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凛と2人で東京のSランクダンジョンにくる。そこで30分魔力循環を行ってからダンジョンに入る予定だ。
「これ、以前にお母さんとやった記憶がある」
そう感想を言うが、凛はかなり汗をかいてフラフラとしていた。強制的に魔力を動かす事で体の魔力を制御出来なくなってきていた。
さおりは元々魔力量が少ない。それもあり魔力操作に肉体的な支障が起きにくかった、ところが凛はかなりの魔力量だ。少し魔力循環を行うだけで汗だくになっている。
「さて、今の状態で刀の使い方を覚えるぞ」
そう言って凛をつれて東京のSランクダンジョンに入る。
普段、秋田のSランクダンジョンに入ってる程の実力者だ。何も問題無いだろう、そう思っていたが動けない。
「どうした? この程度のモンスターなら苦労しないだろう?」
「大丈夫だ。私は弱く無い」
そう言ってモンスターに突進。完全な力技でモンスターを倒して行く。
「聞いても良いか? 凛って刀が苦手なんじゃ無いのか?」
「わからない、正直に刀以外の武器を扱った事がない」
「凛、一回出るぞ」
凛を無理矢理ダンジョンから出して、協会の出張所に向かう。
そこで様々な武器を借りる。元々Sランクダンジョンに入る奴らは自前の武器を持っているのが普通だ。だからレンタル武器はほぼ余っている。
出張所に飾られて有る武器を手当たり次第に取って行く。
バトルナイフ、槍、両手アックス、片手アックス、ハンマー、剣、両手長剣、チェーン、薙刀、長柄鎌等々。
「なあ、コウ。私全部使ったこと無いぞ」
「心配するな、俺も刀とバトルナイフ以外は使った事がない」
「何の自慢だ(怒)」
「仕方ないだろ。どう見ても凛には刀の資質がないように見える。
確かに努力でここまでやってきた、でも生まれ変わりたいならここで1度自分を見直すべきだ」
そう言って無理矢理ダンジョンに引っ張るとまずはバトルナイフを持たせる。でも無理矢理感が否めないが仕方ない、なんせ俺は脳筋だ。後は無理矢理押し通す。
「おい、いきなり実戦って何考えてやがる」
「習うより慣れろだ」
「ちっ!」
凛が舌打ちしてモンスターと対峙する。だが動きは刀を持っている時よりまともな動きをしている。
バトルナイフも魔力循環が出来ているのか切れ味が物凄く良い。
モンスターが途切れた時に槍を持たせる。
「ふん、ここまで来たらとことんやってやるよ」
そう言って槍をふる。
凛が槍を持つその姿は、まるで歴戦の強者のような姿だ。槍全体に魔力を通し撃ち込む姿は戦場を駆ける武士そのものように見える。
次々と武器を試し最終的な候補として、両手長剣と槍が残った。
両方とも、使い勝手は良いようだ。
もしかしたら凛のスキルが今まで持っていた刀を嫌っていただけなのかも知れない。
特に槍と両手長剣は自分の魔力をちゃんと循環してモンスターを倒している、そうなるとやることはひとつだ。
ダンジョンを出て道場に凛をつれて行く。今日はさおりの訓練の日で槍、薙刀、長刀を訓練している日だ。
道場に付くと日丘 鉄斎がいた。
「コウ、どうした?」
「留萌さんの弟子で日高 凛。
さおりの訓練が勉強になるとおもって、勉強のために連れてきた」
「そうか、なら小手を付けてさおりと立会え」
「了解」
道着に着替えでさおりと会う。
「どうしたの?」
「たまに手合わせしたいと思ってね」
さおりがチラッと凛を見る。何か思う所があるのか俺を睨んでくる。
鉄斎が間に入る。
「初め」
互いに構える。相変わらずさおりは強い。何をすればこの歳でこんな強さを持つのか?
「セイ!!」
さおりのかけ声と同時に3段突きが来る。あの日丘 克典を彷彿させる素早さだ。
突きをかわし距離を取る。槍も届かない距離だ。
縮地を使い懐に入るとさおりの突きが飛んで来る、両手でガートしたが余りの強さに後ろに倒されてしまう。
「そこまで」
鉄斎の声が響く、それと同時に槍の刃が俺の首もとをとらえる。
「凄い!!」
凛の興奮が伝わってくる。
「無様な負け方ね」
さおりが嫌味のように言ってくる。
「仕方ない、やっぱりさおりは強いな」
「で、何で道場に連れてきたの?」
「ん? ああ。魔力循環の訓練は必要無いことがわかった」
「はっ?」
「凛は刀が扱えないだけだった。
多分スキルの影響だと思う、槍か両手持ちの長剣だと自分の魔力で十分に循環してた。
そうなると槍の扱いは俺も知らないし。ここで勉強するのが早いと思ってな」
「そうなの?」
「うん」
俺とさおりの話しの横で鉄斎が凛に槍の手解きを初めていた。
「道場生増えるね」
俺の軽い言い方にさおりが呆れた顔をする。
道場での稽古を終えて、凛を連れて近くの居酒屋に来た。
「ねえ、凛さん。何でそんなに魔力循環に一生懸命になってるの?」
さおりが凛を見て凄く真剣な顔で聞いていた。
「あはは、実は婚約者がいて、プロポーズを受けたのね」
「「プロポーズ」」
「うん。相手も冒険者でさ。
ランクはBランク。補助魔法に特化した特殊スキル持ちなのね。彼はクラン赤の魔女に加入してて私とパーティーを組んでるの」




