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各々の挨拶が終わると話し合いがはじまり、そこで決まった事がいくつかある。


ダンジョンに入るに辺り、俺と冒険者協会の担当者が2名引率しトータル3名で入る事。


研修を受ける冒険者はカメラ、録音機を含む機材の一切の持ち込みを禁止する事。ただし、法律により必ず担当者3名は録画する為の録画機材を付ける事が義務付けられている。


一度に入る人数や何処まで入るか、何を研修としてやるか等も細かく決まってしまった。


ちなみに全国15有る初心者ダンジョンで半年に一度行われる事になった。正直に忙し過ぎる。


法律によりダンジョン研修をしないと冒険者としての資格がもらえない決まりになる。


協会に登録しない冒険者の多くが怪我をしたり、亡くなったままダンジョンを出る等が増えてきた為だ。つまり皆、資格が欲しいなら嫌でも協会に登録が必要且つこの研修が必要になった。


そして会議が終わり帰ろうとして入ると留萌さんに声をかけられた。

「コウ君。今日少し時間をもらえるか?」


「ハイ、大丈夫です」


「おし、捕まえた。

コウ。今日は私の全てを教えてやるぞ。


興奮し過ぎて、鼻血垂らすなよ」


「ヒッ ヒィ!!」


日丘さんに捕まり首をロックされる。


相変わらず言っている事と行動が伴わない事が怖い、そしてそれを睨むように見ている協会職員がいる。あいつとは過去一度も話をした事がない。だがあいつが親戚連中とつながった奴、つまり俺の従兄弟に当たる奴だと言うことは知っている。


5年も前から日丘さんや留萌さんに俺の行動や売上を聞いて歩いているらしい。そして留萌さんから、あの男が日丘さんに惚れていると言う情報も聞いた。


だからこそ、日丘さんがからかって来るのを全力で返して楽しんでいる。あの男が悔しそうに俺を睨んで来ているのがわかるからだ。毎度、ざまぁと思いながら日丘さんに抱きつかれている。

(いや、決して抱きつかれるのが目的じゃないからね。合法的にセクハラしてないからね)


みんなでやって来たのは家のマンションの一階にある居酒屋だ。


「コウ君。やっと君と酒が飲める年になったな。コウ君、僕は嬉しいよ、君とこうして酒を飲めるようにるなんて、お父さんの役得だよね。


グズゥ」


「課長、完全におっさんになってますよ。


おまけに酒を飲んで直ぐに泣くなんて、私のコウを奪うつもりですか?」


「いや、お父さんって呼んでよ。


俺、子供いないけどさ。コウ君を本当の子供みたいに思っていたんだからさ」


「そりゃ、そうですよね。


留萌課長と結婚しようなんて危篤な人なんていないよ。この世の中には100%いません。


本当に未婚の癖にお父さんなんて、どの口が言ってるのやら。



(ギリギリ、ギリギリギリギリッ)



い、いた、痛いです。

課長、て、手加減が。手加減が無いです」


留萌さんが日丘さんをヘットロックする。流石は元冒険者、頭がギリギリと音を立てている。


「あの、留萌さん。

いつも俺の事守ってくださってありがとうございます。日丘さんも、いつも心配してくれてありがとうございます」


「「いやいやいや」」2人が同じ反応をする。


2人とも凄く嬉しそうに照れている。


「あ、それでコウ。


お前。あの警察官知ってるよな? コウお前はこの私と言う者がありながら浮気してやがったのか?


いくら優しいこの私でも許さないぞ」


日丘さんが両手を鉤爪にして可愛い笑顔で俺を威嚇してきた。


「ああ、中学の先輩で同じ部活だったんです。でも白石先輩が警察官になっていたのは知りませんでした」


「ホッ。 言うじゃないか。


お前は私と言う女がいながら他にも女を作っていたんだな」


日丘さんがそう言いつつ、ジョッキに入ったビールを一気飲みする。


「白石先輩は、俺の父さんの敵? 見たいな人でした、その当時は詳しく理由はしりませんでしたが。


白石先輩のお父さんも警察官で冒険者係だったみたいで、なんか良くわからない内に俺も上級生のいじめの対象にされてましたから」


留萌さんと日丘さんの顔が怒っていた。


冒険者が普通に騒ぐだけでも大変な状態になる、それに対応しないといけない警察の大変さはわかる気がする。


まして覚醒する人間は全人口の10%に満たない。


ある種の偏見があるのは知っているし、白石先輩が取っていた行動は仕方ない事だと思っていた。


日丘さんが酒の影響か俺に抱きつく。


「コウ、心配いらない。

お前に何かあったら骨くらいは私が拾ってやる」


そう言うとビールのジョッキを煽り続けていた。


思わず留萌さんに助けを求めるが、留萌さんが涼しい顔で外を眺めていた。


大人って奴はみんな自分勝手だ!!


そう叫びたくなるが、俺の気持ちを察知したのか日丘さんが俺の首をきめてきた。


「コウ、来週、初めてのダンジョン研修だ。

気合い入れて行くぞ」


「日丘さん。


気持ち入り過ぎです。言っておきますけど俺は協会の人じゃないです。あくまでも中立な冒険者です、わかってますか?」


「うん? こら、お前がそんな格好つけると思わず抱きしめたくなるだろう。


コウ、私が30になっても結婚出来なかったら責任取ってお前の奥さんにしろよ」


ど、どんな理屈よ。って言うか、言いたい事を言った挙げ句、ケツをかくなんてあり得ないでしょう。

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