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「わかった、ありがとう。これで槍を作ってもらう」
それから凛と共にダンジョンを出て、学校帰りのさおりを誘い協会本部の鍛冶屋にくる。
「お、来たな。魔石は見つかったか?」
「はい、これでお願いします」
凛が水晶蜥蜴の魔石を渡す。
「相変わらず貴重魔石だ。
確かに預かった、槍の刃だな。柄の部分はこの長さで良いか? お姉ちゃんを見ると後5cm長い方が良いかと思う」
そう言って柄だけの槍に簡易の刃を付けて凛に渡す。
凛が感触を確かめると直ぐにこの長さが良い。そう言って長さを決めた。それから支払い方法を凛と鍛冶屋で決めて、引き取りの日取りを決める。
そしてついに、凛と婚約者と各々の両親が東京に来た。
クラン 赤の魔女。その幹部ご一行様が来るとなり、協会では留萌さん達が朝から慌ただしく動いていた。
この日、さおりが学校を早退して凛と一緒にダンジョンに入ると意気込んでいた。
凛の婚約者と各々の両親と待ち合わせたのはSランクダンジョンだ。
午後になり、留萌さん達が運転する車2台に分かれ凛の家族。婚約者とその家族が全員そろう。
すると突然1人の男が俺の前に来た。歳の頃は俺よりも少し上だろうか。
「貴様が二前 宏だな。モンスタートレインの時は世話になった。
我々が出張でいなかったからな、たった1人で倒せる位のトレインだったのだろう。
周りが騒ぎ立てる程の事じゃ無い」
何故か無性にイラついて来た。
「そうだろうな。たいした事は無かったよ」
「強がりはよせ。高々Aランクが意気がるなよ」
何か面倒くせぇ、こいつ嫌。
俺に言いたいことを言うとそれから凛の前に立つ。
「凛、冒険者を止める覚悟は出来たか?
お前は才能がない。辞めて普通に働け、弱い奴に取っては当たり前の事だ」
「私は辞めないよ」
凛がハッキリとそう宣言する。
「なあ。いい加減、中に入ろうぜ。
凛の実力が見たいんだろう、言い合いしてたって始まらないぞ」
「よろしい。行きましょう。凛、どれだけ変わったか期待してますよ」
「ハイ。期待してて下さい」
赤の魔女のトップを勤める凛の母親がその場を制してダンジョンの中に入る。そう、この母親こそ赤いローブを纏い極大魔法を放ち続ける、赤の魔女その人だ。そしてこの人が作ったクランがクラン 赤の魔女だ。
ダンジョンの中を俺とさおりが先導する形で中を進み、出て来るモンスターは全て凛が倒す。
すると凛の母親が凛に話しかける。
「凛、刀は止めたの?」
「ハイ、刀は私のスキルに合っていなくて。それで槍に変更しました」
「そう。見違える程の上達ね」
「へへ」
凛は褒められたのがよっぽど嬉しかったのか、照れ笑いしていた。
4階層まで進んだところでみんなを止める。
「今日はここまでにした方がいい。ここから先はトラップゾーンだ。
下手をするとみんなばらばらになる」
するとあの男が前に出て来た。
「トラップゾーン? 何を馬鹿な事を言ってる。
俺は何も感じ無いぞ。
あ、わかった。お前の実力じゃあこれ以上は進めないのか?
だからトラップゾーン等と嘘を言ってるだな」
そう言って俺をばかにしてくる。
「そう思うなら、1人で入ったらどうだ?
人のことを馬鹿に出来るだけの実力があるんだ、トラップにはまっても1人で平気だろ?
ちなみに、俺はトラップ潰しをこのダンジョンで依頼として受けている。1人で生きて帰って来るぞ」
「ふん、勇敢と無謀を履き違えた馬鹿だったか」
「なんだ、人の後ろにいないと何も出来ない弱虫君だったのか、だから外から吠えるだけなんだな。良くわかったよ」
お互い睨み合うように向き合い、一触即発の状態になる。
「大丈夫だ。俺は弱い者苛めはしない、安心して後ろをついて来い」
突然、土壁が出来て俺と男の回りを取り囲む。それはボクシングのリングくらいの広さだろうか?
男が勝ち誇った顔でこっちを見てニヤついている。
「闇縛り」
俺の闇縛りが男を捕らえる。魔法使いのスキルに魔法壁や魔法鎧と言ったスキルがある。
おそらくこの男もそのスキルを持っている、魔法使いスキルは持っているが普通だろう、そう思いあえてきつく縛る事にしてみた。
男が何の反応も示さずにただ立ってこっちを睨んでいるように見えた。が、そうではなかった。俺の闇縛りに捕られられ、それもかなりの圧力で体を縛れたせいか気を失ってしまったようで土壁がボロボロと音を立て崩れてしまう。
その様子を見た凛の母親が俺を見てニヤリと笑う。それから闇縛りを解除、すると凛の母親が倒れた男を風魔法を使い持ち上げると凛に向き合った。
「凛、良く頑張りました。
自分の可能性を信じて良くここまでの実力を身に付けました。これらな結婚してもダンジョンに入る事を認めます。ただし、妊娠中は駄目よ。
それが条件」
それから婚約者とその両親を見る。
「私達も文句はありません。むしろまだまだ現役で頑張ってもらわないといけないですね」
すると凛が婚約者と抱き合って喜び合っていた。




