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単独で突入した俺に呆気に取られてキラーマウンテン達がぼやっとしている。
その隙に中心に道を作りながら向かう。そこに、麒麟の指示でゴールドを中心に突撃が開始する。
キラーマウンテン達は攻めるのは得意でも守りは上手くないようで、麒麟の作戦指揮によってばらばらに行動を始める。
そこをついてキラーマウンテンのボスに迫る。
「火炎弾」
魔法でキラーマウンテン達の包囲網を崩し、ボスのキラーマウンテンに斬りかかる。
左の鎖骨が斬られ左腕をぶらぶらさせながらあわてふためいて、近くに入るキラーマウンテンを俺に向かい投げつける。
その姿にロックを始めコングエイプとの違いを感じてしまう、こいつは絶体仲間を仲間と思っていない。
それがボスのキラーマウンテンに対し感じた思いだ。自分以外はどうでもいい。その姿に親戚の龍善寺 信吉の姿が重なる。
その瞬間だろう。怒りがMAXに達した。
正直記憶がないが、俺はキラーマウンテンのボスの首を手に持ち雄叫びをあげていた。
「オーーーーーーーー!!」
俺の雄叫びが威嚇効果を出したのかキラーマウンテン達の動き止まる。
そこにゴールド達が一斉攻撃をかける。
全てキラーマウンテンを倒し終えると麒麟が俺の前に立ち、怒りをあらわにしている。
「主。一時の感情に流されたら駄目!!
妾達はみんな主の仲間なの!! わかった(怒)」
理由も分からず麒麟から物凄く怒られ続けるが、記憶が曖昧でピンと来ない俺を見て麒麟がさらに言う。
「主、妾達はみんな主の為に動いているの。
相手が嫌な奴だとしても、主が感情的になるのは駄目。
主は妾達の希望なんだよ。
主が妾達の太陽なの。主に何かあったら妾達が悲しむでしょう。
メッ!!」
腰に手をあて、真剣に俺を叱る麒麟の表情に、その真剣な思いと言葉に、ばあちゃんに似た優しさを感じてしまう。
「麒麟、ごめんなさい。みんな大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫だよ」
「そうか、ならみんなで出よう」
全てのキラーマウンテンを倒し得るとコングエイプが魔石を拾い集めてくれる。
その中で唯一俺を見て困った顔をした魔石があった。それがボスのキラーマウンテンの魔石だった。
赤黒く異様な嫌な雰囲気を醸し出したその魔石を、コングエイプは拾うのを拒否したのだ。
刀を出すとボスのキラーマウンテンの魔石を破壊した。
例えどんなに強くても俺の気に入らない者を仲間に入れることは出来ない。
「コングエイプ。いつもありがとう」
「ウホ」
コングエイプが嬉しそうに寝床に帰る。
「主、妾は?」
麒麟が褒められたコングエイプを見て自分も褒めろとせがんでくる。
「麒麟、ありがとう」
そう言って麒麟をハグすると、俺の真ん前でロックが俺を見て嫌そうな顔をしている。
どうも、俺の顔が凄くしたたかに見えたらしい。
ちょっとだが、ロックの感情が伝わってきた。からしがそんなやり取りを見て鼻をほじっている。
「からし、帰るぞ。 帰りはお前に任せた」
「ホゲ!!」
息をつまらせながら、からしが返事をする。
すると、三郎と四郎がからしの横に出て一緒にダンジョンを降り始める。実はこの3匹は物凄く仲良しだ、良く3匹でじゃれて遊んでいたりする。
そんな光景を見ていると麒麟が邪魔をする。
「主、おんぶ」
そう言って俺にくっついてくる。
まあ、麒麟はフワフワといつも浮いているので重くはない。ただ、白虎と青龍が麒麟に自分で歩けと怒り出す。
それもいつもの光景になりつつある。
それが、さおり以外ではまだまだ人付き合いが苦手な俺の一つの幸せでもあるだ。
ダンジョンから戻り昼飯を食べていると日本で新たなダンジョン発見か?
そんなセンセーショナルな言葉を耳にした。
テレビをつけっぱなしにして、お昼を食べていたら聞こえて来た。
場所は愛媛県松山市、お遍路の札所も近くにある場所だ。朝、地元の方が散歩している時に道路脇に変な物を発見。警察に連絡したところダンジョンの可能性ありと言うことで付近が立ち入り禁止となった。
そう言う内容だった。その報道を見てるとスマホがなる。
「もしもし」
「あ、コウ君?」
「留萌さん? どうされました?」
「悪いけど協会に来てもらえるかな。後程さおりちゃんも協会に真っ直ぐ来ることになってる」
「わかりました。緊急事態ですね」
指定された時間に協会にくるとさおりがすでに居て俺の到着を待っていた。
「早いね」
「まあね。私、高校卒業に必要な単位は全部とってるしね」
単位? 高校って単位制だっけ。
「要するに、どういう事?」
「つまり、本当は学校に行かなくても高校は卒業出来るの。
今、学校に行ってるのは大学の単位をとりに行ってると言うわけ。
うちの学校って中学から大学までストレートなのね。それで高校から単位制度になってるから高校生でも卒業資格があれば大学の授業受けれて、大学も卒業単位をとれたら、授業にでなくても4年後に大学卒業出来るシステムなの」
「え? さおり、そんなに頑張ってたの?」
「そうだよ。もっと褒めていいよ」
「さおり凄いね。それで大学はどの位通う予定なの?」
「うん? もう大学4年生のテスト受けて合格してるよ。4月に入学してそのままかな、卒業までに卒業論文書いてOK出たら終了」
「ま、マジ!! さおり凄すぎ」
さおりって強いだけじゃなくて、物凄く頭も良かったんだ。
「これもコウ君のおかげだよ。あの魔力循環トレーニングしてから、本当に目覚ましく成績上がったもん。本当に諦めなくてよかった」
ま、マジですか? で、でもだ。お馬鹿な俺にはさおりのような賢い子が必要なんでは無いだろうか?
捨てられないように気を付けなきゃ。




