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研修が始まる時間になる。


「サチエちゃんまた後でね。俺、これ以上研修生と話をしちゃいけない決まりだから」

「わかった、コウちゃん後でね」


今回の研修生達はなんか派手な奴が多い。あからさまにどっかの金持ちのボンボンとおぼしきグループや、地元の仲間でパーティーを組んだとおぼしき連中なんかもいる。


今日も裁判所の広川さんが法律的な話をしてからスタートする。


その後警察官の話が終わり俺の番になる。

カメラ等の録画録音機材は常に進化してるのだろう。それを取り入れる努力も凄いと思う。だが、今日くらい止めたら良いのにな、痛い思いをせずお金も無駄にならないのに。


本当にそう思う。


「紹介にあった冒険者の二前 宏と言う。

お前らの引率だ。

俺は正直に今日程面倒臭いと思った事はない。お前ら俺を馬鹿にしてんのか?


俺が担当した日に、これだけ機材を隠してダンジョンの中に入ろうした奴らは始めてだ。それとそこの大人2人、ダンジョン研修中はいかなる人間も入ることも禁止されている。もし、勝手に入った場合、お前達のお守りをするガキは100%終わりだ。それは覚えておけ」


俺の発言が終わると警察と協会職員が一斉に研修生達を取り囲み入念に検査をする。


するとサチエちゃんのグループ3人を除き、沢山の録画、録音機材が出てくる。


本当に最初に行う検査ってザル過ぎね。どこ見てんだよ、そう文句を言いたくなる。それから金ぴか鎧を付けた男の前に立つ。

「お前、その胸についた物をはずしておけ、ダンジョンに入った後で死んでも責任は取らないぞ」

「ふ、ふざけるなよ」


若い男だ。まだ二十歳前だと思う。震えながら俺に文句を言う。


「俺は四ツ葉グループの御曹司だそ。てめぇなんか簡単に消してやることも出来るんだぞ」

「おい、そんなどや顔で言って恥ずかしくないのか?」


「え?」

「だから、冒険者にとって親の会社の力なんて意味がないんだよ。お前、モンスター相手に名刺を配って歩くつもりか?」


「は、はあ?」

「ダンジョンで必要なのは己の力だ。親の力じゃない。人の言葉が通じないモンスターに媚びを売っても意味は無いぞ。

それとその鎧を脱いでこい、どうせお前が選んだ物じゃないんだろ」


「当たり前だ、お父さんが買ってくれた鎧だ。80万はする立派な物だ」

「そうか、宝の持ち腐れだな。親の力を誇る前に自分の実力をつけろ。

それと、お前らこいつのボディーガードだな。研修が終わるまでの間は余計な事はするなよ、こいつを冒険者にしたいならな。

もし冒険者にしたくないなら研修が始まる前に辞退しろよ。

一旦ダンジョンに入ったら、命の保証はないぞ」



        ◇◇◇◇◇◇◇



時を同じく冒険者協会の会長室に、会長のじじいと変わらない年の親父達が集まっていた。


俺達が撮影している画像や他の職員、警察官や裁判所等が撮影している画像を眺めながら、事のなり行きを見守っている。


それは四ツ葉グループの会長を筆頭に名だたる経済界の重鎮がモニターに釘付けになっていた。

いわゆる日本を代表するVIPの家族が新人研修を受ける、そこで皆冒険者登録をさせようと冒険者協会の会長にごますり(圧力)に集まったのだ。


冒険者は一次覚醒のした時、能力が一気にはね上がる。それは筋肉だけでなく、知能やセンス、感覚など全てがはね上がる。その後冒険者として経験を積みレベルアップすることで更なる能力が手に入る。


そう簡単に思っているのだ。


だから、親族で冒険者として覚醒した奴らを囲んで手なずけて、自分達のボディーガードや会社に取り入れて使おうとしている。


モニター画面から「お前、その胸についた物をはずしておけ、ダンジョンに入った後で死んでも責任は取らないぞ」


「ふ、ふざけるなよ。

俺は四ツ葉グループの御曹司だそ。てめぇなんか簡単に消してやることも出来るんだぞ」


「おい、そんなどや顔で言って恥ずかしくないのか?」

「え?」


「だから、冒険者にとって親の会社の力なんて意味がないんだよ。お前、モンスター相手に名刺を配って歩くつもりか?」


「は、はあ?」

「ダンジョンで必要なのは己の力だ。親の力じゃない。人の言葉が通じないモンスターに媚びを売っても意味は無いぞ。

それとその鎧を脱いで来い。どうせお前が選んだ物じゃないんだろ」


「当たり前だ、お父さんが買ってくれた鎧だ。80万はする立派な物だ」

「そうか、宝の持ち腐れだな。

親の力を誇る前に、自分の実力をつけろ。

それと、お前らこいつのボディーガードだな。余計な事はするなよ、こいつを冒険者にしたいならな。

もし冒険者にしたくないなら研修が始まる前に辞退しろよ。

一旦ダンジョンに入ったら、命の保証はないぞ」


四ツ葉グループの会長が苦虫を噛み潰す。それと合わせ失笑が出る。


「いくつになってあんなことを」「親の顔が見たいものですな」「あ、これはこれは」「フフ」「はは」等馬鹿にした声が響く。


「それとお前達もだ。

その小手の間の配線やら、盾に取り付けたお粗末なカメラとか、兜に付けたマイクとか、やってること恥ずかしくないか?

ダンジョンの中じゃ、親も会社も助けてくれないぞ。

俺はお前らを全員ぶっとばしても何のおとがめも無いし、お前達が五体満足で帰れる保証はなにもない。

これが最後通告だ。

命が欲しかったら不必要な物は全て外せ、命が惜しかったらな」


俺の脅しとも取れる発言に部屋にいる皆が協会会長を見る。


「こいつは本気だよ。過去にDランク冒険者とBランク冒険者を再起不能にした事がある」


会長のその一言で一斉にどこかに電話をかける。すると研修で集まった者達が一斉に機材を外し、取れない物は防具を外した。

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