇で硬直したかのようにシルバーエイプが動きをとめたその時、縮地を使い距離をつめる。


シルバーエイプの右足を太ももごと斬るとシルバーエイプがバランスを崩しその場に倒れる。

どうやら想像した通りだ、シルバーエイプの太い足を簡単に斬ってしまう。やはりこの刀は自分の魔力を刀に循環させて使う物だ。


俺の感動をよそに片足を失ったシルバーエイプが座り込む。


「ゴガー」


雄叫びに合わせドラミングを始めて俺を睨み付ける。どうやら俺は敵として認められたようだ。ただ敵として倒す、シルバーエイプの顔にそう書いてある。


シルバーエイプがダンジョン内の石やら岩を掴むと俺に向かい投げてくる。それをかわし、シルバーエイプに近付くとカウンター攻撃が来る。


攻めあぐねながらもシルバーエイプを観察すると、右側の動きが鈍い。そう感じて右後ろに駆け込むとシルバーエイプの肘が飛んで来た。しっかり肘をかわし完全にシルバーエイプの背後に回り込み、その後盛り上がった右肩めがけ刀を振り下ろす。


肉が斬れたが骨が硬い。一旦止まった刀にギリギリと力を入れて一気に斬りおとす。


ズッバー! 大きな音を立てて右腕が肩から飛ぶ。


シルバーエイプがバランスを崩し顔面から地面に落ちたところをチャンスと見てシルバーエイプの首をはねる。


その時、頭に機械音のような声が流れる。


"単独でボスを倒し、また討伐時間が10分かかっていません。


特別ボーナスが加算されます。ボス討伐の経験値は入りませんがレベルが200上がる事になります"


その音と共に急激なレベルアップが起こる。

こいつボスだったのか? でも俺ボス部屋に入って無いぞ。そう思いボス部屋に向かうと殺られた冒険者がボス部屋のドアに挟まってドアが開き放たれていた。


亡くなっている冒険者の遺体を回収してダンジョンを出る。

ダンジョンの外で誰もいない事を確認してインベントリから亡くなった冒険者の遺体を出し、ダンジョン前にある協会の出張所を訪れる。


「すまない、亡くなった方の遺体を発見して外に持ってきた。確認をしてもらえるか?」

「遺体? どの階層でですか?」


「ボス部屋だ。殺られて亡くなった方の体が部屋のドアに挟まってボス部屋が開いていた。

そのせいでボスが部屋から出たようだ。部屋にはいなかった」

「ボスは?」


「わからない」

思わず嘘をついてしまった。本当は倒したけど、誰も剣士のLv300がCランクのボスを倒したなんて信じないでしょう。


その後ダンジョンが閉鎖され、緊急招集されたAランクパーティーによるダンジョンの捜索が行われた。


隅々まで調べられた結果、俺が発見した人物以外にもう1人いたらしい。ただ、その人は怪我をして気絶していたこともあり、ボスから敵と見なされなかっただけのようだ。


そんな事があって帰りに協会に来て協会の裏口を通り自宅に帰ろうとした時だ、そうただの近道として通り抜けようとしたのが悪かったのかも知れない。


ガシッ。俺の腕をサナエさんが完全にホールドする。

「コウさん。まさか、この私に何も言わずに帰るおつもりですか?」


何故かサナエさんの笑顔が恐ろしく怖かった、そして連れてこられたのはどこかの個室だ。

あの美しい顔で怒りを抑えた笑顔に逆らえなかった。


「さて、コウさん。何で連れて来られたか説明不要ですよね?」

「で、出来れば説明を頂きたいです」


相変わらず腕をホールドしているサナエさんの顔が俺の目の前にくる。その状態で壁際まで追いつめられるてしまい、まさかの壁ドンだ!? 

俺は何をした? 特別サナエさんを怒らせる事なんかしたこと無いぞ。


「今日はどちらに?」

「ハイ、Cランクダンジョンに行きました」


「良くできました。それで何をしたのかお姉さんに教えなさい」

「Cランクダンジョンで亡くなった方のご遺体を回収しました」


「あら、話をはしょっちゃ駄目よ」


そう言うと妖艶な目で俺を見つめる。


「えっと。シルバーエイプを倒しました。ですがそのシルバーエイプが他のシルバーエイプと違い、でかかったです」


頭を撫でられる。


「良い子、良い子。全部、お姉さんに教えてね。それでそのおっきなシルバーエイプは1匹だったの?」

「う、うん」


「そう♡」


ギュッ。急に胸ぐらを強く捕まれると俺の後ろに潜り込み羽交い締めにされる。


思わずタップする。

「一般人の私がやっても痛くも苦しくもないでしょう。本当に貴方と言う人はぁ、私がいつもどれだけ心配してるのかわかりますか(怒)?

まったく、お爺ちゃんからAランクダンジョンまでは心配しなくて良いって言われるから、止めていませんけど」


さらに強く首が絞まる。


「サナエさ、ん。


ス、ストップ。


く、くる、 し い」


「へ?」


バッとサナエさんが首を放す。


ゲホゲホ。

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